第14話 秋の旅(七)

お寺の黒いタイルの角から雨滴が滴り落ち、雨音を聞いている少年は屋根の下で、空の下には青と黒がある古い建物の一体化となり、雨でぼやけてまるで墨が染めたように。


雨なのか、お寺なのか、それとも手に持っている「一念」なのかはわかりませんでしたが、俺の心は安静し始めた。


お寺の風雨回廊で前に向いて散歩していたら、曹愛青ソウアオイに会った。


「どこへ行く?」


「観音殿に参拝したいが、一緒にいかない?」


曹愛青ソウアオイは俺の姿を真似て、両手を後ろに回した。


彼女がこの姿勢を真似するには、俺が大人ぶりをからかわれていると分かって、手を体の前に置き、手にある星月菩提珠せいげつぼだいじゅのブレスレットも明らかになった。


同じくお金を大事にする彼女から「騙された?」と目を細めました。


「千金でも俺の嬉しさが買えないさ」


曹愛青ソウアオイは手を広げて、「観光地での買い物は禁物だよ!まあそっちはいいならそれは別だけと」と言い返された。


「じゃあ、観光地の菩薩ぼさつへの願いが叶えるの?」


「お金がいらないならいいじゃん?」


曹愛青ソウアオイは一手で勝ちました。


菩薩ぼさつの前でお金の話をするのは俗じゃない?」


菩薩ぼさつを参拝する人にはみんな俗人だからさ」


俺は少し立ち止まって、やっと五千円を使った言い訳を見つけた。

「そうね、お金で雨を買ったと思えばいいさ」


「まあ、なかなか詩の持つ味わいですね。こういう理由が好き。ようやく芸術者ぼくなったね!」


二人は合意となり、曹愛青ソウアオイは微笑んで二歩前に出て、その場で唖然とした俺を見て、わずかに微笑んで頭をそらし、一緒に観音殿に向かいました。


「芸術学校に出願することを知っているの?」


「もともと噂を聞いたが、先程のアルバムを見て映画関連な情報が多くて、確信したの」


「ハハハ、元々知っている人は少ない方がいいと思ったが、万が一落ちったら、何もなかったようにするつもりだった」


「それなら、観音様に敬意を表し、合格できるように願えばいいじゃんない?」


「今日山を登った皆、学生で全員その願いするはずだから、観音様がもう構わなくなるさ」


「私たちは凡人だけと、菩薩ぼさつではありません!」と彼女それを聞いて少々不快でした。


「仏教を信じているの?」


「家には菩薩ぼさつというオレンジ色の猫がいますが、信じるかどうかを当ててみ?」


「マジ?猫にこの名前って鎮めるの?」


「だから菩薩ぼさつを参拝し、家の菩薩ぼさつが健康で長生きすることを願っています!」


これを聞いた俺は思わず「これは…ギャクなの?」と言い返した。


「文字通り!」曹愛青ソウアオイは誇らしげに言った。


「だから、自分からの願いがないの?」


「もちろんあるさ、港町大学の建築学科に合格したいのですが、激ムズだから、去年合格した先輩から少なくとも680点が必要だと聞いたわ」


「前に追いかけたいと言ったとき、君が勉強に集中したい理由が言い訳と思ったが、まさか本当だったね!」


曹愛青ソウアオイは驚いた表情で俺を見つめた。


「いいや、冗談だよ!もうこの件はすぎたことだし、また友達だろう?」


俺は手に持っていたブレスレットを回しながら言いました。


二人は観音殿にやって来て、ここでは人影が多く線香の匂いも強く、先の地蔵堂とは対照的でした。


「入らないの?」


曹愛青ソウアオイは門の外で立ち止まった俺を見て聞いたが、俺は首を横に振った。


「求めるものは何もないから」


少女はまぶたきしながら、彼の意図が見えなくなり、前ならすぐに気づくはずなのに!


「わかった、じゃあ待ってね」


曹愛青ソウアオイは仕方なく一人で入った。


俺は彼女が中に入るのを見て、観音菩薩ぼさつ像の前で慎重にひざまずき、線香を頭の上に上げました。


後ろを見て、彼女の体の曲線はセーターで覆われて、お辞儀をして、まっすぐで敬虔な姿が想像できます。


この姿勢なら、何に対しでもおそらく成功できるだろう?


信者の願いが果たされるかどうかについて知りたくない。


ただ、俺の願いが叶わないことだけを知っていたので、願える必要はありませんでした。


動く?


俺は自分自身を笑い、手に持ったブレスレットをさらに早く回した。


曹愛青ソウアオイが線香を焚いて、くじ箱を振ると、二本の長いくじが出てきたので、躊躇しながら拾い上げた。


彼女は立ち上がると、すぐに俺の側に駆け寄り、2本のくじを後ろに隠しました。


「くじが同時に二つも跳ねると当てにならないのでは?」と俺は疑わしげに尋ねた。


「知っているよ、でもこれは君の願いも含めたからその一本は君の分よ」と曹愛青ソウアオイは当然のように言った。


「俺の?」


「そうよ、入ってこないから、菩薩ぼさつ様に君の分を含めてお願いしたら、本当に二本のくじ引きをくれたさ、感謝してね!」


「本当に菩薩ぼさつだと思っているの?」


「こんなところで冗談を言わないで!さ、早く」と曹愛青ソウアオイは急いで俺を止めた。


「はい、はい…」


仕方なく、俺は頭を下げ、両手を合わせで彼女に頭を下げた。


菩薩ぼさつよ、私の願いが叶い、すべてが成功するように祝福してください」


曹愛青ソウアオイは、俺の願いを聞いて恥ずかしそうに笑顔で呟いた。


「ちょっと、私にはそこまでの力がないよ、ただの虎のふりの狐だからさ」


(どういう意味?)


彼女が意味不明な一言を言いながら、俺の前に2つのくじを出して、1つは左側に、もう1つは右側にあった。


「どれにする?」と彼女が聞かれた。


俺は左側の木の棒を抜いて、曹愛青ソウアオイは急いで残りの棒を取り、脇に隠れて静かに見ました。


少女の嬉しそうな顔から、俺は彼女が大吉に当たったはずだと推測した。すると、俺もおみくじを見まいた。


それは漢詩のようだった。


「どう?」


曹愛青ソウアオイが近づいてきて、秘かに尋ねた。


菩薩ぼさつ様、何を願いしたのもわからないから、どう解読するかわからないわ!」


「うーん…」曹愛青ソウアオイは頷きながら、少々照れくさく教えてくれた。


「このお寺の恋愛占いがよく当たっていると聞いたから…」


「マジ?何を考えているの?普通さ、合格願いするでしょう?なんで俺の恋愛占いに?」


「だって、最近失恋したし、早くも失恋の影から抜け出すことは、学習にも役立ち!」


それを聞いた俺が思わず苦笑いし、彼女に大げさで、「あなたは本当に菩薩ぼさつ様だね!」と言い返した。


「まさか、大凶とか?ダメなら変えようか?」


「ハア?」俺は唖然とした。


「だって、菩薩ぼさつ様と呼んでくれたし、私がそう言うならば問題ないと思うよ!」


曹愛青ソウアオイが自分のくじ引きを手渡し、俺が手に取って見てみると、それも漢詩だった。


「初三四五が欠け月で、半分が空で半分がなしで。十五日の良い夜を待つ、どこにでも光があり円満である」


「これをみると、君には頑張ってほしいだね、今はまだ円満じゃないが、でも期待できるから、大吉じゃん、間違いなく建築学科に入学できるね」


「わかるよ、君のも見せて、解説するから」曹愛青ソウアオイは両手を広げた。


「それなら菩薩ぼさつ様によろしく」と俺は自分のくじを手渡した。


「桃の花は春のそよ風で香りがよく、ピンク色の花が空に舞い上がり、花が咲くのを心配なく、新鮮な桃を味わえる」


その漢詩を読んでいるうちに、彼女の顔色がまるで桃の花のようにピンク色に染まれていく。


「君の恋愛運がいいって意味じゃん!」


「そんなに直接なの?でも、この詩の意味は実際には焦らずに待つという意味と思うけと、まあ、俺は一生独身でいられるとは思ってないが、当たっているかどうかは微妙だね!」


「なんで私が大吉で、貴方のほうが微妙なの?」


彼女がくじをカバンに入れ、表情がちょっと怒りぼく、俺が慌てて謝りました。


「大吉、全部大吉だ、ごめん俺が悪かった!」


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