未来から来た彼女

第13話 秋の旅(六)

詮霊山（センレイザン）には2つの山登りルードがあります。

一つは観光客が山に登るために近年整備された新しい道で、もう一つは昔、僧侶が山で使用した道です。

明らかに、先程曹愛青（ソウアオイ）が怒りでしばらく方向を見失っていたので、別の道をたどり、学校の皆さんと離れてしまった。

「どうしたらいいの？」

曹愛青（ソウアオイ）は悔しそうに俺に尋ねた。

「前に進もう、どうしようもないじゃん！今は山の途中だから、どうせ、山頂までのお寺で皆と会えるんだから」

俺は両手を後ろに組んで山を二歩登り、落ち着いて話した。

それを聞いた彼女は俺の後を追って、唇はすぼめ、口角は美しい弧を描いており、頬には二つのえくぼが現れた。

道は曲がりくねっていますが、幸いにも道があり、携帯の信号も正常だった。

チームリーダーである薛勇（シュエツヨシ）に状況を説明すると、彼から二人には危険がないことが分かったら、怪しい犬のスタンプを返信しただけでした。

二人が詮霊寺（センレイジ）に着いた時、すでに正午を過ぎており、お寺には多くの学生がおり、もともと静かだった場所は今ではまったく静かではなく、白婷婷（ハクテイテイ）

は寺の入り口で首を伸ばして待っていった。

遅れてきた曹愛青（ソウアオイ）を見かけると、すぐに駆け寄って、彼女の手を取り、こっそり話をし始めた。

俺がそれを見て一人で立ち去り、お寺の隅にしゃがみ込んでこっそりでタバコを吸っている薛勇（シュエツヨシ）を見つけました。

「あのさ、大人の二人は携帯でナビすれば、迷うことはないはずさ」

彼は煙を吐き出し、ゆっくりと言った。

「先生が怒られた？」俺が石のガードレールに乗り越えし、彼の隣に座った。

「いや、先生は全然知らなかったよ、数学の先生とラブラブデード中でさ、はぁ～ここはお仏を供える静かな場所なのに！本当に侮辱だわ！」

「やっぱり怒っているじゃん！」

薛勇（シュエツヨシ）は俺に目を細めて、愚痴を言い続けた。

「それはお前のせいだろう、先まで曹愛青（ソウアオイ）と二人きりていいよなぁ！」

「俺がバスに乗ってから、左側は白婷婷（ハクテイテイ）、右側は葉佳林（ハカリン）で、この二人はずっと俺のせいで、人が見失ってしまい、席並べがおかしいとか、もううんざりだ」

「だって自由に発揮するからって言ってでしょう？」と俺の笑顔がますます強くなりました。

「え？どうした、進展あり？こんな明るい笑顔で」彼はタバコを消して俺に振り向いて聞いた。

「進展なし」と彼は首を横に振った。

「ダメだな！こんなにいいチャンスなのに」

薛勇（シュエツヨシ）は嘆き、手をたたいて立ち上がると言い続けた。

「お昼はお寺の食堂でご飯を食べて、午後は自由活動でお寺を参観したり、お経を聞いたり、山の裏に行ってサルを見ってもよい、五時半に山を下ればそれでよし」

「君は？何の予定があるの？」

「俺？」

薛勇（シュエツヨシ）は勝ち誇ったように微笑み、「葉佳林（ハカリン）はご飯を食べたら、サルを見に行き、それから山に登って夕日を見に行くように頼んだ」と言った。

「五時半から戻るのに、夕日を見るの？」

「君ってバカか？」と薛勇（シュエツヨシ）はニヤニヤ笑いながら言い返した。

「???」

「行こう、ご飯よ」

夕日を見る？そんなわけがない、彼らも感情を養うためのチャンスだねとようやく俺が気づいた。

「ねえ、先から言ったじゃん、ここは静かなお仏様の場所だって」

「そうだけと、でも俺には慣れないからさ」

...

...

詮霊寺（センレイジ）の精進料理はとても美味しく、数百人分の大鍋でも美味しかった。

まあ、来る前から支払った3000円のツアー料金を考えると、美味しくなくでも美味しいと言わざるを得ないのでは…

食事の後、食堂や隅で昼寝をする生徒もいれば、集まって携帯でゲームを遊んでいる生徒も増えました。

詮霊寺（センレイジ）は非常に大きく、市内の有名なお寺ほど大きくないが、山や森に隠れているため、世間の漂う雰囲気が少なく感じる。

俺はお寺の中を散歩しながら、周りを見ていった。今までは仏教を信じていなかったが、忘れられない九月を経験した後、未知のものに敬意を払うようになった。

知らず知らずのうちに、寺の南西隅にある地蔵堂に行き、中には入れず、長い間、堂の外で徘徊していった。

空にある太陽が次第に暗い雲に覆われ、山の中の天気は変化が激しく、朝はまだ晴れていましたが、午後には水気が濃く、間もなく山の雨が降ってくる模様だ。

この時、地蔵堂の入り口には黄色い服を着たお坊さんが現れ、年齢は60から70歳ぐらいで、鼻には老眼用のメガネを少し下げ、少し頭を少し下向きし、目を上げて、優しい笑顔で、俺に手を振った。

「若い施主よ、入ってここで隠れなさい。もうすぐ雨が降るから」

俺は躊躇しながらゆっくりと年老いのお坊さんに近づき、不自然に両手合わせた。

「大師……俺は……屋根のしたに隠れているだけでいい」

「それなら、ここの敷居に座ろう」

そう言って、老僧は黄色袈裟を持ち上げ、何気なく敷居に腰を下ろした。

俺はちょっとびっくりしましたが、どうしようもなく、彼の隣に座ってしまいました。

しばらくすると、雨がパラパラと降り始めました。遠くから来た学生達は、地蔵堂の敷居前に座っている二人を見て、違和感があるが慌てて走り去った。

俺は屋根の下から線のような水滴が沈んだ青石板に落ちるのを見て、それを手でつかむと、水滴が手のひらに飛び散り、氷のように冷たく感じました。

「若い施主のお名前は何ですか？」と老僧は、左手でブレスレットを弾きながら親切に尋ねました。

「はい、賀天然（ガテンネン）と申します」

俺は年長の方に接すると、少々堅苦しく感じていった。

「賀天然（ガテンネン）？自然に生まれたの『天然』ですか？」

「いいえ…それは『自然で豊かになる』の『天然』です」

俺は小さい頃親父から聞いた話しを思い出し微笑んで答えた。老僧も笑い、賛成も否定もせず、ただこう言った。

「先から殿の外でずっと回っていったが、それはなんですか？」

俺はこのような喋り方があまりなれなく、濡れた手を引っ込めて答えた。

「ただ、違和感があっただけ」

老僧は、なんにも言わずにただ、俺を見つめているようだった。

「大師……あの永遠に無限に落ちるってご存知ですか？」

雨の中に閉じ込められた俺は、思わず心に潜んだ疑問を聞いた。

老僧の手にあったブレスレットの回転が止まり静かに仏の名前を唱えました。

「昼も夜も苦しみ、災いさえも終わりのないことから、無尽蔵と呼ばれる」

彼女は永遠に9月に閉じ込められ、自ら演出した悲劇的な未来を繰り返し見ている。

「大師……それを成仏することできますか？」と俺は唇をわずかに震え聞いた。

老僧はしばらく俺を見つめていましたが、手を放すと微笑ましく聞いた。

「若い施主は、戯曲を見ますか？」

「戯曲？大師……これは……俺の質問と何か関係があるの？」

「関係がありませんが、たっと、先程名前の解釈で、ちょっとある戯曲を思い出しただけ」

と老僧は言った。

「大師、戯曲はあまり知らないのですが、先の質問は……」

俺は自分の名前のくだらない意味が何であるかを知りたくもない。今はその質問に対する答えを知りたいだけだ。

「一時にと止まらず、カルマが尽きて、初めて生まれ変わることができる」

「つまり……俺は……また彼女に会えるってことですか？」

俺の希望に満ちた質問に対して、彼は「若い施主、恋愛の占いならば、この地蔵殿に来るべきではない」

「……」

さすが！

俺はその場でがっかり感が半端ない、現実にドラマのような神僧にあえるわけがない。よく考えてみると、神僧にはこのような観光地で住むわけがない。

俺は雨粒が落ちた後の波紋を眺めながら、地面の水たまりに視線を戻した。

「すべての法は条件に応じて生まれ、心と幸福で生き、誰が誓いを立てても、そのような結果が得られる。天然施主、拙僧はあなたと縁があるから、一つの言葉を贈りましょう」

「それは、『動く』のだ」

俺は動かなかっただけでなく、意味も理解できなかった。

「大師、これってどういう意味？どう動けばいいですか？」

老僧は横向きになり、俺も動きだし彼に向かって慎重に座った。

「流水は腐らず、扉の丁番は軋まず、動くのだ」

話が終わった後、手に持っている百八の星月菩提珠（せいげつぼだいじゅ）のブレスレットを俺の首にかけ、俺が頭を縮めようとしましたが、それを避けられなかった。

「百八の味を証明し、百八種の悩みを取り除き、これからは、思考を動かすたびに、この珠を1つ動かして、これこそ最も微動である」

そう言われても、俺はこの老僧の後で何を言うかを大まかに予測できた。

「私は星と月を香と交換し、縁はどこまでなのか、貴方の次第である」

案の定、老僧はゆっくりと言い、袈裟のポケットから携帯を取り出し、手際よく決済用のQRコードを開いた。

このプロセスはめちゃくちゃ慣れている！！

俺は胸にぶら下がっている菩提のブレスレットに触れ、値段がよく知らないが、ただ、星と月の菩提珠には「三日月」の印があることをみて、これが俺にとっては結構いい意味で好きだった。

元々は500円をあげたかったのですが、これが原因で5000円をあげました。

老僧は微笑みし、俺はここにいるのがつまらなくなってきたので、立ち上がって彼と別れを告げました。

雨が降り続いている中、少年は隣の仏堂の廊下をゆっくりと歩いて行き、背中だけを残して星月菩提珠（せいげつぼだいじゅ）のブレスレットを外し、静かに両手を後ろに回して指を動かした。

老僧は、少年が先程見つめた水たまりを見て、こう唱えた。

「すべては幻想であり、すべての出現と非出現を見るなら、あなたは如来を見たことになる」

軽く指を弾くと、老僧は独特な声が雨の中に響き、「牡丹亭」という戯曲らしい。

「まあ、この門に入らなくても構いません」