第51話 狂ったように君に夢中

10月1日、新しい日、朝。


俺は早くスーツケースを持って港町市の新幹線駅に来て、今の気分がドキドキしていて、昨夜もよく眠れず、朝には目の下に2つくまができていましたが、気合が高かった。


昆明に到着するのは午後のはずで、その時間に市内を散歩し、ユースホステルに一泊し、その後大理、麗江まで車で移動する。


徒歩で玉峰まで行く途中は、景色がいいと聞きましたが、雪をかぶった山々も見えますので、彼女はとても気に入るはずだ。


俺は頭の中で考えて、嬉しそうな表情で、ここの中から、この旅でもしかして、童貞卒業できるのか…


しかしすぐに、俺がこの邪気な考えを捨て、焦らず一歩一歩行かなきゃと言いつつけだ。


時が経ち、駅には人が行き交い、俺は椅子に腰掛けて足を震わせ、時折携帯電話を見たり、時折改札から出てくる人混みを眺めたりした。


老いも若きも、男も女も。


しかし、彼女の姿がいなかっただけ!


「急いで、出発時刻まであと15分。渋滞なの?時間変更するなら、また間に合う!」


俺は彼女にメッセージを送ったが、だが、今日送ったすべてのメッセージのように全く返事がなかった!


俺の心に不安感がじわじわと広がっていく。


何度も電話をかけだが、ずっと繋がらなかった!


まもなく、出発の時間になりベルが鳴り、待っている人がホームで長い列に並んでいましたが、そして、徐々に短くなり最後で散らばっている人が数人しかいなかった。


「まもなく昆明行きが発車します。乗り遅れのないように!」駅のアナウンサーが聞こえていた。


「乗らないの?」と隣にいる掃除のおばさんから声をかけられた。


「……彼女がまだ来ていないので、待っている」


「若者と言ったら、早く切符売り場で時間変更した方がいいじゃない?どの時間帯にも電車があるので、心配しないで」


「うーん…ありがとう、か…彼女に聞いてみる」


俺が親切のおばあさんに話した後、さまざまな憶測が飛び交った。


張之凡チョウシノブが復讐を始めたのか?


ありえない、温涼ウェンスズミの父親の弟子達だけで、誰が彼女に復讐する勇気があるでしょうか?しかも昨夜は俺が直接彼女家に見送りしたし。


では、朝出かけたとき、急なトラブルに巻き込んだのか?


そう考えると、俺は急いで温師匠に電話をかけ、いつもの力強い声が受話器から聞こえた。


「もしもし、天然くん、珍しくね?休日なのにお電話してくれるなんで?」


「師匠…えっと、ウェンさんがいますか?」


「あ、スズミ?昨日帰ってきたら、何か持って演技スクールに戻ったよ、この連休中でも休まず、ずっと授業があるみたいだね!」


「演技スクール?じゃあ……そこってどこか教えてくれますか?」


俺は師匠からスクールの住所と電話番号を聞いて、再び彼女の先生に電話した。


女性の先生が電話に出た。


「こんにちは……」


「もしもし、どなたですか?」


「えっと、今日は温涼ウェンスズミさんが授業に来ましたか?」


「いいえ、昨日休暇を取ったって、大事な用事があるから、10月1日にも戻れないと言って、君は?...」


「ああ、なるほど、ありがとう」


俺は非常に心配して電話を切った。


ここに来る途中で何かが起こったら、師匠は間違いなく知っているだろう。それでは、彼女は昨夜どこに行ったのですか?


少年はずっと待っていました。


時間が午後になり、駅には人でいっぱいだったが、それでも待ちたい人を見つけることができなかった。


俺の希望は少しずつ崩れていきました。


最後に、駅から出ました。


俺はボクシングジムに行ったが、ボクシングジムのドアは閉まっていた。


再び演技スクールに行って、生徒たちの怪しげな視線の中、スーツケースを引っ張って悲しそうに立ち去った。


俺は朴店長のところまで行って、そこで彼女の歌声を聞こえるほど期待してが、またがっかりした。


それから学校に行き、スーツケースを足の下に置き、学校の高い壁を初めて乗り越えた。


いつも逃げたかった場所は、このとき最後の希望となった。


休暇中の学校は空っぽでした。


俺はキャンバスの芝庭に行き、一目で彼女を見つけることができることを願っていった。


講堂に行き、たとえ、今度はイタズラでもよかった。


教室にもいった。


もう一度彼女に出会いし、再び手を握りそして、学校の近くで重慶ラーメン屋さんに食べに行き、彼女に「全然怒ってないから隠れないで」と言いたい。


行かなくでもいい、港町市にも色々な面白いところがあるし、また一緒に行っていないし、計画が上手だから、きっと充実した長期休暇を過ごすことは間違いありません。


秋の日差しがカエデの葉を飛ばし、窓から教室に差し込んでいた俺は、日差しで区切られた黒板を見て、感情を抑えることができず、しゃがみ込み、目に涙がこみ上げました。.


そこにはこんな一文が書かれていた――


「もし私がいなくなったら探さないで、勇敢に未来へ向けて、手放すことを学んでね」


俺は手のひらで涙を拭い続けたが、涙はますます多くなった…


あの夜、温涼ウェンスズミが俺にダンスを教えたときも同じことを言ってだと思い出した。


「私がいなくなったら、探さないで、手放して…」


その時、俺は手放してとしかはっきりと聞いてなかったため、本当に手放しました。


俺が手放した後、彼女がお礼をしていったが、まるで別れを告げるような、感謝の気持ちを込めているような。


残念ながら、そのシーンはもう思い出になってしまった。


彼らの未来について、彼女が決して言わなかった。それは、彼らは未来がないことを予めしているからなの?


もっと早く告白したら、違う結末になるのか?


もし、彼女が去ることをもっと早く知っていたら、俺はずっと彼女への気持ちを彷徨う時間をしなかったら、こんなに時間を無駄にしなかったら…


「どこ行ったの……転生者じゃないの……転生者ってみんな超能力じゃないの……帰ってきて……」


俺の涙は大粒で地面に落ち、視界がぼやけ、見覚えのある人物が教室に入ってきて、一歩一歩俺に向かって歩いている。


すごく見覚えのある人、すごく見覚えのある顔、愛している人だ…


俺はすぐさま彼女の手をつかみ、立ち上がって、まるでしっかりと抱きしめれば、彼女はこのまま離れないかのように。


スズミ、冗談だ…よね?」


失ったものを取り戻す興奮で俺の声が震えた。


「賀、賀さん…彼女…彼女は去った…」


抱かれた彼女が俺を押したが、俺は全く動かなかった。


「そんな、また嘘をついたんだろう……今ここにいるじゃん?」


俺は腕の輪にいるのは彼女、他の誰かではなく、温涼ウェンスズミだけであることを知っていました。


賀天然ガテンネン!」


少女は力を込めて押し離れ、俺はぼんやりと目の前の温涼ウェンスズミを見て、見にくい笑顔で、手を伸ばして彼女の顔を愛撫したかった。


「君だよ!もう演技しないで、怒ってないよ...」


「パン!」


差し伸べられた手は空中で凍りつき、頬には焼けるような痛みが走った。少女は少しパニックになって手を引っ込めたが、そして一言ずつ言った。


「言わせて、彼女はいなくなった、私の体に別の魂が…あるいは未来の私、彼女はいなくなった!消えた!消えた!戻ってこない!わかる?!賀天然ガテンネン!」


――――

※1)タイトル:狂ったように君に夢中

有名な詩人李商隐「無題」から引用した内容「未だ妨げず惆悵、是れ清狂なるを」ですが、意味は、恋の病は無用で憂鬱だと知っていでも、心に刻んだもっとも深の愛が既に止められない。

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