第16話 僕ができること
凛花さんが倒れてから数時間が経ち、僕は彼女の病気について医者から話を聞いていた。
「それで…先生、彼女は───凛花さんはどんな病気なんですか?」
「端的に申し上げますと、臓器移植が必要な心臓の病気でして…」
「…因みに、ドナーは見つかっているんですか?」
「…残念ながら、見つかっておりません」
「それじゃ…彼女は…」
「…今のままではまず助かりません」
その言葉で僕は、胸を刺されるような思いだった。
そして僕は、震える声で医者に聞いた
「僕に……僕にできることはありますか……?」
医者は少し考える仕草をして答えた。
「───貴方は、側にいるだけでいいんです…何て言われても、きっと貴方は納得できませんよね……昔の私もそうでしたから……」
そう言って医者はどこか遠くを見つめる。先生にも何か思うところがあるのかもしれないな…
「…貴方にできることは、二つあります。一つ目は、先程も言いましたが、凛花さんの側にいること。…そしてもう一つは───ドナーを見つける事です。」
「ドナーを、ですか…」
「ええ、見つけることさえ出来れば、凛花さんは助かります。…ですが、凛花さんの側にいてあげることも蔑ろにしてはいけません」
「?」
「いいですか、心臓の手術は体にも、そして精神的にも相当な負荷がかかります。そんな時に一番大切な人が側に居ないようでは、助かる命も助かりません」
「…そうですね」
「…凛花さんのドナーについては、こちらも全力で探させていただきます。ですから、貴方も出来ることをやっていただけると幸いです」
「…はい」
「それでは私も次の患者さんが待っているので…」
「はい、ありがとうございました」
そう言って僕は診察室を後にしようとすると、背後から医者に一言声をかけられた。
「頑張ってくださいね…貴方も」
その言葉を聞いたのを最後に僕は病室を出た。
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