第17話 君の隣で

病室を出た後、僕は一度心を落ち着かせ、先程言われたことを思い返す。

「彼女のそばにいてあげることも僕に出来ること……か」

…確かにそれが僕にできることなのかもしれないけど……うん、取り合えず、考える前に凛花さんの病室に行ってから後のことは考えよう。

そう考えて、僕は凛花さんの病室に向かって足を動かし始める。

…それにしても、凛花さん、昔何処かで会ったことがある気がするんだよな……確か、その子も入院していたっけ。

そのような事を考えながら歩いていると、凛花さんの病室にたどり着いた。

────トン、トン

「失礼します」

そう言って中に入ると、中では凛花さんがベッドに横たわっていた。

顔色は悪く、身体には点滴のチューブが付いている。僕は、そのベッドの側にある椅子に腰を掛けて、凛花さんの手を握る。その手は少し、冷たかった。

「凛花さん…」

なんて言葉をかけても、言葉は返ってこない。病室には、僕と、彼女の呼吸音しか存在していなかった。

「僕が…僕が無理させていたのかな…」

───彼女の家に行った時、診断書らしき物と、薬が置いてあった。僕はそれを見て見ぬふりをしてしまった…

あの時、凛花さんに何か言っていれば…何かが変わっていたかも知れないのに……

そんな時、突然凛花さんが反応した。

「…………とお………る…………く………ん…?」

「凛花さん!」

「あ……はは……ごめんね……病気のこと……だまってて……」

「大丈夫……大丈夫だから、今はゆっくり休んで」

「う…ん……あのね…透くん…私…透くんに会うまでは……別に…死ぬのなんか…怖くなかったけど……今はね、生きていたいんだよ……透くんと……もっといっしょに…いたいから……」

「…」

「…でも…ね…透くん…と……一緒に……いる…と……たのし…くて……つい…むり……しちゃって……倒れちゃった……」

「……大丈夫……大丈夫…凛花さんの病気は治るから…だから…治ったら、また一緒にご飯作ったり、カフェに行ったり、遊園地に行ったり、凛花さんがやりたいこと何でも良いからやろう?」

「うん…約束だからね…」

そう言った後、彼女はまた眠り始めた。


その後、僕は家に帰り自身の持っている全人脈を使ってドナーを探し始めた。

幸い、僕の知り合いに医療関係の人がいる。その人たち一人一人に片っ端から連絡をかけていく。



「 大丈夫、凛花さんのドナーは僕が見つけ出してみせる」


────だからさ、これからも僕を君の隣に居させてよ…凛花さん。





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お待たせしました。次話の投稿予定は下の近況ノートにて記載しております。


https://kakuyomu.jp/users/oukabannrai/news/16817330664429166716

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