第14話 最後の一週間と明かされる真実
翌日、昨日あんなことがあったとは思えないような、「いつも通り」の日常を過ごしていた。
僕は、若干昨日のことが気になっていたが、一先ず凛花さんが話してくれるまで待つ事にした。
そして、お昼に差し掛かった頃───凛花さんが倒れた
原因は分からない。だけど僕は冷静に保健室へと運んだ。すると、保健室の先生は凛花さんを見るなり血相を変えて、救急車を呼んだ。
「先生!?どうしたんですか!?」
「…君は知らなかったのね…凛花さんの持病のこと」
「…持病?」
「ええ、彼女はとある重い病気にかかっていてね…ちょうど始業式の前日、手術をしないと、もう先は長くないって言われていたらしいの」
「そんなのって…それで、彼女はいつ手術を受けるんですか!?」
「受けないわ」
「なんで!?」
「さぁね、本人が拒否しているらしいわ。手術をしても、成功するかは分からないし、しかも好きな人がいるから、その人に告白してからが良いって言ってたわね」
それって────
「ええ、今ようやく分かったわ…好きな人というのは君の事だったのね」
「そんな…」
すると、救急車のサイレンが聞こえてきた。救急車が着いたようだ。
そして、救急隊員が中に入ってきて凛花さんを運んで行った。
「誰が付き添われますか?」
「先生が───」
と僕が言おうとすると、
「彼女の付き添い、君が行ってあげて」
いきなり、先生がそんな事を言った。
「…良いんですか?」
「ええ、後のことは私がやっておくから、君は今はただ彼女の側にいてあげて…」
「──分かりました」
そう言って僕は救急車の中に乗り込んだ。
──── 凛花視点────
昨日あんな事があったけど、今日はいつも通りに過ごそうと思った。私の持病の話は今日の帰りにでも…なんて気楽に考えていたんだけど…まさかここにきて体の限界がきちゃうなんてね…
まあでも、考えてみれば当たり前だ。かかりつけ医にも言われていた、手術をしないと一年も生きられないと言う話。
透君との日常が楽しくて、すっかり忘れていた。余命の話も、手術の話も全部。
私は、余命宣告を受けた時、手術を受けずに残りの短い余生を過ごそうと思っていた。
でも、私の最後の心残りは、透君だった。
そして私は透君との出会いを思い出す────
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今回は展開の都合上かなり短めの話でしたが、すごい急展開でしたね、次回は透と凛花の出会いのお話です。
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