EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)11

クライングフリーマン

残党

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。通信担当。

 白井紀子・・・EITO大阪支部メンバー。資材・事務担当。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・三つ子の芦屋三姉妹長女。大阪府警からの出向。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。大怪我を負った為、休職中。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋財閥総帥。総合商社芦屋会長。EITO大阪支部のスポンサー。総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 横山鞭撻警部補・・・大阪府警の刑事。

 友田知子・・・南部家の家政婦。

 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

 藤島一郎・・・藤島病院院長。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からの出向。


 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =


 午前11時。藤島病院。一美の病室。

 大前と総子がやって来ている。

 「暇じゃ無いんだから、毎日来なくていいのよ、『きょうだい』揃って。」と、一美は笑った。

 「一美ネエには、報告したいねん。」と、総子は言った。

 「支店長は、親の為に借金出来たらしい。支店長ともなれば、給料はええけど、難しい手術したから、大金出て行った。それに加えて、雇った介護士が連中のスパイやったらしい。藤島先生によると、ちょっとずつヒ素飲ませて体調悪いままにして『生かさず殺さず』にされていたみたいや。介護士は警視正が指名手配したけど、捕まるかどうか。那珂国に逃げられたら、しまいや。それはそうと、吉本知事からEITOに護衛の依頼が来た。明日は選挙運動の最終日やろ。明後日、投票やから。一番油断しやすいからな。みーんな。」

 大前の言葉に、「大阪市長選挙の方は?」「畑政則っていう、一心の会の候補が出てるから、そっちもや。総子は乗り気やないけどな。一美からも言うたってくれ。知事やから守る、一心の会の市長候補やから守るって訳でもないんや。」と、大前が言った。

 「私がこの前頼んだのは、元カレっていうだけじゃないのよ、総子。テロリストに狙われそうな人は、身分や地位は関係ないの。お願い、守ってあげて。コマンダーの言った通り、明日だけの話よ。投票日はね。候補者も後援会も事務所で、じっと待っているものなのよ。お願い。」一美は、涙を流し、総子に手を合せた。

「ゴメン、一美ネエ。ウチらがちゃんと守るさかい。ホナな。」

 正午。病院の食堂。

 「いつも、きょうだい、仲ええな。ホンマのきょうだいみたいやな。」と、院長がトレーに乗せたカレーライスを持って、大前と総子のテーブルにやって来た。

 「実はな。不審な患者を見かけたって言う看護師がおってな。今夜、こっそり『引っ越す』ことにする。」

 と、2人にそれと無く、ひそひそ話をした。「東京の池上先生から、関係者もしょっちゅう危険な目に遭うって聞いてるさかいにな。」

 院長は、瞬く間に食べ、去って行った。

 総子と大前は、お互いに頷き、静かに食べた。

 午後2時。EITO大阪支部。会議室。

 「という訳で、明日の晩、3チームに分かれて行動する。」と、大前が言うと、「コマンダー。2チームと違いますのん?」と、ジュンが言った。

ぎんは、それに反応して言った。「3チーム目は、一美警部の護衛。合ってます?チーフ、コマンダー。」

 「正解や。ただ、何か事件が起きたら、間引きして、そっちを優先する。」

 「コマンダー。JR難波で放火です。応援要請です。」と、いずみが言った。

 「湊町か。よっしゃ。取り敢えず、それや。避難誘導や。馬場君、頼むで。」と、大前はオスプレイ操縦担当の馬場に声をかけた。

 湊町は、改名して今はJR難波という駅名になっている。大前は、思い入れがあるため、ついつい、この名前で呼ぶ。

 オスプレイは、大阪府立体育会館の近くで、EITOエンジェルメンバーを降ろした。

 総子達は、現場に到着し、整理に当たっていた所轄の巡査部長に指示を仰いだ。

 「実は、火災発生30分程前に『爆発物を仕掛けた』という電話がありました。本署に処理班を要請してはいるのですが・・・。」と巡査部長は総子に話した。

 そこへ、遅れてやって来たEITOエンジェル姿の二美が現れた。陸自からの出向の二美は爆発物の処理の専門家でもある。

 総子がかいつまんで話した。「オッケー。チーフ、1チーム預けて。」

 総子は皆に言った。「チームAは巡査部長に従って。チームBは私たちと爆発物捜索。」

 ぎんが率いるチームAは警察と共に避難誘導に走った。

 ジュンが率いるチームBは、総子と二美駅構内に入って、走り回った。10分ほど走った総子達は、ホームに出た。列車が止まっているが、皆避難していて、乗客も駅員も車掌も運転士もいない。

 1人1車両点検したが、何も見つからない。

 総子は走った。ひょっとしたら、ひょっとしたら、と思いながら。

 すると、火災の為駐まっている列車の前にダイナマイトの束が見つかった。

 総子は緊急通信用ガラケーで、二美を呼んだ。

 二美が走って来た。駐まっている列車は待機しているだけで、運転手も車掌も乗客も乗っていた。

 「すぐに解体作業に入ります。」と、二美は運転手にだけ話した。

 「ジュン。改札まで戻って、処理班到着したら、案内するんや。頼むで。」「了解。」

 ジュン達は走って戻り、バケツリレー式で案内する体勢になり、ジュンは改札口まで戻った。

 総子は、大前に連絡をした。「了解した。避難誘導は大体終った。高速の近くまで移動した。」

 総子は固唾を呑んで、二美を見守った。時限装置の解体が終った。あと20分で作動するところだった。

 大阪府警の爆発物処理班が到着した。二美は、軽く経緯を説明した。

 ぎんから、総子に連絡が入った。もう燻っている場所はない、とのことだった。

翌日。午後8時。吉本知事の事務所。

 「泣いても笑っても、24時間後には結果が出る。みんなご苦労やった。

 スタッフは三々五々帰って行った。秘書がもうすぐ来ると思っていたが、30分待っても来ない。首を傾げながら、吉本はスマホを持った。

 首の後ろから、冷たいモノが当たった。ナイフだった。

 気が付くと、数人の男達が吉本の回りにいた。

 「怪我したく無かったら、ちょっと来て貰おうか?」

 男が言った途端、メダルが跳んできて、ナイフは弾き飛ばされた。高笑いがした。

 「アホ、ちゃうーーー。」男が目をやると、EITOエンジェルズがいた。

 「EITOエンジェルズ、参上!満を持して!!」

 総子の台詞に合せて、EITOエンジェルズのメンバー、ぎんが率いるチームAの美智子、真美、真知子が闘い始めた。幸い、男達は拳銃を持っている男は数名で、他の者はナイフやバットだった。

 祐子と総子は吉本を連れ出した。そこに現れた男は拳銃を持っていた。

 「悪く思うなよ。」と、男が言うと、「思うわよ。」と、警察官姿の二美が現れた。

 「貴様。何で?」「語るに落ちたわね。興信所に現れた男の目撃情報があったから、『再会』してあげたのよ。生きてるわよ。ほら。脚もちゃんと動く。」

 二美は、言うが早いか、男に突進し、警棒で男の拳銃を落とし、平手打ちをした。

 「闇頭巾の手下の生き残りの川瀬力也。色んな容疑で逮捕する。」二美は男の背後に回ると、肩を脱臼させた。

 横山警部補が部下と共に現れた。横山は「コスプレにならんなあ、似合いすぎて。」

 ニッと笑った横山は、二美と総子に頷くと、川瀬と川瀬の仲間を逮捕連行した。

 南部興信所の幸田、花菱、倉持がやって来た。

 「お嬢。これで一美さんも安心やな。」「ありがとう、幸田。倉持もようやってくれた。」倉持は照れ笑いをした。「毎日、手配書見てましたさかい。」

 総子のスマホが鳴動した。「チーフ。そっちは?」とジュンが言った。

 「上出来や。」ジュンが率いるチームBの真子、あゆみ、みゆきは、ジュンと共に一心の会の大阪市長候補畑を護衛に行っていた。

 午後8時。藤島病院。一美の病室。

 白衣を纏った男が入って来て、ナイフを振りかざした。突然白い布団が捲り上がり、看護師姿の今日子が姿を現した。男が驚いた瞬間、その布団が男の体を覆った。

隠れていた悦子が巻き付けたのである。馬場が、布団越しにボディーブローをした。

男は、真壁が手錠をかけた。男は抵抗をしようと試みたが、真壁が『金蹴り』をすると、大人しくなった。待機していた警官隊がやって来た。

 逮捕連行されていくのを見届けた悦子は、総子に連絡を入れた。

 藤島院長は言った。「これで、北船場第二病院にも顔向け出来るな。」

 藤島看護師は言った。「無理矢理転院させた甲斐があったわね、お父さん。」

 午後8時半。オスプレイの中。

 総子が状況を大前に報告をした。

 「ようやった。総子。みんな。今日は直帰せえ。二美。悪いけど、もう一働き頼むで。」

 スピーカーから流れる声が、紀子に変わった。

 「皆、明日のお昼は赤飯やで。三美さんが用意してくれるって。」

 「東京本部にも成果は連絡しておきました。」と、いずみが言った。

 オスプレイの中は歓声で溢れた。

 午後9時半。総子のマンション。

 「すき焼き?気イ効くなあ、知ちゃん。」

 「一美ちゃんの事件の犯人、捕まってよかったな。これで枕高くしてねられるな。」

 「なあ、あんた。」

 「何や。嫌な予感がするなあ。」「うん。今夜は寝かせへんでえ。覚悟しいや、ダーリン。」

 「ホンマ、怖い嫁はんや。」

 ―完―


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