第9話 ふわとろオムライスちゃん

 youtubeでシェフが作る「ふわとろオムライス」の動画を見たら、めっちゃオムライス食いたくなった。最後にオムレツ切ったら半熟の卵がパカって出てくるタイプのオムライスが食いたい。ジューシーなチキンがふんだんに入ったチキンライス。それを包み込む卵。最後に上からデミグラスソース。俺も今度オムライス作ってみる。


 最近、食べ物のことばかり考えている。食欲の春です。レバニラが食いたい。モツ煮が食いたい。焼肉が食いたい。暗殺者のパスタが食いたい。サクサクの甘いコロッケが食いたい。メンチカツが食いたい。ケンタッキーフライドキチンが食いたい。牛丼が食いたい。サイコロステーキ食べたい。唐揚げが食いたい。豚丼が食べたい。レバー食べたい。カツ丼食いたい。


 肉ばかりじゃねえか。


 でもやっぱり世の中1番うまい食い物は肉だ。


 地球最後の日。俺は高級な焼肉屋に行って、全部のメニューを注文したい。俺は焼肉屋では必ずライスを注文する。ライスがないと始まらない。ついでにキンキンに冷えた生ビールも注文する。そして輝く肉にタレをつけて豪快に喰う。最高の気持ちの中で死を迎えたい。


 カイジっていうアニメの最終回で、仲間みんなで焼肉屋に行くシーンがある。あれ見ると焼肉食いたくなる。ギャンブルで戦う作品なのだが、数億の大金よりも、金で買えないものを主人公が終始選択し続けるのが深い。


 高校生の頃、最寄り駅前に肉屋さんがあって、そこの惣菜がクソうまかった。何年も前に潰れてしまったけど。安くてうまいという最高の店だった。メンチカツとかコロッケとかチキンとか、たまに食ってた。


 youtubeで見てるのはメシの動画か、動物の動画ばかりだ。


 マックのポテト食いてえなあ。ちなみに俺がマックで1番好きなバーガーはエビフィレオだ。えびが好き。


 うちの近所にはマックがあって、牛丼屋もあって、パン屋もあって、うまいレストランもある。


 こないだ蒙古タンメン中本の店舗に行って、「蒙古丼」ってやつを食べてみた。クッソ美味かった。ラーメンよりも蒙古丼の方が好き。店舗に行ったら食ってみてほしい。


 ◆


 現在俺は、ベランダに出て椅子に座って日光浴をしながら酒を飲んでいる。春の麗らかな風が吹く。最近は暖かいのでTシャツで過ごしている。今の時期は選挙カーがうるさいな。


 金よりも金で買えないものの方が尊いのは確かだが、金がないと生活ができない。全ての維持には金が必要だ。


 明日、単発バイトをしてくる。


 B型で働く他に、たまに単発バイトはやっている。年金とB型の賃金だけじゃ、とてもじゃないが無理。


 俺は継続的に働く能力がない。そういう人は単発のバイトがいい。


 ◆


 酒飲みながら音楽聴いてぼーっとテレビ見てたら、唐揚げ専門店の特集が流れた。クソうまそう。俺も唐揚げ専門店を開きたい。


 世の中にある食べ物の中で、唐揚げって本当にトップクラスに美味いからね。


 ネット掲示板でも見たけど、ここ数年は脱サラして唐揚げ専門店を立ち上げるのが流行ってるらしい。


「Unknownからあげ」を発売したいと思います。お値段は10個100円。


 家庭でもおいしい唐揚げが作れたらいいんだけど、唐揚げに関しては店の商品の方が百倍うまいと思う。唐揚げは誰でも簡単に作れるからこそ奥が深い。


 ◆


 生きる意味がよくわからない。


 とても近くにいた人が何年も前に自殺してから、俺は自分の生きる意味がわからずにいる。俺は空っぽだ。


 即物的快楽に身を委ねればいいのか。


 その後に残るのが虚しさだけだと知っていても。


 俺は何もできなかった。


 彼女が亡くなった責任を取るために、俺も自殺した方がいいんじゃないかと今でも真剣に思っている。でも彼女は多分それを望んではいない。彼女は俺に「幸せになってほしい」と言い残した。でも、どうしたら幸せになれるのかわからん。


 俺もそっちに行きたいと思うことが多々ある。


 今、何故か高校時代の俺を想起していた。高校時代の俺はいつも1人だった。きっとあの頃から俺の人生観は定まってしまった。俺は常に1人なのだと。俺は“みんな”とは同じになれないのだと。そして案の定、俺は精神科医からいろんな診断名を下された。俺は完全に諦めがついて、少し楽になれた。それと同時に絶望した。






 次回に続く

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