第21話 政界へ
ここ横浜の人間どもが行き交う交差点から彼女は感じていた。
彼女はケイタを感じていた…。
なぜなら、彼女の使い魔のケイタが横浜から抜け出し、都内へ移り住んだのだ。
ケイタは彼女譲りの魔のチカラを使い、まだ当選間もない新人のKという国会議員の秘書として潜り込んだ…。
Kは政治には、正直何にも関心は無い。
ただ、金儲けと先生とおだて上げられる事に快感を得ていただけだった。
政策や陳情などは全て秘書任せ…中でもケイタの持つチカラに飲み込まれて、自分では気づかぬうちにケイタの傀儡となっていた。
若いながらも保守系二世として、急死した父親の地盤を引き継ぎ、派閥の中でも注目を浴びていたKは、二期目に当選すると、派閥の中でも発言力が増してきた。
Kの発言は、全てケイタの言葉…。
Kの発言により、他の議員も徐々に感化され、Kを祭り上げた。
保守系二世議員だが、国民からの人気もあり、三期目当選するとあれよあれよと内閣に入閣する。
「ケイタ…この案件はどうする?」
「先生。人前では名字で読んで下さいよ」
ケイタはKに耳打ちする。
「あはは…構わないじゃないか…いやすまない、今度は気をつけるよ」
Kはケイタの表情に怯え、すぐに態度を変えた。
「それで先生、この件はすでに対処済です。記者会見の原稿も、あげてありますので…」
Kはほっと安堵し頷いた。
Kはケイタが怒ってないからと頷いた瞬間に案件の事は忘れ、頭の中では、今夜呼んだ快楽を貪る為の女の事だけを思っていた。
ケイタは、Kの思いを読み取った。
そして、その夜の女に思念を送り、Kとの関係を大手新聞社と雑誌社にスクープさせた。
スキャンダルはKの人気をいっきに下げ、国会では野党から糾弾を受けた。
その為、大量の札束をばら撒き、コネを駆使てもみ消した。
思惑通りにケイタの思念により、Kの気持ちには、スキャンダルの女に対してでは無く、このぐらいでソッポを向いた国民、しいては日本という国に対して憤りを持った。
「畜生!女の事ぐらいで大金使わせやがって、俺を責めた与党も野党のやつらだって、夜の女と遊んでいるじゃないか!」
「この国の国民だってそうだ!綺麗事ばかりぬかして自分達だってやりたい事やってる!」
しかし、それを心に秘めながら、おくびにも出さないで、ケイタの魔の力により、Kは、またもや政界での地位を固めた。
そして、党内では次の内閣総理大臣はKだと囁かれていた…。
「先生…また札束を撒いて、総理指名選挙に勝ちましょう。公約は経済回復と自衛強化の為、憲法改革ですよ…出来ますね?」
「判った…判りました…私に力を貸して下さい…」
主従関係はすでに逆転し、Kはケイタにひれ伏した…。
「アザミお姉さん…もう少し待っててね…たっぷり楽しませてあげるからね…だって人間どもなんか沢山いるんだからね」
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