6話 The Power of Chloe, Dr. Resurrection.

――再びハルの視点へ


 ユウが助けてくれたからよかった。だが、本当にあのNは潰れたのか?

 あのNを視認することはできていない。もしも、透明だという以外に能力があったなら。

 なにか嫌な予感がし、ユウの方を向く。

 ユウの後ろに、なにか黒っぽいものがいた。さっきのNだろう。

「ユウ、危な……」

 その時、その何かが吹きとんだ。そして、パンチのラッシュを食らったようにもがいている。

 ユウはすました顔をしながら、どこからか輸血パックを取り出し、飲み始めた。

 何をしているんだろう。

「俺の能力を特別に教えてやろう。それは、血液を代償に事象を起こすこと。その事象に制限はない」

 それなら今までのことも納得だ。血液を直で飲むのもどうか思うけど。

 そんな時、博士たちが向かっていった奥から声が聞こえてきた。

「ハルさん!」

「あ、助手さん」

 私は助手さんを見て驚いた。博士をおぶっていたからだった。


「ちょっと、博士に何してるんですか!」

「やましいこと無いですよ!戦ってたんですよ」

「だからといって博士をおぶってる理由にはならないでしょ!」

「博士が気絶しちゃったんですよ!時間を止められて」

「博士が負けるわけ…………」

 時間を止めるということが本当ならありえる。いくら博士でも。

「アメリカの医務室ってどこにあるんでしょうか」

「私が知るわけ無いでしょ……あ、ユウならわかるんじゃない?」

「ああ、こっちに」

 そういうユウについていくと、しっかりと医務室があった。中は無人だ。

 助手さんがベッドに博士を横にさせる。

「でもこうやって寝てるところを見ると意外とびじ――」

 そう助手さんが言った時、彼は大きく後方へ吹き飛んだ。

 ゆっくりと起き上がる。

「あ、博士!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

特異管理局 月簡 @nanasi_1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説