アメリカ編

1話 American Administration. New N.

 アメリカ。コロンビア特別区と50の週から構成される、北アメリカ大陸の国。管理局の本部がある。


 本部があるニューヨークは高層ビルが立ち並んでいた。

「博士、ここからどこに向かうんですか?」

 ハルが訪ねてくる。

「この先に、普通に立ってるわ」

「え?日本のように隠されてないんですか?」

「いない。逆に目立つから」

 そのまま歩いていくと、鉄筋コンクリート製と思われる建物が見えてきた。実際は違うが。

 自動ドアを通ると、受付があった。

「ミズノ博士御一行様。到着なされました」

 そう歓迎の言葉を言ってくる。日本ではなかなか見ない光景だが……。

 チャリン。と、音が聞こえた気がした。

「ねえ、なにか聞こえなかった?」

 助手が答える。

「え?何も聞こえませんでしたけど」

 気のせいか。

「ではまずは局長にご挨拶を」

 そう言って受付嬢は奥に通そうとしてきた。

 だが、私は刀に手をかけた。が見えたからだ。

 Nか……?

「ふたりとも、Nがいるわ」

「え、Nですか?」

 鎖のNなんて聞いたことがない。

「ちょっとあなた達、Nがいるわよ!」

 受付嬢たちが言う。声が揃っていた。

「何を言ってるんですか。いるわけ無いじゃないですか」

 彼女たちの後ろに鎖が向かうのが見えた。

 刀を抜いた。その時、鎖が切れた。スパリと。鎖の能力と、一心同体の相乗効果だ。

 鎖を切ったのに、動いている。鎖自体は本体じゃないのかもしれない。

 その時、ナイフが飛んできた。受付嬢が投げていた。刀を振って落とす。

「ハル、この受付嬢たちのこと、任せられる?」

「もちろんですよ」

「助手、N本体を探すわよ」

「はい」

 そう言って私達は奥へ向かった。


 奥は至って平和なようだった。なにか人が倒れていたり、建物に損害が会ったりするわけでもない。

「ほんとにこの先にいるんですか?」

「きっといるわ。受付嬢たちが通そうとしてきたのよ」

 その時、奥の通路に人影が見えた。私は相棒を助手に投げつけた。

「援護して!」

「ちょ、無茶ですよ」

「私が能力で引き金は引く、だがら構えるだけ!」

 私は人影を追った。

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