16話 Director-General's meeting. How will decisions be made?

 もう一人の男は後ずさりをした。だが、普通の、ゆっくりとした後退りではなかった。

 とても早い。全力疾走しているようなスピードで後退している。私が発砲するも、それは難なく避けられてしまった。

 助手は追いかける素振りすら見せない。

「なぜ追いかけなかったの?」

「あいつを追いかけたって意味がないからです。もう『修復』は始まっているから」

「修復?」

「はい。ここに来るまでに、『局長』にであったんです」

 局長。それはこの管理局を管理するもの。能力がある。それは管理局を意のままに操ること。

 その時から、ゆっくりとではあるが、壁の残骸が修復され始めた。かってに破片が戻って接着されていく。

 これで終わったんだ。きっと。


 数日後。私は「局長会議」への出席を要求された。

 局長会議は管理局の各国の支部の各局長が集まり、様々なことを協議する。

 今回は日本支部の一時的な崩壊についてで、日本支部の局長室にて行うこととなった。来たのは主要7支部。私はその重要参考人として呼び出されたのだ。

 もし私が変な発言をしようものなら、リアルに首が飛ぶだろう。


「それで、ミズノ博士。今回の事例の概要の説明をお願いします」

 局長会議にて、私はそう言われた。私が大まかに概要を話すと、全員が険しい顔をした。

 日本の局長はどちらかと言えば気が弱い方なのであまり発言はできていない。そのせいか、変な方向に話が進んでいる。

「あの博士はAランクだ。この功績を含めると、我がフランス支部にも欲しいな」

「わたしたちのカナダ支部にもほしいな」

「いや、我がアメリカ本部に来てもらおう」

 そうアメリカの本部の局長……、総裁が言った時、それは決定した。私はアメリカ行きだ。

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