修復

15話 Crisis of death. New capacity blossoming.

 助手たちの声とともに、裸足で歩くような足音も聞こえてきた。音の方を振り向くとそこには半裸の男二人が立っていた。タトゥーも入っている。

「こんなところにいい感じの獲物達がいるなんてな」

 男の一人が声を上げた。その瞬間、カヅキ博士は声を出した男を殴りつけた。だが、びくともしなかった。

 私は落ちていた銃を無理やり拾いあげて発砲した。

 男たちはまるで腰の関節を外したかのような動きをして回避した。

「銃使いなんぞつまらんなぁ。この男も俺達の能力の前では無力だしな」

 その時私は思い出した。周囲の能力者の力を一時的に消失させることのできるNがいると……。そんな時、助手が後ろに立っていた。

「博士、大丈夫ですか?」

「傷は大丈夫だけど、カズキ博士が……」

 そう言って指さした先では、カズキ博士の腹を男の腕が貫通していた。その時、助手は大声だ話し始めた・

「博士、あなたは俺の研修のときにも 『ここには、『適応者』と『能力者』だけがこれる』と言っていました。俺は『適応者』をNという超常的なものに対して体制がある人間のことだと思っていた。だけどそれは違いました。『適応者』は入手しうる能力に対しての適合性を持つ者のことだった!」

 そう助手が言い終わると、カズキ博士の腹には何も起こっていなかった。

「俺に開花した能力はいわば『カセットテープ』。1秒間だけ、時を戻すか加速させる」

 つまり助手は一秒時を戻して博士を救ったのか。

「時を巻き戻すだなんてな。じゃあお前が死ぬといいさ。代わりにな」

 男はそう言って近づいてきたが、影に隠れていたハルが薙刀を突き刺した。

 助手の方を見たが助手はいなかった。だが、数メートル離れた男の後ろに立っていた。

「博士、この銃借りますよ」

 そういっていつのまにか取っていた私の銃を男に向けて撃った。男は倒れた。

 だが、助手の顔は心なしか疲れて見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る