14話 Preparedness. Safe because they are bonded.
腕を切り落とした博士は、真顔で言い放った。
「私は再生能力を持つNと『シンクロニズム』を利用して結合した」
シンクロニズムは異なる者同士を結合させる、管理局でも有効活用されているNだ。と、なると倒す方法はたった1つだ。
一撃で頭を潰す。だが相棒は手元にない。
博士はナイフを投げつけてきた。体を後ろに倒すことで交わすことは容易だった。
だが、博士はそのナイフの死角にもう一つナイフを投げていた。私の左肋骨に命中した。思わず声を上げてしまった。
博士がここまでの戦闘能力を持っていたなんて。
肋骨からの出血は幸い大したものではなかった。我慢すれば戦える。
私はじわりじわりと追い詰められてきた。反撃はままならない。一つひとつの動作が素早く、スキが少ない。攻撃を入れても再生される。
――ダメかもしれない。
そんな時、「コツ、コツ」と靴の音が聞こえてきた。
管理局の職員には大まかではあるが、ランクがある。その一つが強さによるランクだ。
Sが最上位。Dが最下位である。私はAに属している。は助手ならB、ハルならCといったところか。
Sランクは超少数しかいない。今近づいてきたのはSランク職員のカヅキ博士だ。彼はサイトウ博士のようにシンクロニズムを利用して、現実改変応力を持つNと結合した。
「やあやあ、えーと、ミズノ博士。お困りのようだね」
彼はサイトウ博士に一瞬で近づくと顔面に右フックを叩き込んだ。博士はありえないほど吹っ飛んだ。
「あんたは……。チッ。退散だ」
博士は廊下を走って逃走しようとした。だが、何故か天井が崩落しつぶされてしまった。
これこそがカヅキ博士の現実改変能力だろう。私にはきっとたどり着くことのできない領域だ。
その時、背後から助手たちの声が聞こえてきた。
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