裏切り者

12話 Perspective is back. To find the cause.

――視点は博士に戻る。


「助手!」

「博士!」

 助手がこちらに向かっておぼつかない足取りで向かってきたが、避けてハルのもとに向かう。

「ハルが助手のことを見ててくれたの?」

「いえ、私のほうが助けられました」

「なかなかやるじゃない」

 私たちは医務室に向かった。道中で数人の戦闘員とすれ違った。彼らはこちらを一瞥はしたがなにも言わなかった。

 医務室につくと、助手の処置を始めた。

「これじゃあ義手になるわね」

「えぇー。腕は生やすNとかいないんですか?」

「いるかも知んないけど許可は下りないでしょう」

 そんな事を話していると、入り口に気配を感じた。

「誰!?」

 私はそう言いながら構えた。人影のようなものが走っていった。

 医務室の外に飛び出して発砲する。

 命中したものの、何故か動きは止まらない。心当たりがあった。

「変身ボールか」

 変身ボールは管理局内に全部で2つある。だが今、一つは実験のため海外支部に持ち出されている。つまり2つ目だ。

 その時、家のNが言っていたことを思い出した。

「あなた達に守秘義務があることは、仲間から聞いた。だから市街地におびき寄せた。全員の記憶消去なんてこと、そう安々とできないものね」

 この発言で裏切り者が存在することがわかった。変身ボールが自発的に偵察に来たとは考えにくい。人形でないNは知能が低い傾向にあるからだ。

 私はつけることにした。

 見た目は先程すれ違った戦闘員の一人だった。どうやら何らかで攻撃されてしまったようだ。

 しばらく歩いていくと変身ボールは立ち止まった。私は身を乗り出してみてみる。

 サイトウ博士が話し込んでいた。

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