11話 Saviour again. Presenting the cookies.
あの銃声は……。 その時、男が見覚えのあるような倒れ方をした。
その時、スマホが鳴った。電話に出る。
「ハルさん、大丈夫ですか」
助手さんは切羽詰まった、苦しんでいるような声だった。
「あなたこそどうしたんですか?」
「それがですね、変身ボールに左腕を持ってかれて……。止血してるんで大丈夫ではあるんですけど」
「全然大丈夫じゃないじゃない!どこにいるの?」
「収容セクションの7階にいます」
「行くから待ってて」
私が向かおうとした時、後ろから声をかけられた。
「私を放置していいんですか?」
「いいの。どうせ数時間は動けないでしょ」
「ふっ。いいですね。あなたに渡したいものがあります」
そう言うと、男は私に板状の何かを投げつけてきた。キャッチする。
「それは特製チョコチップクッキーです」
私はそれを投げ捨てようとした。
「待ってください。これをいつか、助けが必要になった時に食べてください」
「なに気取ったことを言ってるの」
だが、男の目は本気だった。
その熱意に免じて持っておいてやろう。
「遅いですよ。なにしてたんですか」
左腕を失った助手さんは出会い頭にそう言った。
「まあいいじゃない。医務室にでもいきましょう。医師はいないだろうけど」
私たちは医務室へ向かって歩き出した。なにも言わない助手さんは意外と頑丈のようだ。
そんな時、前から走ってくる人影が見えた。
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