10話 Angry N. Show him what you see.

「そんな言葉で怒ってしまうほど怒りっぽいとは」

「そうですね。自覚はありますよ」

 その時、手に持っていた薙刀が私の方へ動き始めた。薙刀の重力を私側に変えたのだろう。

 死ぬくらいならば止む終えない。私はそう思って薙刀を両手でつかむと、足で叩き割った。

「おやおやおや自身の武器を叩き割る覚悟だけは尊敬ですね。飛ばすのもめんどくさくなりましたよ」

 私は手を握ると、思いっきり男を殴りつけた。

「お返し」

 その時、後ろからカタカタと音が聞こえてきた。薙刀の刃が飛んできていた。

 男は勝ち誇った笑みを浮かべている。

「重力の向かう方向を貴女にしました。逃げることはできませんよ」

 私は男を無理やり持ち上げると、背負投げを繰り出した。刃が男の腹に刺さった黒っぽい血のような液体が流れ出てくる。

 今度は私が勝ち誇った笑みを浮かべた。

「こっの、クソアマがあぁ」

「やっと本性見せたのね」

 今度は浮遊感に包まれた。部屋全体の重力方向を上に変更したようだ。少しまずいかも。

 体がいろいろな方向に行ったり来たりしている。流石に男に近づくことができない。すると、部屋のありとあらゆる物が飛んできたのではないかという量の物体が飛んできた。

 流石に、殺られる……。

 その時、どこかで聞いたような大きな発砲音が聞こえてきた。

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