組織崩壊編

私の銃

5話 Beginning of the collapse. Falling into the past.

「エマージェンシー!エマージェンシー!収容セクション、研究セクション崩壊!戦闘員は即座に当該セクションに集合してください!」

 昼頃、緊急放送が管理局内に響き渡った。Nが収容、研究されているセクションが崩壊したということは、脱走したということ。

 今すぐにいかなければ。ハルや助手は外部に他の戦闘員と捕獲任務についているためいない。私一人でいかなければ。

 現在私がいるのは寮セクション。管理局の一番右端だ。対して当該セクションはその正反対。急がないと。


 局内をダッシュしていると、目の前に時計が置かれていた。この時計は「過去時計」と呼ばれている、古くから存在しているNだった。

「過去時計ね。本来は捕獲されたNの破壊は上層部の許可がないといけないけれど、緊急事態となれば話は別よ。全力で潰すわ」

 私は銃を取り出した。残弾の許す限り発砲する。だが瞬間移動は持っていないとはいえど、Nだ。能力がある。

 数秒の巻き戻し能力。これが観測されている能力だった。それによって私の銃弾は弾倉へ戻ってきた。

 まずい。過去に巻き戻すことは、物体だけではない。人の精神まで過去に引き戻される。たかが銃弾だったため何もなかったが、もしそれ以上のものに精神を引っ張られたら終わりだ。

 このままダッシュで突き抜けてもいいが、そうすれば近づいたことにより、より精神が戻ってしまう。

 その時、目の前に過去時計があった。どういうこと……?

 通路の先の曲がり角。その角にあの、パセリの姿があった。

 もう銃で撃つのでは間に合わない。私は過去時計に向けて銃を持っていない左手でストレートを叩き込んだ。だが、その直接的な接触により、精神は過去に戻ってしまったようだ。


 気がつくと桜の散る街道に立っていた。

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