第二十一話 閑話・神子サンディ(下)
「申し訳ございませんでしたああああああああああああ!!!!!」
私様が平民時代に培った美しい土下座で許しを乞うと破廉恥なクマ女は本当に私様に対して思う所は無いのでしょう、あっさりと許しを得る事が出来ました。
そして私様が転生者である事とこの世界がゲームの世界である事をぶっちゃけ、マウントを取ろうとしましたところ、クマ女がシャルル・マーベルという名前に反応いたしました。こんな隣国の辺境のド田舎にまで名前が知られているとはあの生意気なオスガキもう少し値段吊り上げられましたかしら?まぁ代金はとりっぱぐれたのですが。そう考えておりましたところいきなり即死級のパンチを食らいましたわ。ですが私様イザという時の為に予備のタリスマンをゲーム感覚で量産しておりましたので事なきを得ましたわ、ホントアブねー奴ですわね。
正直デュオきゅんの仮とはいえ所有権をこんな
そうしてクマ女を少しおだてたら挙動不審になりました。どうも彼女は案外
これは口八丁でナイアルラ国軍一万を押し付けて混乱に乗じてデュオきゅんを奪い去れる?…そんな事を考えつつ名もない町の名もなき町長と中身のないどうでもよい話しをしておりますと、どうやら遂にナイアルラ兵一万が間近に迫って来ているようでございました。
まぁ私様の私兵となる栄誉を得た町人三百人がいればそれを盾に足止めをして逃げるくらいは出来ますでしょう。
ですがベストはこのクマ女を上手く盾にしてデュオきゅんと共に町から逃げ逃げた先で町人三百人を奴隷商に売っぱらう、これがベストスマート賞ですわね…そう算盤を弾きながら私様は戦場に赴きました。
◇ ◇ ◇
私様は前世の知識とたゆまぬ努力と少しの才能から魔法に関しては天才といっても物足りぬ実力を身に着けております。私様は一パーセントの才能と九十九パーセントの努力から形作られております。そんな努力の塊の私様にはそんじょそこらの木っ端な魔法使いでは束になっても相手にはなりませんが、相手は私の手の内を知るナイアルラ国軍。そんな私様の努力と手の内理解しておりました。
範囲を限定して照射すれば影も残さぬ程度に人を蒸発させられる強力な光条魔法「
そして頭の中で町と町人を盾に逃げる算段を立てているとクマ女が「か…かっこよ…」などのたまい、見よう見まねで私様の魔法の真似て詠唱を始めました。
まさか脳筋バーバリアンの小さい脳で魔法を使うつもりなのでしょうか?
魔法の何たるかを知らずに知識の乏しさからくる猿真似にクマ女の頭の心配をしていると彼女の「詠唱」は次第に言い知れぬ恐怖と底知れぬ不安を纏い…その名状しがたき「魔法」は私様の知っている魔法とは大きく異なり、まさしく狂っている…そして最悪の暴発をいたしました。
私様の知っている魔法とは根源から違う狂った魔力は、デタラメな魔法の詠唱で指向性が迷走し更にはラストワードの欠損…普通なら成功するはずはありませんが絶望的な黒い魔力の塊はまるでこの世界に受肉を果たしたように脈動し、そして霧散する事もできず…ですがそれを途中で投げ出す
それは吸引…ではなく落下、まるで第二の大地が発生したような引力、大地は突然の自ら以外の大地の出現に吃驚し、天はそれに震撼する…逃れ得ぬ未知の自然災害。
とっさに障壁魔法を唱えなければ町ごと爆発に飲み込まれていたかもしれません。いくら身代わりタリスマンをゲーム脳で量産したとはいえ復活時にあの爆発の中では何度レスキルされるか分かった物ではありません。
爆発の起きた中心部分は大きなクレーターが穿たれ、混乱した兵は恐怖に駆られ持っていた装備も捨てて散り散りに逃げていきました。
戦場は打ち捨てられた剣やら槍やらビキニアーマーやら…一瞬にしてそこは戦場から荒野と成り果てました。
信じられない事に彼女は一万の兵を実質たった一人で退けてしまいました。
出来ればこのヤベーやつに関わらず辺境で男共をかしずかせて大人しくハーレムでも築いて酒池肉林に生きた方が良いとは思うのですが、デュオきゅんはこの「ニグラート国物語」の中心であり絶対的な主人公なのです。
私様はせっかくこの世界に転生を果たしたのですから彼の肉棒の味を股でガッツリ確認しなければ女がすたるというものです。
デュオきゅんの童貞がこの破廉恥女に食われているであろう事は本当に不本意ではございますが私様も淑女、初物にこだわるつもりはございません、女らしく二番竿を狙う事といたしましょう。
ですがいつか私様専用の愛棒にしてやりますわ!
逃げる事は叶わぬ、そうと決めたら出発までに男は男娼に卸して、女は奴隷商にうっぱらって旅支度をしますわ!!
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