番外編 その2

 ー三時限目 社会地理ー


 裕太「地理、苦手なんだよなぁ〜クッソだりぃー。」

 A君「あの先生、ボソボソしゃべるからなに言ってるかわからないからな〜。」

 B君「授業、つぶれないかな。」

 翔吾(すやぁ…)


 キーンコーンカーンコーン


 ガラガラガラ…

 教室のドアを開け、先生が入ってくる。

「きりーつ!れい!ちゃくせき!」


 先生「えー…(ボソボソ)本日はー(ボソボソ)の原産国について(ボソボソ)…。」

 翔吾(ピクッ!)

 先生「えー…(ボソボソ)それでー(ボソボソ)どんな産地か〜(ボソボソ)わかるかな?」

 ガタッ!翔吾はいきなり立ち上がった!

 

 翔吾「はい!先生!」


「コーヒーは生育期には高温多雨こうおんたう結実期けつじつきには乾燥を好み、排水が良好で昼夜の気温差が大きい高原が適地です。なのでサバナ気候、モンスーン気候がもっともてきしてます!また、火山性かざんせい土壌どじょうを好むので、この全ての条件が揃っているブラジルという事になります。そしてこのコーヒー栽培の適地のエリアが、赤道を挟んで北緯25度から南緯25度までの一帯をさし、ベルトのように地図上に位置してる事から、または別名でコーヒーゾーンと呼ばれてます。」


 先生「……。」

 

 裕太「すげぇ。」


 翔吾「ちなみに… 標高は500mから2500mの山や高地が栽培に適していて、標高が高ければ高いほどコーヒー豆は高級になると言われてます。」


 先生「……。」


 翔吾「それと日本でもコーヒー栽培は行われていて…」

 先生「ふ、ふ、藤川君。もういいよ。」

 翔吾「まだまだ限られてますが…」

 先生「あの、誰か(ボソボソ)藤川君を止めて。」

 翔吾「東京都の小笠原諸島では…」

 先生「久野君、(ボソボソ)藤川君を止めてくれるかな。」

 裕太「いや、先生。もうこの状態になると、誰も翔吾を止められないっすよ。」

 翔吾「世界三大コーヒーとは…」


 先生「コーヒーの授業は(ボソボソ)今日でおしまい!」

 そして…先生は教室を静かに去って行った。


 裕太「翔吾、もういいぞ!翔吾!」

 翔吾「ハッ!…あれ?先生は?」

 裕太「消えた。」

 翔吾「え、もっと語ることがあったのに。」

 裕太「お陰で授業が半分になった。」

 翔吾「じゃあ、今日は僕が代わりにコーヒベルトについて、皆んなに説明するよ。」

 裕太「いやいや、もう、みんなバッチリだから大丈夫だ!」

 翔吾「それなら良かった!」


 暗黙あんもくの教訓

 翔吾にコーヒーを語らせる会話をしてはいけない…by裕太


 

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