クライマックス 不吉な予言

 クイスト人の操る巨人と、光夜達は戦っていた。

 装甲列車に乗り込み、自動運転を稼働させる。

 2人は砲台に乗り込んで、砲撃の準備をした。


「流石電車だ。あいつより速いぜ」


 光夜は感心しながら、砲口を巨人に向けた。

 砲丸を込めて一発、巨人に向けて砲撃。

 上半身に直撃して、僅かに巨人はよろめいた。


「効いているぜ。このまま一気に攻めるぞ!」

「了解! 次は俺が行くぜ!」


 優也は機関銃を使って、巨人の足を攻撃した。

 戦闘機をも撃墜出来る威力の機関銃。

 巨人の足は鈍い音を上げながら、穴が開いていく。


「ドンドン行くぜ!」


 光夜は再び砲撃を開始した。

 砲弾が当たる直前で、優也がワームホールを発生させる。

 砲弾はワームホールに吸い込まれるが、光夜は構わず砲撃を続ける。


「盾で防ぐ気だったろ? そうはさせん!」


 優也は指パッチンをして、砲弾を巨人の頭上から降らせた。

 巨人の胴体に直撃し、体勢を崩していく。

 同時に巨人を支える足が折れて、巨人はビルに倒れ込んだ。


 巨人は体勢を立て直すと、剣で周りのビルを切り裂いた。

 切ったビルを腕を振り回して、光夜達に飛ばす。

 光夜達は迎撃するが、線路上にビルが倒れて来た。


「マズい! どうする光夜?」

「構わねえ! このまま突っ込むぞ!」


 光夜達は急いで車内に、避難した。

 ビルを貫通した衝撃に耐えて、光夜はバイクに乗り込んだ。

 そのまま光夜は車両後部に走り、そこから飛び出して線路に出た。


 巨人は光夜に向かって、何度も赤い光線を放つ。

 光夜はそれらを回避しながら、バズーカを取り出した。

 巨人の足に弾を発射して、再び体勢を崩す。


「巨人の上は眺めが最高だろうな!」


 光夜は体勢を崩した巨人に、バイクで乗り込んだ。

 巨人の胴体をつたって、頭部に向かって走って行く。

 光夜は剣を取り出して、再びカートリッジを差し込んだ。


「優也、ちょっと異能力借りるぜ」


 光夜はバイクで巨人の頭に、体当たりをした。

 そのまま空中に飛び出して一回転し、巨人に再び向かい合う。

 光夜が剣の引き金を引くと、彼の分身が空中に次々と現れる。

 

 光夜は分身と共に、ウィリーをしながら再び体当たりをした。

 巨人は大きく体勢を崩し、そのまま地面に倒れ込む。


「セイヤァ―!」


 光夜はバイクから飛び降りて、落下の勢いに乗った。

 そのまま巨人の腕を切り裂き、盾を奪い取る。

 光夜は剣を盾に括りつける。そのまま盾を素早く回した。


 回転した盾を巨人に投げつけ、その胴体を切り裂いていく。

 巨人は上下を真っ二つに切られる。


「これでトドメだ!」


 光夜は異能力を発動させて、巨人の体を持ち上げた。

 そのまま巨人を振り回し、空中に向けて投げ飛ばした。

 光夜は通信機に手を当てて、指示を飛ばす。


「美里! 連中の動きを止めろ!」

「了解! 私の異能力……。使いこなしてみせる!」


 美里は異能力を使って波動を操った。

 クイスト人は巨人の体内で動きを止められる。


「ブルーバースト! セイヤァ!」


 光夜は剣から青色の光線を放った。

 光線は巨人の胴体に直撃する。

 そのまま巨人を空中で、爆破させた。


 巨人と同化していたクイスト人は、共に爆破の衝撃を受ける。

 1つの存在となっていたクイスト人は、巨人と共に滅び去った。


「これで終わったと思うなよ……」


 消えていく意識の中で、クイスト人は口にした。

 光夜達に聞こえる様に、念力を使って会話をする。


「現代人の滅びの運命は、変わらぬ……」


 クイスト人にはそれが分かっていた。

 何故ならムー大陸やそれ以外の古代文明を終わらせた存在。

 それはクイスト人ではないからだ。


「最後に現れる者が、貴様らを滅ぼす……」


 その者は既に、地球の地中深くに存在していた。

 その存在だけはクイスト人でも、操る事が出来なかった。

 その恐るべき存在は、神話として現代に伝わっている。


「異能力者の目覚めが、滅びの前兆なり!」


 クイスト人はその言葉だけを残して、炎の中に消えた。

 爆発する巨人を見ながら、全員が不吉な予感を胸に抱く。

 最後に現れる者。それが現れる時は近い。そんな気がしていた。


──────────────────────────────


「こんなに神秘的なものが、支配の象徴だったなんて……」


 美里はムー大陸でのデータを見ながら、そう呟いた。

 ムー大陸の施設は、クイスト人が造ったものだ。

 恐ろしくも神秘的なものは、クイスト人の支配によるものだった。


「古代文明は、殆ど奴らの支配下にあったのかな?」

「さあな。もしかしたら支配下を逃れた文明もあるかもしれない」


 光夜はコーヒーを美里に渡しながら答えた。

 現代の技術を超えた、古代文明の数々。

 その秘密は以前として、謎のままだった。


「エムーみたいに、抗った奴もいるかもしれない」

「そう言えば、あの人はどうなったんだろう?」

「ムー大陸と一緒に消えただろうね。それが運命だっただろうから」


 自分が消滅すると分かっていても、エムーは破壊を許可した。

 エムーは現代人に答えを、託したのだ。


「決めた! 私もっと考古学の勉強をする!」


 美里はビシッとガッツポーズをした。


「古代文明の謎を解き明かし、クイスト人の間違いを証明する」

「目的が見つかったのは良いが、本業を疎かにするなよ?」

「分かっているよ。その為にも今を守らないと!」


 美里は夕日を見ながら、答えた。


「最後に現れる者とやらからね……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る