クライマックス 宇宙AIをぶっ飛ばせ!

 無数に現れたスナークスを、次々と切り裂く光夜。

 分身を駆使して、スナークスを撃破する優也。

 堅実にゲーマ的手法で、各個撃破する瑠璃。


 それぞれのスタイルで、スナークスを撃破する。

 それでもスナークスは一向に、減る気配を見せない。

 3人に疲れの色が、見えて来た。


「流石に疲れたんじゃないかな? 私はまだまだ居るよ」

「確かにな。だがそれは、そっちのルールで戦っているからだ」


 光夜は剣をスナークスの1体に、差し込んだ。

 それと同時にスナークス達の映像が乱れ始める。

 

「何だこれは? 何をした?」

「俺達がFARVを外さなかった理由さ。サーバーに除去プログラムを送った」


 光夜達は瑠璃がスナークスを消す為の、時間稼ぎをしていた。

 瑠璃はスナークスはゲームのサーバーに、接続していると推測。

 サーバー経由でスナークスのデータを除去する、プログラムを送っていた。


「これでお前は完全に消去される」

「参ったね。こりゃ。でもね……」


 光夜達の居る大学の廊下。そのガラスが割られた。

 無数のドローンが内部に侵入し、光夜達に銃口を向ける。


『そのサーバーに繋がってない私は、まだまだ居るのだよ!』


 ドローンは一斉照射を開始。

 光夜達は曲がり角まで撤退し、銃弾を避ける。

 すかさず近づいて来るドローンを、光夜は拳銃で撃ち落としていた。


「瑠璃。お前の得意分野で奴の逃げ道を塞げ」

「合点承知の助だよ! リーダー!」

「俺が援護するよ。光夜、連中は任せた」


 光夜は無言の頷きで答えた。

 瑠璃と優也はパソコン室に向かい、光夜はドローンに突っ込む。

 サブマシンガンを取り出し、ドローンに向けて発砲する。


「おらぁ! 地球人を甘く見るなよ!」


 光夜はドローンを撃ち落としながら、窓ガラスまで走った。

 そのまま窓ガラスを思いっきり突き破り、地面に着地する。

 ドローンは光夜を追いかけて、校舎から飛び出して来た。


 光夜はそのまま大学の郊外まで走る。

 近くにキーの付いたままの、バイクを発見する。

 快楽映像を見せられた運転手が、乗り捨てたものだった。


「ちょっと借りるぜ。請求書はガードまで!」


 光夜はバイクのエンジンをかけ、再び大学に侵入した。

 坑内を走り回りながら、ドローンからの狙撃を回避する。

 光夜もサイドミラー越しから、発砲をして撃退していく。


 だがドローンの数は次から次へと、増えていく。

 コピーとは言え、全く同じデータの生命体。

 本体など存在しない。全てを撃破しなければならない。


「私のコピーはまだまだ居る。勝敗は既に決しているさ」

「まだまだ! 本戦はここからだぜ!」


──────────────────────────────


 瑠璃は大学のコンピュータを使って、ハッキングをしていた。

 プログラムそのもののと対抗するには、パソコン1台では足りない。

 瑠璃は学生用のパソコンを何台も同時に、動かしていた。


「処理能力では遥にこちらが送る。でも分散コンピューティングなら」

「意味は分からんが追手は俺に任せて、瑠璃は集中」

「了解。スナークスのプログラムを解析開始!」


 スナークスは宇宙から来た、未知のAIだ。

 そのプログラムを解析するため、複数のパソコンで処理を行う。

 宇宙などの解析に使われる手法で、瑠璃はスナークスの解析を行った。


 同時に自分のパソコンから、人工雨衛星に対抗する。

 瑠璃の高速処理能力が無ければ、これらを同時に行う事は不可能だ。

 

「スナークスのオリジナルは、人工雨衛星に居るはず」

「作戦の要となる場所だからな」

「うん。絶対にここだけはハッキングされる訳にはいかないからね」


 スナークスはネットワーク上に、コピーを幾つも作成していた。

 オリジナルデータは最初から、人工雨衛星で駐在している。

 プラネットワークを通じて、コピーを介して地上を攻撃していた。


「コイツをなんとかしない限り、スナークスは増え続ける」

「なるほど。道理でさっきより、ドローンが増えたと思った!」

「でも外部からの入力を受けつけないとなると……」


 瑠璃はここである方法を、思い付いた。

 同時にスナークスのデータ解析が、終了した。

 瑠璃は急いでスナークスの削除プログラムを、作成する。


「コピーは私とフォロワーがなんとかするとして……」

「オリジナルはどうする? ここで逃げられる訳にはいかないぞ!」

「今から人工雨衛星の、全機能をストップさせる」


 外部から入力を受けつけないが、緊急停止命令は別信号だった。

 瑠璃はのプログラムを利用して、人工雨衛星のシステムを切るつもりだ。

 それでネットワークから遮断され、人工雨も止まる。


「でも代償は大きいよ。アレは火星衛生上に回るものだから……」

「分り易く説明しろよ!」

「火星は地球より重力が少ないの。だから火星より重力が大きい……」


「もっと分り易く!」

「つまり! 落ちて来るの!」

「なるほど! 理解した!」


──────────────────────────────


 光夜は校舎に突っ込みながら、ドローンとレース中だった。

 高速移動可能なドローンを、振り切る事は出来ない。

 光夜は遮蔽物が多い、校舎内をバイクで移動していた。


『リーダー! 今から人工雨衛星の全機能を強制停止する』

「分かった。さっさとやってくれ!」

「でもそんな事したら……」


 光夜はウィリーをしながら、階段を駆け上った。

 そのまま屋上へ向かい、一番高い校舎の壁に飛び乗る。

 そのまま壁をバイクで走り、屋上へと向かった。


「問題ねえ! 気づかれる前にやれ!」

『了解! 信じているよ! リーダー!』


 光夜は剣をバイクの背後に、括りつけた。

 そのままバイクと剣に、ブルーヒートエネルギーを溜める。

 光夜はそのままウィリーをしながら、屋上の外側に向かって走る。


「うおおおおお!」


 光夜はそのまま屋上から飛び出した。

 バイクの背面を下に向けて、剣先から光線を発射する。

 そのまま光夜は上空へ向けて、飛び出した。


 昨日を停止した人工衛星は、地球の引力によって落下開始。

 大気圏に突入しながら、徐々に高度を下げていく。

 そこに近づく、1台のバイクがあった。


「届けぇ!」


 光夜はバイクから飛び降りて、叫んだ。

 バイクは光線エネルギーに飛ばされ、大気圏に向かっていく。

 そのまま勢いに乗って、落下する人工雨衛星に突き刺さった。


 光夜は剣に仕掛けられた、自爆装置を発動した。

 エネルギーを溜めたバイクは、その場で大きな衝撃を広げる。

 人工雨衛星はその衝撃によって、バラバラに粉砕された。


「バカな……。この優れた私が、こんなやつらに? 何だこいつ等は!?」


 人工雨衛星に囚われたスナークスは、そのまま一緒に粉砕された。

 衛星はそのまま大気圏の摩擦に焼かれ、地上へ到達前に焼き消える。

 光夜はパラシュートを開きながら、上空でその事を確認した。


「ミッションコンプリート!」


──────────────────────────────


 地上にばらまかれたスナークスのコピーは、全て削除されていた。

 瑠璃は削除プログラムを、自分のフォロワーに配った。

 彼女のフォロワーは多く、除去プログラムはネットワーク中に広がった。


 こうして世間を騒がせた宇宙からのAI事件は、幕を閉じた。

 光夜達は瑠璃への労いの為、高級ケーキを奢っていた。


「今回はお前の手柄だ。瑠璃」

「えへへ、改めてお礼を言われると、照れるね」


 瑠璃は少々顔を赤くしながら、ケーキを口にする。

 今回の騒動を受けて、FAEVは回収された。

 ARの更なる発展は次世代機に託されるだろう。


「これに懲りたら、プラネットワークもセキュリティー強化して欲しいぜ」

「これでも世界最高峰のセキュリティーなんだよ?」

「相手は宇宙人だぜ。世界で誇っても、お山の大将だよ」


 人類はこの先更なる宇宙進出をするだろう。

 その為にも世界だけでなく、宇宙に誇れる星にしなければならない。

 だがいつか人類は、更なる発展が来るだろう。


 彼らチームライトムーンが平和を守る限り。

 人類が足を止める事は、決してあり得ない。

 彼らは今日も、地球の平和の為に戦い続けるのだった。

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