第24話

姉は今までお犬様とずっと暮らした事がありません。すみれさんとソラがいた時はまたに実家に帰って来て可愛がるだけでした。本当の意味でお犬様を飼うという事を知りません。

お犬様に限らず生き物を飼うという事は命を守るという責任があります。可愛いだけでは飼えないのです。それに現実はお金がかかります。

姉はりんを迎えるにあたって初めてそれらを知りました。

姉にとっては事実上りんは初めて飼うお犬様です。何も知りません。お犬様とどうやって接するのか分からないのです。なので姉が頼ったのは私達ではなくネットでした。何か些細な事でも私達の言葉を聞かず「OK、Google」とスマホに話しかけネットで調べました。

そして姉は可愛がってるつもり世話しているつもりだったのでしょうが私達からすると姉のやっている事は全てお犬様が嫌がる事ばかりなのです。

私が「それは違う」「りんは嫌がってる」と言っても聞きません。りんを可愛がりたい気持ちが全部裏目に出るのです。

その為りんはどんどん姉が苦手になっていき姉が飼い主にも関わらず懐かなくなりました。

姉はドッグフードを与える際一回に何gと袋に書いてある説明書通りにしました。しかし何gと測るのは私。お湯でふやかして離乳食を作るのは母。自分は与えるだけ。躾も教えられません。嫌がるりんを無理矢理お風呂に入れ風呂嫌いにさせました。散歩も行きません。りんの身の回りの世話や躾は母がして自分は「可愛い!可愛い!」と気分が向いた時に嫌がるりんを抱っこするだけ。

そんな姉にりんは噛み付くようになり側に近寄ろうとするとテーブルの下に隠れるようになりました。

母はりんの世話で忙しく一歳近くになるまでの記憶が無いそうです。一番可愛い時期を世話に躾に明け暮れて子育て疲れしていました。

私は姉に「お犬様を飼うのはネットの情報とか理屈じゃないんだ!」と諭しましたが姉は父に似て頑固でネットで調べた通りにしようとします。

姉の口癖は「ネットにこう書いてあった」でした。

それではダメなのです。

お犬様にもその子の性格があるのですからその子に合わせなければいけない。

ネットに頼るなとは言いません。でもりんの事はネットには書いてありません。

姉がネットで調べているのはジャックラッセルテリアの飼い方です。総合的な性格です。

しかしりんはジャックラッセルテリアですがりんはりんの個性がありますし性格だってネットに書いてあるジャックラッセルテリアの性格とは違います。

それは全ての生き物にも当てはまります。

そう諭しても姉は頑として聞きませんでした。

「自分には自分のやり方がある!」と言ってどんどんりんに嫌われていきました。

かろうじて「この人は家族の人なんだ」と認識はしていましたが家族の中でも一番嫌いな人になったのです。

私と姉は喧嘩しました。りんがかわいそうだったからです。姉は父とも喧嘩しましたし母とも喧嘩しました。私達はずっと「ネットじゃなくてりんを見ろ!」と姉に訴えていました。

姉は初めてお犬様を飼うという事で浮かれていたのかもしれません。

しかしりんが自分に懐かないのはネットに書いてある通りに私達がしないからだと思っていました。


そこで私達は姉とりんをしばらく離そうとしました。冷静に客観的にみたらどんなに姉がりんの為にしている事がりんにとっては苦痛なのか分かると思ったからです。
















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