第23話

りんが我が家にやって来て一週間。姉はアパートを引き払って為に両親と共に留守する事になりました。私とりんとお留守番です。姉と母からは大丈夫か心配されましたが、すみれさんとソラの経験があるので大丈夫だと答え3人を送り出しました。

たった一泊二日のお留守番。

私だけでなく他の人格達もりんを知る良い機会でした。人格達はりんがどのようなお犬様かあまり知りませんでした。なので「私」は人格達と全員でりんと向き合いました。りんは「私」だけでなく他の人格達にもすぐに懐きました。しかしりんは超自由なおチビさんだった…。家中を走り回りよく食べる。しかし興奮して寝ない。やたらぴょんぴょん跳ぶ。

気がついたらテーブルの上にいるのです。

どうやって乗った⁉︎まさかオモチャを足場にして乗ったのか⁉︎なんて悪知恵の働くおチビさんなんだ!

りんはやたらと手のかかるおチビさんでした。

なんかすみれさんとソラの経験が通用しない…。マジか⁉︎これがジャックの飼いづらいという理由なのか?それともおチビさん特有なのか?

りんとのお留守番は他の人格達も驚きの連続だったようです。トイレを躾ける為にシートの上にトイレを促したり寒くないように洋服を着せたりやたらと手がかかる。でも人格達にとっては手のかかるりんは良い刺激になったのです。

「私」を含め他の人格達はまだペットロスだったから。やっぱりお犬様は可愛い。亡くなってしまう辛さはあるけど一緒にいると癒されるのは間違いない。りんは私達のアニマルセラピーを担ってくれました。りんもやっぱりすみれさんとソラと同じくどの人格達にもそれぞれどう接すれば良いのか分かっているようでした。人格によってりんに対する接し方が違うのにすべてを当たり前のように受け入れていきましたよ。それが人格達は嬉しかった。

でも「私」と他の人格達はりんに対する認識はすみれさんとソラとではちょっと違います。

すみれさんは一番可愛い私達の妹。

ソラは一番大切な私達の娘。

りんは一番理解ある私達の友達。

そんな認識です。そんな認識ですが一番には変わりません。大切な存在です。いないと困ります。

りんとのお留守番でそんな認識をみんなで共有したのです。

りんとたった一泊二日のお留守番でしたが人格達のペットロスは無くなりました。

そして両親と姉が帰って来て、正式に姉が実家に帰って来たのです。これからは両親と姉とりんと暮らす事になりました。

母と私はお犬様との暮らしには慣れていますが姉はほぼお犬様と暮らす事はどういう事か知りません。

父は基本的に干渉しないので世話はしません。

何だか不安な生活が始まったなぁと思っていたらその勘は当たりました。

初めてお犬様を飼う姉が色々やらかし始めたのです。

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