第20話
この頃の姉は仕事を辞め、地元の実家に帰るので引っ越し作業をしていました。私もちょくちょく行っては手伝いをしていたのです。
そんな引っ越し作業をしているはずの姉から「相談がある」と呼び出されたのです。
私は姉の仕事関係の事かな?ぐらいの軽い気持ちで姉のアパートにいったのですが、待っていたのは何故か片手の手のひらサイズの子犬と姉でした…。
「何、この子!?」
姉に抱かれたおチビさんはジャックラッセルテリアの子犬でした。しかし初めて聞く犬種です。
そんな事よりなんとまぁ小さいおチビさんでしょう!すみれさんやソラは我が家にいた時五ヶ月過ぎていたので子犬と言ってもある程度の大きさでした。しかし目の前の子犬はあまりにも小さかった…。見た事ないくらいのおチビさんです。しかもやたら元気が良すぎる!!部屋中走り回っている。
私は姉にこのおチビさんの事を尋ねました。すると姉は「飼ってくれないと保健所にやらなきゃいけないと言われたから飼う事にした」とだけ言いました。さっぱり意味が分からない…。
詳しく聞いてみると、姉は介護施設で働いていたのですがその施設の利用者さんが飼えなくなったからもらってほしい。もらってくれないと保健所に連れて行くと言われたのだそうです。
何だ、その脅しのような頼み事は⁉︎利用者さんという事はかなりの高齢者の方か?たしかに高齢者の方に子犬を飼うのは難しいよな…。でももうウチでは飼うつもりはない!
色々な事が頭の中に駆け巡りました。そして姉にもうウチでは飼えないから利用者の家族の方に連絡して飼えない事を伝えようと言い、家族の方に電話して会う事にしたのです。
利用者の家族は娘さんでした。その娘さんに他の飼い主を探して欲しいと言いましたが、「何とか飼って欲しい。もらってくれないと利用者を自分の家に引き取れない」の一点張りでほとほと困りました。
私とてもこんなおチビさんを保健所に連れて行くのはしのびない。でも我が家ではもうお犬様を飼うつもりはない。やっとみんなペットロスから立ち直ったのに、もうソラみたいな悲しい思いをするのは嫌だ!でも…。
結局娘さんは半ば強引におチビさんを押し付ける形で帰っていきました。
私と姉は悩みに悩みました。私としてはこのおチビさんを保健所には連れて行くぐらいだったら飼った方がが良い。でも父や母をどう説得するか…。
しかも姉はすでにこのおチビさんを飼う気満々です。娘さんや利用者のように飼育放棄はしたくない!自分が飼う!と何やら使命感漲ってます。私は頭を抱えました。
お犬様を飼うのは姉が思っている程簡単ではありません。命を守る事なので使命感だけでは飼えません。大きな責任が伴います。
すみれさんとソラを見てきた私は姉にその覚悟はあるのか尋ねました。
すると姉は「全ての責任は自分が取る!この子は自分が飼う!」と言い切ったのです。
そこまで言うならと私はまず両親に何て言うか、説得するのか話し合いました。
その周りを元気に走り回っているおチビさん…。
そもそもジャックラッセルテリアってどんなお犬様なの⁉︎
まずはネットでジャックラッセルテリアについて調べて驚愕したのです。
ジャックラッセルテリアはお犬様の中でトップクラスで飼いづらい犬種であると…。
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