第19話
ソラが亡くなった…。
「私」や何人かの人格達が一瞬で消えて無くなりました。ソラがいなくなった事を受け入れられず「私」や何人かの人格達が消え去りました。残された人格達もしばらく再起不能になり、ただただ泣いてばかりの毎日を送りました。
人間としての「日常生活」が送れなくなり、食べる事も寝る事も出来なくなりましたが周りの人達から見ると悲しみに暮れているという風に捉えられたようです。
何も出来なかった。何もしてあげられなかった。たくさんしてあげたい事があったのに看取る事も出来なかった…。
思い残す事、やり残した事、後悔だらけのお別れでした。まだまだ一緒にいたかった…。すみれさんが亡くなってまだ3年しか経ってないのに後を追うように1人で逝かせてしまった。
「私」が新しく出来た時真っ先にした事はすみれさんとソラの眠るお墓に行く事でした。
すみれさんとソラの眠るお墓は我が家のお墓の敷地内に特別に建てられています。ペット霊園などにある共同墓地ではありません。いつでも会いに行けるようにと両親が我が家のお墓の敷地内に建てたのです。
「私」はすみれさんとソラに会いに行きました。お墓の前で何時間居た事でしょう。
いくら居てもソラがいなくなった事が信じられませんでした。
すみれさんの時はやれるだけの事は全てやり尽くし、最後は老衰という別れだったのである程度の覚悟もできていましたし悲しかったけど後悔はありませんでした。
しかしソラの場合は違う。覚悟なんて出来て無かった。やり残した事ばかりで後悔しかない。
それは私だけでなく両親もでした。
私達家族は全員ペットロスになったのです。
私は主治医に事情を話し「障害」とは別にペットロスになった時から始まった不安定と不調を伝えてカウンセリングをしばらく受けました。
カウンセリングを受けた後家に帰って1人になるとやっぱり涙が止まりません。
すみれさんとソラの写真を見ては泣きました。
それではすみれさんもソラも悲しむと思い母と2人で思い出の物を整理したのです。
そして家族でもうペットを飼うのはやめようと固く誓い合いました。
もうこんな悲しい思いをするのは二度とゴメンだ、心の中にはすみれさんとソラだけで充分だと思ったのです。
しばらくは暗い雰囲気だった我が家ですが、すみれさんとソラの思い出話をする事で少しずつですがペットロスも治ってきて笑いながら話せるようになってきました。
もうお犬様と関わる事は無い。人様のお犬様達を見ているだけで充分だ。心の中にはちゃんとすみれさんとソラがいるから大丈夫だ。
そう他の人格達にも言い聞かせて毎日を過ごしました。他の人格達もお犬様を見ても動揺する事無く自分達の役割を一生懸命やっていました。
こまめにすみれさんとソラに会いに行き、お墓の掃除やお花を飾る事を欠かさず私達家族は過ごしていました。
ソラの急死から約五年後、私は姉から電話で相談があるからと呼び出されたのです。
その頃姉は県外にいたので遊びに行く軽い気持ちで会いに行きました。
12月の暮れの頃でした。
姉のアパートに行くと何故か片手に乗る程の小さな小さな子犬がいたのです。
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