第17話

ソラはあまり大病をした事がありませんでした。

一回だけ乳癌になり、癌を摘出する際に一緒に避妊手術をしました。その時に一晩だけ私達やすみれさんと離れ、病院に一人で入院したのです。

その後は何をするにしてもどこに行くにしても一人になった事はありません。常にすみれさんと私が側にいました。

すみれさんが亡くなった後は私が側にいたのですがソラはすみれさんがいなくなった事で少しずつ弱っていきました。

みるみる元気が無くなり、食欲も無くなって精神的にも不安定になりました。

そんなソラを見て私は不安でした。ソラまでいなくなってしまうのではないかと…。

「私」や他の人格達はみんな、ソラに「すみれさんの後を追っちゃダメだよ!」と言い聞かせましたが

ソラには届かなかった。

急に食欲が全く無くなりトイレにも行かなくなり、

ついには血を吐いたのです。

急いで病院に連れて行きました。その道中、私は荒い息をするグッタリしたソラを膝に抱き「頑張れ!頑張れ!もうすぐ病院に着くからね。そしたら治るからね」とまるで自分に言い聞かせるようにソラに話しかけていました。

病院に着いて、ソラは急患としてすぐに診てもらい即入院しました。

検査の結果を待つ間私達家族は無言でした…。

検査の結果、ソラは急性腎不全になりオシッコが出ないので毒素が全身に回ってるとの事。

24時間点滴をして、お腹に溜まったオシッコを出して薬を投与する事になりました。

病院の先生からは「手を尽くします」とだけ聞き、私達は帰る事になりました。

帰る車の中ではソラが治って元気になった後の話をしました。

どっか公園に連れて行ってあげよう。美味しいオヤツをあげよう。まだまだやってあげたい事があるね。まだまだ一緒にいたいね。まだまだ…。

家に着いてから病院に電話しました。ソラの様子はどうなのかと。

先生は腎臓の数値が良くならないと何とも言えない、今ソラは頑張っているとだけ言いました。

その頃、私はすみれさんにお願いしたのです。

「ソラがすみれさんの側に行きたがったら怒ってね」と。

「まだ来ちゃダメだよって怒ってね」とお願いしました。

私達家族は必死にソラが良くなる事を願い、しんじたのです。

一人で寝る布団。すみれさんが亡くなった後ソラと二人で寝ていた布団。今日は一人…。

なかなか眠れませんでしたが、薬が効いてきてようやく私は寝ました。

そして朝早く父に起こされたのです。

「ソラ…ダメだった…」
















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