第16話

すみれさんが足腰が弱ってトイレに行けなくなったのでオムツをする事になったら、ソラは「自分もする」とオムツをせがみました。何をするにしてもすみれさんと一緒がいいみたいでした。何でもすみれさんの真似をしました。

そんなすみれさんが老衰で亡くなりました。安らかな顔をしていました。私達家族はすみれさんにやれるだけの事は全てやり尽くし、看取ることができたのですみれさんに対して思い残す事はありません。

ただひだすら「よく頑張ったね」と褒めたいくらいです。今でも思い出しても悲しくはありますが良い思い出しかありません。

しかしソラがすみれさんがいなくなった事で不安定になりました。すみれさんのお骨を納骨する前に少しだけソラとお別れさせる為に家に連れ帰ったのですが、ソラはずっとすみれさんを探し回っていました。「どこにいるの?」と私を見ました。

一生懸命ソラに「すみれさんはもういないんだよ」と言い聞かせてもソラはすみれさんを探し回りました。お骨を見せてもそれがすみれさんだと分かりません。私はソラを抱きしめてずっと側に居ました。

そうしないとソラは鳴きながらすみれさんを探し回るからです。ソラは精神的にも不安定になりました。夜ずっと鳴いて寝ないのです。

そのうちソラはすみれさんがいなくなった事を理解しました。理解した途端ソラはみるみる弱っていきました。心身共に弱っていきました。

ソラは私の側から離れなくなりました。私までいなくならないように私の側を離れなくなりました。

私はずっとソラの側を離れませんでした。どこに行くにもソラを連れて行きました。

でもソラは徐々に元気が無くなっていきました。

「私」や他の人格達はソラが心配でなりません。でも側にいる事しかできません。それが歯痒かった。

「私達」はずっと側にいてもらって安心できたのに

「私達」が側にいてもソラは安心しない…。

でも私はソラの側にいました。すみれさんの代わりは出来ないけれど、私なりにソラが安心できるようにずっと側にいました。

しかしソラは突然倒れました…。

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