第14話
私が入院した二週間の間にすみれさんの中で私はソラと一緒で「守らなければならない弱い者」に変化したようです。ソラは私と離れた事でちょっと不安定になってしまいました。
すみれさんとソラは私にベッタリになってしまったのです。私の方も精神科の閉鎖病棟に少しですが入院した事で他の人格達と主人格である「私」が不安定になりました。今までの主人格である「私」が急に消えてしまい人としての生活が送れなくなって、少なからず「私達」はショックを受けたのです。その中で「私達」を癒してくれたのはすみれさんとソラでした。
すみれさんとソラが私から見えない距離を取る家族や周りの人達から守ってくれました。変わらない態度で側に居てくれました。
すみれさんとソラが居てくれたから「私達」はショックから立ち直りました。
ちょっと時間はかかりましたが、「私達」の中で「何か」が変わりました。
他の人格達の事を認める事が出来るようになったのです。
そう、すみれさんとソラは初めから「私」より他の人格達を受け入れていました。他の人格達がいる、それが「私」なのだと最初から認めていたのです。
私より先にすみれさんとソラにはそれが「当たり前」だったのでしょう。
すみれさんとソラは私に教えてくれました。それが
「あなただよ」って。「私たちはそんなあなたが大好きだよ」と。
「私」でさえ認めたくなかった他の人格達の事をすみれさんとソラは「いて当たり前」と思って側にいてくれました。
そこから私のすみれさんとソラに対する溺愛が加速したのです。依存といっても良いでしょう。
「依存」でも良い。だって家族より側に居てくれるのだから。一緒に居てくれるのですから。
そこからしばらくは私なりに不安定になったり鬱になったりしながらも一生懸命もがきました。足掻きました。諦めた事もあります。でも新しく始めた事もあったのです。その時も側にはすみれさんとソラが居てくれました。挫けそうになったり「もうダメかもしれない」と思った時もすみれさんとソラは側に居てくれました。なので私はすみれさんソラにだけ弱音を吐いたり涙を見せたりしました。
主治医にさえ言えない事もすみれさんとソラの前では言えました。
すみれさんとソラに励まされ私は新しい自分なりの生活を送っていました。
山あり谷ありな生活をすみれさんとソラが側に居てくれると思いながら過ごしていたのです。
しかし時が過ぎる事は歳を取る事です。しかもお犬様達は人間よりかなりのスピードで歳を取ります。
すみれさんはもう12歳を超えていました。
否応なしにすみれさんは徐々にお年寄りになっていきました。
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