第12話
思いがけないすみれさんの手術の後しばらくは平穏な日々が続きましたが、私としては心身共に家族といる日々が辛かった。
すみれさんとソラといる時は安心していたのですが
父や母と過ごすのが辛かったのです。
この頃の私はようやく新しく紹介された病院、のちの主治医と出会い自分が「解離性同一性障害」と診断されどういった障害か受診するたび説明を受けていた頃です。
自分が「多重人格」と言われ受け入れられなかった頃ですね。
私は自傷行為と奇行を繰り返していました。そして薬で常に眠っていました。寝ている私の側にはずっとすみれさんとソラが居て離れませんでした。
ふっと目を覚ますといつもすみれさんとソラの姿があり安心してまた眠りにつく。
少しでもすみれさんとソラの姿が見えないと、フラッと家からいなくなる、自傷行為をする。家族も私自身もどうしていいか分からない状態が続きました。当時の記憶はほぼありません。「私」は常に寝ていたので…。起きていたとしても夜中など時間の感覚がありませんでした。
寝ているのでほとんどご飯も食べない。体重がみるみる減っていきました。
でも自分の事は何も出来なくてもすみれさんとソラの世話はちゃんと全部私がしていました。すみれさんとソラの世話をする事が私の唯一の生きがいみたいなものでしたからね。他の人格達も率先してすみれさんとソラの世話をしました。
「私達」にとってすみれさんとソラは「正常」でいられる理由でした。
その他では「異常」でもすみれさんとソラが「私達」を「日常生活」に留めてくれたのです。
この頃のノートにはほとんどすみれさんとソラの事が書かれていますが、その他には意味不明な言葉が並んでいます。破られたページもあります。
そのうち私はすみれさんとソラと一緒じゃないと「おかしく」なりました。
すみれさんとソラが私のストッパーになってくれました。家族との架け橋になってくれました。
そんなある日すみれさんとソラが私の側を離れた隙に私は「あぁ、疲れたなぁ。薬を飲んで寝た後起きたらスッキリ起きれるだろうなぁ」と考え大量の睡眠薬を飲んだのです。
「起きたらすみれさんとソラを散歩に連れて行かなきゃね」と呑気な事を考えながら薬を飲んで寝たのです。
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