第10話

電車、バス、飛行機、タクシー、フェリー、車に乗ってソラは我が家にやって来ました。

はしゃぐソラとは反対に私は緊張していました。だって「死ぬ」かもしれないから。すみれさんに会えるのは嬉しいけどいつまで私は「生きていられる」のか分からないから。ソラを残して「死ぬ」覚悟をしていました。

そして帰っていた我が家。すみれさんとソラの初対面。なんか思ってたのと違ってた…。

ちょっとだけすみれさんに威嚇しただけですんなり懐いたソラ。そして何故か

すみれさんの母性が爆発‼︎すみれさんがお母さんになっちゃった‼︎ソラを我が子のように思っちゃったんです。ソラもすみれさんの事を母親だと思ってしまったようで…。大変仲良くなりました。

ソラの躾は全部すみれさんがしました。我が家での過ごし方、上下関係など全部すみれさんが伝授。

素直に覚えるソラ。いくら私が教えても覚えなかったトイレの躾もすみれさんが教えたらあっさり覚えました…。なんか悔しい。

何はともあれ相性が良くて良かったです。

しかし私の方は心身共に限界だったのでここから地獄の10年を過ごす事になったのです。

この10年間はほぼ記憶がありません。なので書き残したノートや家族の話を繋ぎ合わせて書きます。

ソラが我が家に来た頃から私はいくつかの病院を受診しました。何回か受診しては手に負えないと紹介状を書かれて病院をたらい回しされていました。

疲れて帰って来て慰めてくれるのはすみれさんとソラだけでしたよ。

この頃から猫吸いならぬ犬吸いをして癒されてました。犬吸いするとすみれさんとソラは日向のような匂いがしました。もちろん肉球はポップコーンのような香ばしい匂いです!

でもそれだけじゃ私の心身の限界は良くなりませんでした。どんどん悪くなる一方。途切れ途切れの記憶。やった覚えの無い自傷行為の後…。

私の書き殴ったノートにはすみれさんとソラの事以外は何やら訳が分からない事ばかり書いてあります。真っ黒に塗りつぶされたページや呪詛なのか⁉︎と思うような事などが書かれたページばっかりです。

そんな私にすみれさんとソラはじっと寄り添ってくれました。何も言わず寝込んでいる私の側を離れませんでした。私もすみれさんとソラの前だけ素直になりました。

それなのに…ある日すみれさんが病気になったのです。

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