第7話

ダックスの子犬との生活は楽しいものでした。

この時はまだ自分が解離性同一性障害である事は分かったなかったのですが、精神的にキツい時でした。勤めている病院から無理矢理心療内科に通院させられていた頃だったので正直鬱状態で記憶も曖昧な最悪な頃だったんですよ。

しかし子犬を飼い出してから嘘みたいに症状が軽くなりました。

仕事や学校以外はずっとソラといました。

友達にも遊びに行くのではなく遊びに来てもらっていましたね。

ご飯からトイレの世話、躾など全てにおいて楽しかったです。なかなか上手くいかない事も多々ありましたが、全部ひっくるめて楽しくて嬉しくて心を病んでから初めて世界が色鮮やかに映り始めました。

子犬が来てから2週間ぐらい経ってからワクチンの事もありますし何よりケホッ、ケホッと咳みたいなものをしていたので近くの動物病院に連れて行きました。

ワクチンを済ませた時先生に

「なんか咳するんですけど、大丈夫ですか?」

と聞いてみたら何と軽い風邪を引いていました。

しかし咳以外は本人元気です。

薬で治るとの事で安心しましたよ。それに診察台に乗っても大人しかったので良かったです。

帰ってから暴れていましたが…。

ご飯の後に粉薬(オレンジ色の甘そうなヤツ)を少量の水で溶かしてスポイドで飲ませるのですが、ソラにとっては薬は美味しいかったらしく嫌がらず飲んでくれました。むしろもっとちょうだい!と催促するくらいでちょっとドン引きしました。


子犬を飼い始めてから母にはちょくちょくどんな子か、様子はどうかなど話していたのですが父には一切秘密でした。

しかしついに父に話す事になったのです。

まず母に電話して父に代わったもらい突然

「私、ダックスの子犬飼ったんだよね。今も膝の上にいるよ」と暴露しました。

案の定父は烈火の如く怒りました。

病気の奴が犬なんて飼ってはダメだ!とか今からでもペットショップに返して来い!だとか何やら色々言われてうっかり人格交代しそうになりましたが、

「でも色々言ってるけどこの子のおかげで心の病気の症状がだいぶ軽くなってるんだよ」

と一言言ったら速攻で父は黙りました。

そして飼う事を認めてくれましたよ。

実家にいた時の私は本当に酷い状態だったので父もその状態から少しまともになったと聞いて認めざるを得なくなったようです。

アニマルセラピーを舐めるなよ‼︎

この子の為ならどんな事でも我慢するわ!

でも心療内科で処方されてる薬は飲まなくなりました。良くなったのではなく飲むとトランス状態になった事があるので怖くて飲めない。

基本睡眠薬などなので飲んだらソラの世話ができないんです。

多分この時も人格交代しまくっていたと思いますが、本当に全ての人格達がソラを溺愛していました。おそらく自分達を全否定しないからだと思います。ソラといる時は大丈夫でも病院や学校では精神的にどんどん追い込まれていました。自覚は無いのですが…。

父に認めさせてから何日か後に母が子犬の様子を見に、本当に私の症状が良くなったのか確かめる為に

やってくる事になりました。

いわゆる偵察ってヤツですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る