第5話
進学の為すみれさんと別れる事が決まった時から、すみれさんの写真を撮りまくりました。
そして私は荷物の中にすみれさんの写真も入れて県外の看護学校に進学しました。
ホームシックにはかかりませんでしたが、すみれさんに会いたくてたまりませんでした。
でも看護学校に進学し病院で働き始めてからすぐに私は心を病みました。
先輩達からの凄まじいイジメにより心を病み、人間に対して心を閉ざしました。
休学しても実家には帰らず、姉のアパートで暮らしていましたがすみれさんにとにかく会いたかった。
人間には会いたくなかったけれど、すみれさんには会いたかったんです。
しばらくして実家に帰った時私の顔色を伺う両親とは対照的にすみれさんは変わらず尻尾をぴこぴこフリフリして大歓迎してくれました。
それが一番嬉しかったです。
すみれさんは心を病んだ私に寄り添ってくれました。ただただひたすら寄り添ってくれました。
今で言うアニマルセラピーみたいなものでしたね。
すみれさんと二人っきりの時だけ私は辛くて号泣してばかりいました。
すっかり人間が怖くなってしまいました。
少しだけ心身共に癒されたので復学する事になったのですが、最悪な事に心はますます壊れてしまいました。
私は心の癒しを求めて犬を飼う事を決めお金を貯めました。
「犬を飼う」事を心の支えにひたすら心が壊れるこを覚悟でまた病院に勤めました。
心が壊れていくのが自分でも分かりましたが、私は犬が飼いたかったんです。
ペットショップ巡りをしたりブリーダーさんを訪ねたりしました。
最初はパグを飼いたかったのですが、ペットショップやブリーダーの方達から「パグは繁殖が難しくて子犬はなかなか育てにくいんだよ」と言われ泣く泣く諦めました。
そんな時とあるペットショップに電話したら
「今はダックスフンドが流行ってるから子犬がもう少ししたらやって来ますよ」と言われました。
私は今どの犬種が流行っているのかさっぱり知りませんでしたが、「そうかダックスか!」と思い
本屋でダックスに関する本をたくさん買って読み漁りました。
そしてダックスを飼う事に決めました。
名前は「紗羅」と決めて子犬を迎える準備を始めると同時にペットショップに電話をかけまくり
「ダックスの子犬はいませんか?」と尋ねてまわりました。私はその時知らなかったのですがその当時ダックスは流行りの犬種だったのでかなり高かったそうです。
しかし私の予算は10万円とかなりふざけた見積もりでした。
なのでなかなか予算内のダックスの子犬は見つかりませんでした。
そんな中あるペットショップに電話した時
「難しいけど頑張って探してみます」というありがたい返事を頂きました。
私は期待を胸に病院の寮に住む先輩や後輩全員に
「犬を飼っても良いですか?」と許可をもらい病院にも犬を飼っても良いかと許可をもらいました。
全ての許可がOKをもらい犬を迎える準備を着々としているとペットショップから
「予算内でのダックスの子犬が見つかりました」と嬉しい電話がありました。
ペットショップの予定を聞いて、指定された日曜日に用意したキャリーバッグを持って子犬を迎えに行きました。
それが私だけ娘になる後のソラとの出会いです。
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