第5話解答編

 私達ウリッツァ班が非番の、ある平日の昼休み。

 私は、魔力を込めるだけで起動する望遠魔法を付与した眼鏡を利用して、

 逆コの字型な校舎の二画目にある教室の自分の席から、一画目の廊下にいるヴィーシニャさんを見ていた。

 ……あ、お手洗いに入った。

 その個室で何をしているかは、以前ヴィーシニャさんに送ったペンダントを通して、見ようと思えば見れはしますが……率直に排泄してるだけでしょうし、今は別にいいでしょう。

 ヴィーシニャさんがお手洗いの個室から出て、手を洗う間の後、また廊下に出ていく。


 当番の女子班員と合流し、廊下を歩くヴィーシニャさん。

 そんな中、プリストラが私に何を見てるのか尋ねてきた。

 特に隠す理由もないので、私は遠くのヴィーシニャさんをレンズの片側のみに表示させて「あそこにいるヴィーシニャさんです」とヴィーシニャさんのいる方向を指差す。

 プリストラが「あ、ほんとだ」と呟いた後、こう続ける。

「最初に会ったときからずっと綺麗だよね〜、ヴィーシニャって」

 プリストラの言葉に対して、私は「……そうですね」と同意する。

 ……遠くのヴィーシニャさんの笑顔に、なぜか胸の痛みを覚えながら。


「二人とも、何見てんだ?」

 そこにウリッツァも話しかけてきた。

 あっちにいるヴィーシニャ、と私の代わりにプリストラが答えたので、ウリッツァもそっちを見たのか、こう言う。

「……いや、よく見えてんな、二人とも。オレ、プリストラに言われて見て、ああ、ヴィーシニャの頭があるなとしか思わなかったレベルだぞ?」


「僕もちょっと信じられなかったけど、眼鏡に軽い望遠魔法を付与して、やっとヴィーシニャの顔が見えたぐらいだからね。……マギヤはどれぐらい見えてんの?」


「プリストラに、ヴィーシニャさんはずっと綺麗、と言われたとき、ヴィーシニャさんが笑ってるのが見えていたぐらいですね。

 というかプリストラ、先程の発言を聞くに、ついさっき望遠魔法を付与したんですか?

 少し魔力を込めたら望遠魔法が発動するようにしてなかったと?

 貴方のヴィーシニャさんの想いはその程度なんですか?」

 はあ……まるで私が、出会ってからヴィーシニャさんを慕うプリストラや、現在進行系でヴィーシニャさんと交際しているウリッツァを差し置いて、ヴィーシニャさんを好いているみたいで……

 い――気分だ。

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