第4話解答編

 私が異性の記憶を無くしたと聞いて、朝っぱらから魔法実技の移動時間中まで、私への知能指数が限りなく低くしつこい女二人をあしらった日の昼休み。


 人気のない廊下で、メルテルさんが私に、この前自分に言ったことを覚えてるかと尋ねてきた。

 どれのこと? と言いたくなりましたが、そう答えると、心当たりがいくつかある=メルテルさんについての記憶がある=異性の記憶を無くしてないということになりうるので、私は、覚えてないと答える。


 そしたら、顔を真っ赤にさせて、あごクイからの、角に追い詰めての片脚壁ドンからの両手壁ドン、さらにそこから、このまま貴方を抱きたいぐらい、などと妙なことを耳元で囁いてきたメルテルさん。


 私は、ああ、これか〜と思いながら、努めて無表情に「……恥ずかしくないんですか?」と率直に尋ねる。

 私? 私は別に……というか、この時の私は本当にどうかしてましたから、そこを恥じてもなんにもならないと言いますか……。


 一応、あとで騒ぎそうな目撃者がいないか、周囲を軽く確認した後、

 私はメルテルさんに「貴方さえよければその顔、抱き隠してあげましょうか?」なんて、嗜虐心と庇護心から尋ねてみたら、メルテルさんは当然ながら拒否する。


「マギヤ……いつかトロイノイに刺されるわよ?」

「トロイノイに? ……ああ、そうですね。せいぜい刺されてすぐ死なないよう頑張らないと」

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