第9話解答編
トロイノイ、怒ってる……。
……当たり前だ、トロイノイから見れば私は、またヴィーシニャさんを襲った人だから。
……これからどうしよう。
トロイノイにヴィーシニャさんの部屋から連れ出され、なんとなく部屋にあるクッションを抱きながら私は思案する――思案という言葉がすぐに出るぐらいには精神が回復した――。
……ずっと幼児退行のふりでも続けようか? いや、それはそれで、なんか嫌だ。
……なにもかも話してしまおう、……うん、それがいい。
……体がトロイノイの方を向いてくれない。
動け動けこの……
「……あのとき怒鳴ったことは、さすがに謝るわ。けど、どうしてヴィーシニャを押し倒すみたいなあれになったの? 答えて、マギヤ」
どうして……か、……ちゃんとトロイノイを向いて答えなきゃ……。
全身が無理なら、せめて首だけでも……!
……首はどうにかトロイノイの方に向けられましたが、自分の前髪が非対称的なのを忘れていました……。
前髪が多い側に首を向けたせいで、若干目に髪がかかってトロイノイが見えづらいですが、このまま答えましょう。
「……ヴィーシニャさんを見た瞬間、体が勝手にそうしてた……それ以外の心当たりはあまり……」
……これが精一杯。あれこれ浮かぶ景色はあれど、どうにもまとまらない……。なら、まとめるより早く言う方を優先すべきでしょう……。
「……マギヤはね、前にヴィーシニャに……性的暴行を加えてこの前まで二人きりになるのを禁止されてたの」
トロイノイのその言葉に、私は反射的に「知ってます」と答えた。
「……思い出したの?」
「……そもそも忘れてなかったので」
そう言いながら体がトロイノイの方を向く。……トロイノイの子宮に還るのは全てを話してからだ……!
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