桃太郎糞改変シリーズ 短編集

納豆ミカン

第1話 桃太郎 世界の命運編

 昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。

 とあるオーロラが燦然と輝く青空の日、お爺さんは山へ全宇宙の命運を賭けた芝刈りに。お婆さんは河へ資金洗浄へ向かいました。

 お婆さんが汚え金を洗っていると、店の奥からドンブラコドンブラコと桃が流れてきました。

 お婆さんが持ち帰ってきた桃をお爺さんがトランプで切り裂くと、中にはなんと! お爺さんが3時間もの間ジャンケンで死闘を繰り広げた宇宙の帝王が入っていました。お爺さんはそれを見て最期の決戦に挑みました。両者が命を賭して行われた決戦のババ抜きは、3日経過した今もなお決着が付きません。

 両者とも精魂枯れ果て、いつどちらがババを捨て損ねても不思議がなかったその時。三日かけて行われた資金洗浄が済んだお婆さんが、三億円をかけて作成した黄金のジョーカーが完成しました。

 「お爺さん! 帝王にその黄金のジョーカーを引かせるのです!!」

 お爺さんが普通のジョーカーで3日の内に漏らしてしまった尻を拭いてから、黄金のジョーカーを手札に加えて、帝王に言い放ちます。

 「己が欲望に喰われて消えるがいい!!」 

 帝王は3億円のジョーカーに釘付けになり、思わずジョーカーを取ってしまいました。

 ……が。

 「ぬおおおおおー!!!! やっぱり3億円を渡したくねえー! 世界の命運とか知るかー!!」 

 「離せ強欲ジジイ!! 冥府に現し世の財など持ち込めぬぞ!」

 「持ち込めるかどうかじゃない! 手放さないという絆の問題なんだ!!」

 両者の指は互いに黄金のジョーカーを離すことなく、千年が経過した現代でも決着が着いていない。


 なお、両者の欲の皮が余りにも厚かったことが原因で世界には欲望を糧とする鬼が生まれて、とっとと死んで転生したお婆さんが桃太郎として金の力で鬼を成敗したが、大した話ではないので置いておくこととする。

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