第7話 軽くフラれたでも天国はあった
8日目。
今日は少し寝坊した。
夕ちゃんのところに行けないわけではない時間だったけれど、良く考えたら少し間を置くべきかもとか、いろいろ考え出してしまって行くのをやめた。
自宅で簡単にあるものをつまんで、通勤途中に夕ちゃんのいるカフェの前を通り過ぎた。横目でちらっと見送って、駅に着くと会えない寂しさがこみ上げた。
「ああ、、一日でも会えないと損をした気分になる・・・。」
会社着いたけど、働きたくねぇなぁおい。
仕事運とか恋愛運は連動してるって誰かが言っていた。確かにって思うのは、夕ちゃんと笑って話した日は仕事が楽しい。ていうか全てが素敵色に見えるから不思議。夕ちゃんのパワーなんだろうなって思う。大天使なんだきっと。
「大天使夕・・・だいて、ん、しゆう・・・」
「え、抱いて欲しいの?!」
は? 振り返ると、同期の秀二が椅子からずり落ちてこっちを見ていた。
「俺に抱いて欲しいって言ったか?ちょっと、待ってくれ・・・」
「どうしたの?頭湧いてんじゃないの?」
「はぁ・・・今日はダメだ。」
適当に外出作ってここから逃げようっと。課長~!外仕事くれー!
「あ、おい!ちょっと待て。俺は今案外乗り気というか・・・!!」
どうしたんだあいつ。お前も癒やしを見つけろ?(私のスムージー天使みたいに)
どうにか無理矢理、外出の用事を作って半分サボりみたいに会社を出た。幸いお弁当も作る暇がなかったから、今日はランチで美味しいものでも食べて、ちょっと仕事したら少しサボろう・・・。
いくつか離れた駅の大きな商業施設に得意先がある。私はそこへ行き様子伺いして新商品のパンフレットなどを渡してくる。可愛い子が居れば今日のわずかな癒やしにしてやろうと気分を上げて歩いていると、、
「あ、あれ?佐々木さんっ!」
わかる。振り向かなくてもわかる。愛があるから。この透き通った、神童と呼ばれた歌の上手い海外のこどもみたいな声の持ち主は一人だけ!
「ああっ!夕ちゃん!」(泣く手前)
樹里「きょ、今日休みだったの?」
夕「はい!今日お休みなので買い物してます♡」
樹里「え、でも休みって日月じゃ・・・」(*ストーカー)
夕「はい?シフト制ですけど・・?」
樹里「あ、そうなんだ。」(機密ゲット)
夕「わー、佐々木さんに会えるなんてー。びっくりです♡」
「お仕事中ですか?」
樹里「わたしもうれしいっ!」(隠せない)
「そうなの。ここに得意先があって、、あ!夕ちゃん、ランチでも一緒にどう?いつものお礼にご馳走するから!」
夕「あ、ごめんなさい。今日はご飯食べちゃったんです。」
樹里「え、あ、そそうなんだ。。残念・・・。」
「ていうか私も今すぐそこの会社に行かなければだったわ。」
夕「でも、私、佐々木さんと今度一緒に行きたいです♡」
(樹里には生きたいですに聞こえてめまい)
樹里「うううううんっ!行こうね!行こうね!二人で生きようね!」(軽くエラー)
夕「じゃあ。お仕事頑張ってください♡」
樹里「うん。夕ちゃんも良い休日をね。。」
そうして、夕は歩いて行った。
私はそこで手を振ったまま、意識を軽く飛ばした。
「ああ、会えた。運命なんじゃないかなこれ。」
この日、樹里は軽くフラれた。だけど運命は感じた。
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