第3話 休み明けの垢抜けは正直誰かわかんない
この間オリエンテーションが終わって、運動不足者にとってはほぼ地獄のようなものでリハーサルの時点で救護テントに”北鳥海斗休憩席”といった特別席が作られていた…別に今回は父母が学校側にお願いをしたのではなく単純に日頃階段もまともに登れていない僕への配慮だったそうだ…なんで前より運動してるし体力ついてるのに階段登れないんだろ僕…っとともかく、家でゴロゴロしていたら終わった夏休みもF-1カー並のスピードで過ぎ去り、今僕のクラスでは。
「それでは、文化祭でのA組のクラスの出店を決めていきます。みなさん何かありますか?」
10月の上旬に行われる氷海祭、通称文化祭。そして今はそのクラスの出店を決めているところだ。氷海祭は、規模がどうやら大きいらしく軽音部の生演奏だけではでなく全校生徒からアンケートを取り豪華ゲストが来て歌ったりトークをするらしい…前回は今超話題になってるバンドがきて体育館が爆発しそうになったとか…(大牙からの情報)ていうか去年色々起きすぎじゃね?このバンドで体育館が爆発しかけたり、オリエンテーションで問題が起きて宿作ってるしさ…
「メイド・執事喫茶に…ラーメン屋、漫才屋。他に案がある人はいますか?……無いようなのでこのまま投票に進めたいと思います」
僕は…なんとな〜くこれかなと思ったのはメイド・執事喫茶だった。いや他の案もいいと思うんだよ?でもラーメン屋は声量が絶対に必要になってくるし、漫才屋はそもそもネタができるぐらい人前に立つことは無理です。だから消去法でメイド・執事喫茶かな…最悪、決まったらメイド・執事のなんたるかは冬夜さんと佐藤さんに聞けば他の人も接客とかの時に便利だろうし
「メイド・執事喫茶が13人、ラーメン屋が12人、漫才屋が2人。ということで私たちのクラスはメイド・執事喫茶をすることに決定しました」
「「いえ〜い」」
「それでは次は、担当を決めます。多分…この感じだったら料理9人。接客12人。席案内2人会計と集計を5人でいきます」
「ん?忍切、人数が足りない気がするが」
「私は、現場監督をして先生に伝えるのが一番良作だと思いまして」
「なるほどね〜じゃあ、店長っていう枠つけて俺の名前入れておいて」
「………わかりました。では少し時間を取るのでそうですね…5分経ったら聴きますので考えてください」
………困ったぞ。本当にメイド・執事喫茶になってようやくクラスの人に頼られそうだと思ったのに担当がどれもこれも僕がつけるものじゃないぞ…まず料理、これに関してはできないっ!おじいちゃんおばあちゃんのところにいた時に手伝ってたけど、実家に帰ってからは危ない・シェフを雇っているでこの半年、包丁を握った覚えがない…そして席案内。客をうまく捌きながらお客を入れていく、ゲームだったらできるけどコミュ力が地の底にあってなおかつ瞬発力がない僕には無理…そして会計と集計。これに関してはクソ、無理。先週あった学力テストで他はある程度点数を取れてたけど数学だけ赤点だったレベルで大嫌い。いや…家業継ぐってなったら多分一番致命的な教科かもしれないが大嫌い…となると残されたのは接客ぐらい…無理な気がするけど、他にできるものがない。これはまじでオタワ案件です。
「それでは聞いていきますね。料理をやりたい人」
もうここまで来たら腹を括るしかない…それ以外全部できないから…僕は覚悟を決める!
「10人っと…次、接客をやりたい人」
いつもだったらカウントされるかどうかわからないぐらいしか手を上げていなかったが、ここでカウントされなかったら別の地獄が待っていると思った俺は、優等生も驚くほど、ピッシィ!っと手を上げて確実にカウントしてもらえるようにした…
「9人っと…次は…」
よぉぉぉぉぉぉっし…これでとりあえず確定したからあとは共同不審になって通報されないようにすることと、冬夜さんと佐藤さんに接し方とかマナーとか色々聞くだけ!って思ったけど、どこのタイミングで聞こう。いつもわっせわっせしてるし…冬夜さんはおやつの時間とかに聞いて佐藤さんは髪を乾かすのを手伝ってもらってる時にでも聞くか………まだ10月ですらないのにもう胃がキリキリと悲鳴を上げてるような…
「料理と接客の人数比だけずれてますね…料理担当で誰か接客に回ってもいいよという方はいますか?」
「………」
クラスが完全に静寂に包まれ、このまま話が進まなかったら次の時間も続行される確率98%………それだけは超困るぅ…だって次、歴史の時間なんだもん…歴史の先生の授業面白いけど時間がかかるからいつもオーバーランして昼休みがぶっ潰れるから次の時間にまで進行したらその歴史の授業の次がオーバーランする負のサイクルになるって!!
「あ、じゃあ。俺、接客やるぅ」
「東堂さん、いいんですか?」
「いいよぉ〜ゆーて俺、おにぎりぐらいしか作れないしぃ」
「ありがとうございます。そしたら…担当も決まったので次に移ります」
そう忍切さんがいうと、ノートに30秒もかからないうちに書き写してしまい黒板をザザッとすぐに消して書かれた文字は「1・2年合同演劇」の文字だった…え?そんな話聞いてないんだけど…???
「今年から1・2年生合同で演劇をすることになりました。対象者は全員。免除があるのは文化祭実行委員と軽音部・演劇部に所属しているものだけです。」
嘘…俺…学校で飼ってるうさぎに餌をあげましょう委員会に入ってるから免除がないっ……いや、大丈夫だ。別にそんなくじ引きで決まるとか
「また、対象者が公平に選ばれるようにくじ引きで決まることになってます」
終わった…こんなにも早くフラグを回収することがあるか…いや現状起きたのだが…いや、ここで自分のくじ運を信じて引かなければいい…そうだよ!そうだよな!だって200連してSSRが一枚しか来ない3%もピックアップも信じてないからな!!大丈夫だろ!!
「各クラス2名ずつ男女問わずで選ばれます。それではこのレジ袋に入れられている紙を対象者の人は選んでください」
一列ずつ、呼ばれ教卓に向かい…全員が選ばれないように願いレジ袋の中に手を入れ紙を取り席に戻る最中に中身をチラ見して、真顔でいるようだったがオーラがよっしゃ!!当たりじゃなかったんだぜ!!っていう感じが前の人たちから溢れ出ていた…ということはまだあたりは中に2枚あるということ…僕の前に引いた人は6人…つまり2/21の確率…当たるわけがないwたったの9%、いつも3%ですり抜けていてピックアップになっていてもすり抜けるので安心してくじを引き、席に戻る前にチラッと他の人同様に中身を見てみた結果……僕は…
「終わった………」
席に戻るなり、僕は確率の女神を呪った…いつもは天井するまで推しを出してくれないのにこういう場面だけは力を使ってきてあたりに導きやがる…もはや祟りだろこれ…現実を逃避するため机に頭をバンっ!バンっ!と頭蓋骨が割れるぐらい叩き夢であるのなら早く冷めて欲しかった…だがしかし、現実というものは甘いものではなくそれが事実であるということは変わらなかった………
「あ、あぁぁぁぁぁああああああああぁぁああ!!!」
僕と席が離れ後に引いた大牙が、くじを引いて僕や他の人と同じように中身をみた瞬間、発狂していた。ようこそこちら側の世界へ…あの人生全て終わったかのような顔面は当たらなくてよかった!ラッキー!という表情ではなく終わった…これ…衣装のためにおにぎり食いすぎるなって制限されるやつじゃんと絶望した顔だった。いや、お前の絶望ポイントはおにぎりかいっ
「それでは最後に私が引きますね。反応をみたかぎり、北鳥さんと東堂さんが当たったようですがあってますか?」
「はい……当たりました…」
「当たっちゃったよぉ…まじかよぉ…」
「二人のシフトや予定はクラス委員の私が責任を持って調整します」
「頑張れよ大牙!!」
「北鳥くんも頑張ってね」
クラスから拍手と応援の声が出たが…もう二人のHPは0でオーバーキルもいいところ…死体蹴りしなくてもいいじゃないか…
「早速なのですが、今日の放課後顔合わせがあるので二人は遅れずに2年生の階にある文化準備室に行ってください」
「「はーい…………」」
決まってしまったことに逃げれず、こうなったらやってやる……って思えるぐらいのメンタルが欲しいと思いながら授業は終わり、次の歴史の時間は安定のオーバーランを決め、大牙と一緒にシャケおにぎりを暴食しながら中庭で現実逃避した…
「なんでソシャゲのガチャは出ないのにこういう時だけ出るんだろうね…」
「本当な…推しが出ねえのにすり抜けはくるからな……そういうことなんだろうな今回も」
「「まじで…絶望…」」
「何、絶望してんの〜?」
「「え?」」
二人で合計10個ぐらいシャケおにぎりを食って絶望していると目の前に、女の……いや!男の人が話しかけてきた。びっくりしたぁぁぁぁ…一瞬、あ、可愛らしい子って思ったけどどこかでみたことがある容姿だなと思ったら入学式の在校生の言葉で前に出ていた名前は…えっと…忘れたけどその人だった。
「二人揃うって仲良いんだねwそれにしてもこのおにぎり二人の分???」
「え、あ、はい!そうっす。俺が毎日作りすぎちゃってぇ」
「ふーん、あ、自己紹介がまだだったね。僕は日向幽奈。2年生だから君たちの先輩か」
そうだ!日向幽奈さんだ!でも在校生の言葉でなんて言ってたかは思いっきり忘れてるけどお人形さんみたいで綺麗だなって思ったんだった…もうすっかり忘れてた…
「先輩なんですかぁ!!よろしくお願いしますぅ!!」
「うん、よろしく。ところで二人は何が絶望だったの?」
「えっと…なんだっけ海斗」
さっきまであんなに絶望だやけ食いだいっそのこと骨折してやるとか言ってたのにもう忘れたのかよ…本当にアホの子なんじゃねえの…???あるいはダチョウ以下か…いや五十歩百歩、どんぐりの背比べか……
「お前は……1・2年合同の演劇に出ることになって絶望してたんだろ…」
「あ!そうだったわぁ!」
「それ僕も出ることになったんだよ」
「まじっすか!!放課後に顔合わせする前に知ってる人ができてよかったっすぅ!!」
「いや…在校生の言葉で一方的には知ってたから…」
「在校生の言葉…???何それ」
そうだ、こいつは式典だっていうのに校長先生の話あたりから涎垂らして寝言言うぐらい思いっきりぐすかぐすか寝てらっしゃいましたからねぇ…
「あ、もしかして君、涎垂らして寝てた子?」
そして思いっきりバレてるじゃねえか大牙ぁぁぁぁ!!!!やっぱり、見えてたんだ…というかそら見えてますよね…二列目に座ってるやつが思いっきり爆睡してるなんて本当に前代未聞だよ…
「あ〜えっと〜ブッビュ、ブッビュ〜」
「やっぱり君だったんだ。二列目で爆睡してて面白くなっちゃって僕笑いそうになっちゃって」
「えっへっへ〜」
「えっへっへ〜じゃないんだよ!!」
本当に大牙のアホさ加減には胃がいたく…いや普通に食い過ぎなだけか、帰る前に冬夜さんに夕飯はいつもより少なめでって伝えておいてくださいって連絡しなきゃ…もう胃がパンパンだ
「日向く〜ん!」
「あ、ごめんね。呼ばれちゃったから放課後にねー!」
「はいぃ!!」
日向さんは、多分同じクラスメイトであろう人に呼ばれそっちの方に向かっていった
「いやぁ〜可愛らしい人だったなぁ!」
「まぁ、同性じゃなかったら学校中の男子が告白しそうだよなぁ」
「え」
「え?」
「俺の初恋さようなら……」
「………………」
僕はなんて言葉を続けばいいのかわからなくなったのでお腹がいっぱいだったはずだったらまたシャケおにぎりを食べ初めており、次の時間は睡魔との戦いだったが頑張って寝ないようにし、放課後に少々しょぼくれている大牙と一緒に2年生の階の文化準備室に向かっていった
「失礼します…」
「失礼しま〜すぅ!!」
「おぉ!二人とも早かったね!!まだ少し早いから座って待っててね」
「了解ですぅ!」
大人しく席につき、1・2年各4クラスが全員集まり、顔合わせが始まった。今日は顔合わせとある程度の役職極めをすることになった…やるんだったら裏方が良かったけど…くじで選ばれた人は演者確定らしい…やっぱり骨折でもすればこの板の上から降りれ…いや、骨折したら今まで以上に冬夜さんたちに迷惑かけるよなぁ…あぁぁぁ!!なんでくじ運がこう言う時に最高潮にいくんだよまじで!!
「座長はこの僕、2-D日向幽奈が努めさせてもらいます。みんな!よろしくね」
「「よろしくお願いしま〜す」」
「役に関しては、平等に一人1セリフ以上はしゃべってもらう予定だよ。何か質問がある人はいますかぁ?」
「あ、あの…一つだけ…」
周りがとっととこの顔合わせを終わらせて帰りたいと思うかもしれないが…許してくれ…後で聞きに行けって思うかもしれないけどダチョウじゃないけど聞いておきたいと思ったんだ…
「その…脚本…?って誰が制作するんですか…???」
「あ、確かに……考えてなかった…うーん。また来週に集まりがあるからその時に決めよっか。それじゃあ今日の顔合わせはここまで、ありがとうございました!」
「「ありがとうございました」」
それぞれ会議が終わると次々と人が出ていき、落ち着いてからでいいかと思いながら最後の方まで残って大牙と一緒に教室に戻ろうと廊下に出たのと同じくらい僕だけに聞こえるぐらいの声で文化準備室にまだ残っていた日向先輩の声が微かに聞こえた…
「チッ……クソが……めんどくせぇことを……」
「え?」
「ん、どうかしたかぁ?」
「いや…なんでもない。早く帰ろっか」
「そうだなぁ!!あ、そうだ。帰りにスーパーで母ちゃんにシャケフレーク食べるんだったら自分で買ってきなさいって言われたんだ」
「一日に一瓶使ってたらそら言われるでしょw」
「なけなしのお小遣い崩さなきゃなぁ」
声の主に一瞬気を取られたが、自分の聞き間違えだろうと思いすぐに教室に戻って大牙はその足のままバスケ部に向かっていって、僕は帰宅部なので安心安全に下校をし、帰ってくるなりそうそう廊下ですれ違った冬夜さんに文化祭で1・2年合同の演劇にくじが当たってしまったことを愚痴を吐かないという自分の中で決めた約束も忘れてベラベラと話した…
「それで…超絶望的で…」
「それで夕食を少なくするように連絡を入れたのですか?」
「いや…それは…昼を食べすぎただけだからこれとは別で……」
「それで、演目は何をやるんですか?」
「それが今日まだ顔合わせしただけだからこれからだと思う」
「さようでございます。私にできることであればお手伝いさせてもらいますね」
「うぅ…本当にありがとう冬夜さんんん!!」
まだ少し失踪したいという気持ちはあるが冬夜さんも手伝ってくれるって言ってくれるし大根役者にだけならないように頑張らなきゃ!あ、あとそうだ。クラスでの出し物のことも言っておかなきゃ
「あ、あと!」
「なんですか?」
「クラスの出店がメイド・執事喫茶になったんですよ!それで接客担当になったので色々聞いておきたいと思って」
「メイド・執事喫茶ですか…初日に私と挨拶しただけで失神した海斗様が接客…心配しか…」
「ふぇ?何???」
「いえなんでもありません!!もちろんその面もお手伝いさせていただきたいと思いま、海斗様危ない!!」
冬夜さんに思わず引き寄せられ、オリエンテーションの日のように冬夜さんに引き寄せられると僕の背後から女性と思われる声がひししっと笑う声が聞こえた。もしかして…不審者!?あ、俺殺されるんだ。まだ録画して見切ってないアニメも最後までできてないゲームも文化祭も楽しないで死に友人に別れの言葉の一つも残せぬまま死んでゆく哀れなモブのオタク人生であったことをお許しください…
「よっ!冬夜!!それに……あれ、君誰?新人さん????」
その声の主の方を恐る恐ると振り返ってくると冬夜さんと同じぐらい綺麗な白髪をポニーテールにしていて、服装は…なんていうんだろそういうの疎くてわからないんだけど流行の服装で、サングラスを外すと冬夜さんと同じ緑色の瞳をしていた僕よりも年上のお姉さんがそこにはいた…え?ドユコト????
「そんなわけないでしょ……姉貴……」
「お姉さまぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!?!?!?!?!?!」
僕はまだ冬夜さんにお姉さんがいることを僕は全く知らなかった…というか本当に僕、冬夜さんのこと知らなさすぎでは?もう半年は一緒にいるのにほぼ他人と同じレベルだよ?冬夜さんへの理解度がさぁ???
「元気いいなお前w」
「馬鹿野郎。この方は旦那様方のご子息だ!」
「え、うわぁああああああ!!失礼しましたぁ!!ご無礼をお許しくださいませ!!」
「いやいやいやいやいや、いきなり対応が変わったらびっくりするっていうかなんというか」
僕がこの家の一人息子だと言うことがわかった途端、唐突に敬語になった…いや、正直今のラフな格好だったらタメで話してもらった方が第一印象とあってるから安心するんだけど…っていうか…冬夜さんのお姉さんだったら本来だったらメイドさんか冬夜さんのお母さんと一緒で庭師をしてるよね…?なんでこんなラフな格好なんだろ。留学とかしてたのかな?
「はぁ…海斗様。私のちゃらんぽらんな姉を許してください…」
「ちゃらんぽらんは余計だろぉ?」
「いや…そのことは別にいいんですけど…」
冬夜さんのお姉さんの襲来に僕の心が全く追いつけていない状況で話がどんどん進んでいきもうキャパオーバー寸前になっている中、この状況をさらに引っ掻き回す存在が帰ってきた
「ただいまぁ。ってあら!?桜子ちゃんじゃない!!お久しぶりね!!」
「あ!菫子さ〜ん!!お久しぶりです!!!!」
桜子と呼ばれた人は、僕の父と母が帰ってくるなりぴょんぴょんと跳ねながらまるで友達のようにキャッキャッと久しぶりに会った旧友とあった時のようなテンションに僕と冬夜さんの顔面は真顔になっていた…それもそうだ。自分の母と自分の姉がキャッキャッとしている状況、それが現実だろうと現実じゃなかろうと真顔になるわ…
「あ、海斗ちゃん帰ってきてたのね。この子は熊和歌桜子ちゃん。冬夜くんのお姉さんよ」
「挨拶が遅れました。あたし、
「って、桜子ちゃん。帰ってくるんだったら連絡いれてよもぅ〜」
「すみません。ちょっとイベントでこっちにくることになってついでに実家帰ろうと思って〜」
僕は完全に思考を放棄しそのまま冬夜さんにもたれかかる状態で失神してやろうかと思ったが、この半年で健康体になってきたせいが全然失神できない…くそっ!この健康体がっ!
「あ…あの…つかぬことをお聞きしたいんですが…」
「はい!なんでしょうか」
「桜子さんは、普段何をされているんですか…???」
「あたし?あたしはね…動画配信者をやってるんだ!!」
………予想の斜め上をいう返答が帰ってきたせいで本格的に頭が止まりそうになった…いや、多分本当に0.1秒ぐらいだけど脳の機能が一瞬停止したような気がする。
「さっちゃんねるっていう登録者が80万人ぐらいのチャンネルなんですけど……」
「さっちゃんねる!?!?」
確か僕の記憶が確かだったら、大牙は好きで昼にシャケおにぎりとお弁当を食べてる時に何本か動画を見せてもらったような…プレイヤースキルが高くてFPSからロールプレイングゲームまで幅広いジャンルをやっている配信者だって聞いてたけど……世間ってせまっ!!
「あ、もしかして知ってるの!?」
「僕の親友が超ファンで…オフイベでもあればいくのって嘆いてるさちリスですよ…」
「本当に!嬉しいな。近くにリスナーがいるのって、なんだったらサイン書くからその子に渡し」
「姉貴……そろそろ俺も海斗様も頭痛くなってるから一回自室に戻ったら…」
「それもそうねぇ、桜子ちゃん見た感じ今来たみたいだし」
「確かに、荷物も置いて動画の編集しなきゃ」
「そういえば、どうしてこの時間に冬夜くんが?」
「勉強に集中していて、海斗様からの伝言を厨房に伝えに行こうとしていたところで海斗様と廊下で鉢合わせて、そこから文化祭のお話に……」
「海斗ちゃん。文化祭何やるの!?」
「え……あ…メイド・執事喫茶………しかも接客でなんだったら…劇にも出る…」
もうどうにでもなれ精神で、ボソボソっと言ったら案の定聞き返され、大声で言ったら母の目がキラキラと輝き、想像していたことが現実となった……
「たっちゃん!!」
「あぁ…そうだな。メイド服と執事服の予備を倉庫から出してこよう」
「文化祭当日は会社自体をお休みにしていきましょう!」
「そうだな…スケジュールを見直さないといけなくなるが、まぁいいだろう」
まぁ、いいだろう。じゃないんだよ!!だからあぁぁぁぁぁなんかあの時別にどれ選んでも地獄だったような気が…なんで接客にしたんだぁぁぁぁ!!午前中の僕を恨みたい。一発殴ってやりたいぐらい恨みたい!!
「ママもう楽しみだわぁ」
「喫茶店だったら、髪とかあと執事服とメイド服着るの意外とめんどくさいですよね…あ!あたし、奈津子と冬夜を連れてお手伝いに行きますね!!」
「「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!」」
冬夜さんだけではなく、佐藤さんまで巻き込まれて…あ、なんだろう。冬夜さんのお姉さんなんだろうけど、しっかり僕の両親に影響されてここで育ってきたんだろうなって言うことが本当にこのたった数十分もしないうちによくわかったよ…本当に、有り余るぐらいに…
「お手伝いと一緒に文化祭を回れば一石二鳥じゃないですか」
「いや…俺は…」
「お手伝いするよね!?冬夜、ね!?」
「あ……はい…当日お手伝いさせていただきます…」
冬夜さんが圧で負けただと……と言うことは…僕は小指で1発K.O.でオーバーキルレベル…勝てるはずがない…
「それじゃあ、あたしは自分の部屋に行きますね。2日間ぐらい泊まらせてもらいます」
「わかったわ〜。楽しみねぇたっちゃん」
「そうだな。」
桜子さんは使用人専用館に向かっていき、父と母は自分たちの部屋に戻っていきこの場に取り残された僕と冬夜さんは、まだ週の初めだと言うのに心身ともに疲れ果てていた……
「なんか頭痛くなってきた………」
「私も一緒です……」
嵐の成果二人揃って頭痛を起こし、何が起きたかわからないままいつの間にか予定が作られてしまった佐藤さんが通りかかり、二人仲良く救護室で頭痛が治るまで仲良く眠っていた…
そして1週間と言うものは学生でも社会人でも早く感じ、この間ようやく金曜日が終わったと思い土日に休みを謳歌してやるぜ!と思ったがほぼ記憶がない状態で月曜日はやってきてしまった…そして今日の放課後も集まりがあるらしい…一人一回以上セリフがあるのが本当に無理。できることなら木の役が良かった…
「それでは第一回の会議を始めます。よろしくおねがいます」
「「お願いします」」
大牙が体調不良で休んでいるので1-Aは僕だけで心細いというか今すぐ失踪してやりたい気分ではあるが、明日きた時ように話を聞いていないといけないので魂だけでも失踪させて話を聞いていく
「えっと…欠席者は1-Aの東堂くんだけかな?よし、ではある程度こちら側で決めることを考えてきたから決めていくよ!」
黒板にカツカツと決めることを箇条書きにしていき一つ目はなんの演目をするか。二つ目は脚本を誰か書くか。三つ目を書こうとしていたが今日決めることではなかったのか”3”と書いたあとすぐに消し手をぱんぱんとして粉を叩き会議が続けられた
「先週のうちにいっておけば良かったんだけど、よくよく考えたら脚本とか配役よりも先に演目決めなきゃ〜って気づいて、何かやりたいものあるよぉ!って人いる?」
プリッとした仕草で全体に聞くが……正直、僕は何も思いつかない。こう言うところは無難におとぎ話とかの方が滑らないし…そうなってくるとシンデレラとか白雪姫とかが無難なのか…???そうなればネズミAとかリスCとかメインじゃなくてもセリフがある役になれるのでは!?
「何か案ある人いるぅ〜?」
「あの…シンデレラとか白雪姫はどうですか?」
「いいね!!シンデレラと白雪姫っと、他は!!」
みんなそれぞれ案を出していき、最終的に、白雪姫とネオ桃太郎の二択に絞られた。いや…ネオ桃太郎ってどんな内容の劇をするつもりだよ…お供が犬猿雉じゃなくて狼オランウータン鷹にでもなるのか…ちょっと見てみたいような気がするけど台本書く人が死にそうだな…
「それじゃあ一人一回で決めま〜す。まず白雪姫がいい人〜えっと…9人。ネオ桃太郎がいい人〜、6人…それじゃあ今回の演目は白雪姫をやることに決定でーす!」
決まったことに拍手し、あとはセリフ数の少ない動物Bとかの役をゲットできれば!!少しは心の余裕ができ
「配役…は時間がもうないから明日の放課後!また集まってもらってくじで決めま〜す!」
え…???またここでもくじなの…?絶対に動物Aとかの役職引けないじゃん…最近謎の運を持ってるから絶対に引けない…終わった…
「それじゃあ、今日はこれで終わります。ありがとうございました〜」
「「ありがとうございました」」
一種のお祓いにでも行こうか悩みながら大牙に今日決まったことを連絡しておいて、僕は……現実逃避をした……
「で、その現実逃避をした結果、王子役になったんですか?」
「現実なんかクソ喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
あの会議の翌日…僕はくじを引き…見事、王子様役になった。まだ主役じゃなかっただけマシだと思いたい…あ、ちなみに大牙はおとぼけの役になった。あいつにピッタリでいい役だと思うんだけど…僕が王子様なのは絶対にない。神様が『ぷぷぷー、オタクを王子にして全校生徒の前で恥をかいてしまえw」ってしただんだ。もう神も女神も自分のくじ運も何も信じられない…
「なんで…なんでぇ!!」
そしてそれを学校がある日にずっとひっぱり続け、現在土曜日の朝6時30分。いつもだったらとっくに冬夜さんに布団を剥がされていてもおかしくない時間だが、僕が駄々っ子すぎていまだに布団から出ていない…
「はぁ…いい加減起きてくださいよ」
「無理……もうお布団の世界の人間になる…ありがとうございました…」
「ありがとうございましたじゃないですよっ!!」
いつもより30分も遅く布団を剥がされたが、僕はマットレスにしがみつき起きることを拒否した……
「はぁ…起きないんですか」
「ツウーツウー、ただいま通信にお応えすることができません。ピーっとなったらご用件をどうぞ」
もう絶望感に苛まれている僕は、茶番でもして冬夜さんを諦めさせようと思ったが、こんな幼稚園生のおままごとレベルではどうって言うことはなく僕のもやしボディーは簡単に持ち上げられソファーに座らされた…
「ぴぃぃぃぃ……」
「朝です。起きてください」
「うぅ…」
「それに、絶望だなんだ言いながら一番セリフ量も出番も少ない役ですよ」
「うぅ……ってマジィ!?」
王子役に決まったことに絶望して金曜日に渡された台本を全く読んでなかったけど…よくよく考えたら王子、最初と最後しか出ない!!やったぁ!!!
「えぇ、台本を少し読ませてもらったのですが、どの役よりもセリフは少なかったですよ。」
「よっしゃい!!元気出たァァァァ!!」
嬉しすぎて思わずソファーの上に立ってしまい冬夜さんに怒られはしたが、セリフは一番少ない!!すまんな大牙。僕は、少々楽をさせてもらうよ!
「ですが、王子役となるとその前髪はあげないとですよね」
「…………絶対に嫌だ」
「どうしてです?」
「こんなオタク野郎の眼球なんか見たら石化どころか腐敗して死ぬ」
「この前買い出しに行った際に旦那様方に見られてませんでしたっけ」
「あれは…あれは耐性があったからだよっ!!つか、そんなこと言うんだったら冬夜さんのその前髪も執事としてあげなくていいんですかー」
クソガキも驚きの煽り方をしたら、冬夜さんの顔色が一瞬で変わりクソガキ風にしていた僕でも、冬夜さんの地雷を踏んだのは一瞬でわかった……
「こ…これは……いえ……」
唇を噛み締め…何かを決意したのか、今まで左目を隠していた前髪を冬夜さんはあげた。冬夜さんは今にも恥ずかしさで死んでしまうじゃないかと言うぐらい顔を真っ赤にさせながら僕の方をみた、そして半年以上冬夜さんと一緒にいたが、初めて彼の左の目をみた
「お…オッドアイ…???」
冬夜さんの右目は桜子さんと一緒の透き通るような緑色をしているが、左目は、色素が薄いのか白色をしていた。
「そうですよ…生まれつき左目の色素だけ薄くて……それが…コンプレックスで……」
「ふぇっ…」
そういえば、夏場も前髪は切ってたけどずっと眼帯してたよね…あああああ、どうしよう。人の触れてほしくないところにドコドコと土足で踏み荒らして…最低すぎる。というか僕起きてからずっと最低なことしかしてない。
「あぁぁぁぁあああああ!!恥ずかしいぃ………」
時間としては1分も見たなかったが、冬夜さんは恥ずかしそうに前髪を元に戻して、僕の方を少々睨む感じで前髪をあげるように言ってきた。今この状況で僕に断ることは絶対にできない。なぜならば、人の地雷を平気で踏んでおきながら自分は知りませんよというクソ野郎になるからだ…それだけは嫌だぁ…と言うか…推しに嫌な思いさせてる時点でオタクとしても人間としてもすでにクソ人間だけどそこからさらに底辺に落ちるのだけは嫌だぁ!!
「わ…笑わないでくださいよ……???」
「もちろん笑いませんよ」
今まで鉄壁だった前髪を上げ、冬夜さんに自分の素顔を大公開すると僕は大後悔した。冬夜さんは僕の顔が酷すぎるのか、言葉を失ってなんか上げたと同時に「おっふ…」って言ってただけだった。やっぱり悲惨だよなぁ…と言うかオタクの顔面に一体なんの徳が…
「ど…どうして前髪で顔を隠してるんです!?」
「え、だって…見るに耐えないし…」
「そんなことないじゃないですか、綺麗な顔立ちですし」
「それだったらそのままバットで冬夜さんにそのまま返しますよ!!」
「何を言ってるんですか!私こそお返しいたします」
ギャーギャーと冬夜さんと言い争っていると、いつの間にか朝食の時間だったらしくいつまで立ってもこない僕と冬夜さんを心配して、冬夜さんと交代するまでは父についている佐藤さんが鬼の形相で僕の部屋の扉を開けた
「あらぁ〜?もう朝食の時間なのになんでまだパジャマなんですか〜?」
「あ、いや。あの、その…」
「冬夜くんも、朝食に遅れないようにするために朝起こしに行ってるのよねぇ〜?」
「え、あ。は、はい…」
「奥様から許可はいただいてるの。二人とも覚悟してね」
「「え。」」
覚悟してねと全然笑っていない笑顔で言われた次の瞬間、佐藤さんの忍切さんにも負けないゲンコツが僕と冬夜さんの脳天に直撃し二人揃って引きずられる形で、朝食に向かい普段は全然怒らない父と母に思いっきり怒られた…ただでさえ、過去のあれで僕との時間を大切にしてくれるのに朝食に遅れるとはどう言うことだ的なことを言われた…やっぱり絶望だったのかもしれないな…ハハハっ…
「………………」
「………………」
朝食後はなんとなく気まず〜い雰囲気になったので、僕はひとまずおやつの時間まで台本を最初から最後まで読んでみることにした。大まかな流れはよく聞く白雪姫と同じストーリーなのだが、まず白雪姫役が日向先輩…もうまずこの時点で僕は詰んでいる。知っての通り日向先輩はお人形さんのように可愛らしい容姿をしていて、クラスの女子の間でも話題に出るぐらいの人気者…そんなリアルお姫様みたいな先輩の王子様が僕。うん、セリフが少なくても釣り合わなさすぎて夢だと疑うよね…月とすっぽん、雲泥の差、天と地の差だよ本当に、大丈夫かな。僕、劇終わった瞬間か劇中に日向先輩が好きな人に包丁で刺されそうな感じがするんだけど。「この!オタク野郎が日向くんの隣に立つんじゃねえ!!」って殺傷事件、殺人未遂、殺人事件が起きてそれこそいい演目にはなりそうだけど、僕のお命と引き換えに客がドッ!っと沸くのだったらそんなの沸かなくて結構…一生100℃以下であってくれ。
「あぁ…過激派だけは頼むから壇上に上がってこないでくれ…」
アニメでも現実でも過激派と呼ばれる人たちは…少々苦手だからどうか夜道に気をつけながら生きていく生活だけにはなってほしくないぃ…あと、僕が突っ込みたいのはこのラストシーンの、白雪姫が目を覚ました後の展開!!ここはチューのシーンじゃなくて原作通り棺がガタッとなった時にりんごの破片が喉から出て眠りから覚めるっていうのはわかるよ?でもその後の手書きで書かれている『本番でもしかしたら起きた後キッスw』という文字が書かれていてこの台本を破ってやろうかと思ったがか弱すぎる僕の腕ではたった10Pの紙すら破けなかった……とりあえず、月曜日に集まりがあったらこの手書きで書いた台本書いたやつを一発…殴る!!はぁ…とりあえず読むか…………
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〜こちら、巣窟場 鯖 雑談チャンネル〜
【ぺんぺん さんがオンラインになりました】
ぺんぺん「ヤッホ………」
マッシュ「ヤッホ〜って元気ないじゃん。どうした?」
ぺんぺん「いや…ちょっと私情で精神的に疲れた」
マッシュ「まじで?お疲れ様」
ぺんぺん「ありがとぉ」
【一獣の王 さんがオンラインになりました】
一獣の王「ちわ………」
マッシュ「ちわ〜って、オーも元気ないじゃん」
一獣の王「うん…ちょっと…朝に米食いすぎてお腹痛くて…」
ぺんぺん「どう考えても自業自得なんだけど」
マッシュ「何杯食べたの」
一獣の王「え、3合」
マッシュ「朝から!?!?」
ぺんぺん「バカじゃねえの………」
一獣の王「いや〜おかずが美味しくて気がついたら一人で3合食ってたよねw」
ぺんぺん「前から思ってたけど…バカでしょ」
マッシュ「うん、バカだろ」
一獣の王「バカじゃねえし!まぁ、でも食い過ぎたよねw」
マッシュ「一回でいいからお前の胃袋見てみたいわ…」
ぺんぺん「普通の人の3倍ぐらいあるんじゃない…???だってお昼になったらお腹減るんでしょ?」
一獣の王「うん、減るね☆」
ぺんぺん「やっぱりバカだわ」
マッシュ「いや、バカなんじゃなくてアホなのかもしれない」
一獣の王「いまいちどこが変わったのか全くわかんないんだけど」
マッシュ「俺も朝くって仕事しよっかなぁ…3合は食わないけど」
ぺんぺん「僕も仕事するかぁ」
一獣の王「俺もちょっと昼寝してから作業しよ〜」
ぺんぺん「食べてすぐ寝たら牛になるよ」
一獣の王「モォ〜牛になっちゃった☆」
【マッシュ さんがオフラインになりました】
【ぺんぺん さんがオフラインになりました】
「反応もなしで消えていくんじゃないよ…」
【一獣の王 さんがオフラインになりました】
【現在このチャンネルには誰もいません】
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読み込みしながら、チャットしてたけど…全然頭に入ってこない。チャットしてるのが多分一番ダメなんだろうけど、それでも頭に全然入ってこない。
「無理…文字の羅列嫌い〜」
「それだったら読み合わせでもしますか?」
「よみあわせ???」
「私が王子以外のセリフを全て読むので海斗様が王子のセリフを読めば前後も含めて頭に入ってくるんじゃないでしょうか」
「そうだねぇ、って王子以外のセリフ全部!?」
「はい。全部です」
冬夜さんはそういうとナレーターから白雪姫、七人の小人から女王まで王子以外のセリフを感情をこめて読み上げていき。僕の番になった瞬間に唐突に棒読みになった…この棒読み感も消さないといけないよね…それと演技も…本番当日に爆発して木っ端微塵にならないようにしなきゃ………おやつの時間もすっぽかし冬夜さんからたくさんアドバイスと修正点をもらい日曜日も劇の練習で丸一日ぶっ潰れた…
「海斗ぉ。生きてるか〜?」
「生きてない…北鳥海斗は死にました………」
「海斗が好きなチョコパン。今日買い弁だからついでに買ってきたけど」
「いる!!」
ゾンビ状態で登校したせいが、全くっと言っていいぐらい午前の授業内容が頭の中に1μも脳内に残ってない…なんか今度小テストがあるぞ〜とか言ってたような気がするけど、覚えてないからいっか。
「ていうか、買い弁なの?」
「そうなのぉ。この間朝から米3合食べたらぶっ飛ばされて買い弁になった」
「朝から米3合は多すぎだろ」
「今日も中庭で食べようぜぇ!!」
大牙に腕を引っ張られ中庭に強制的に連れていかれると先客がきていたようだ
「クソが…いっつもハズレくじばっかり当たりやがってよ…」
「あれ…?あれって…」
気づかれないようにちらぁ〜っと中庭の方を覗き込むとそこにいたのは日向先輩だったが、口調は会議の時の少々…ぶりっ子っぽい感じの喋り方ではなくそこらへんのヤンキーより口調が荒かった
「あ?誰だそこにいんの。早く出てこいよ」
気配は完全に隠していたはずだったが、野生の勘か何かでバレてしまい思考が完全に停止してただの置き物と化している大牙を引っ張りながら出ていくと悪役が悪行がバレた時のように開き直り、学校全体に響くのではないかと思うぐらいの高笑いをしていた…いや、僕たち何かやらかしたわけじゃないよね!?別に殺人現場とか見て殺されるわけじゃないよね!?
「ハーハッハッハ!!なんだてめえらかよ。昼飯か?」
「え、あ。はい!そのつもりだったんですけど邪魔ですよね!!お邪魔しました!!」
大牙を引っ張ってその場から退散しようとしたが僕がいくら引っ張っても大牙はびくともしなかった…なんだこいつ、カブか???靴の裏とかから根っことか生えてその場に突き刺さってることとかない?大きなカブになってることとかない!?
「邪魔かどうかいえばまぁ、邪魔だが…俺の素を見たんだったら……」
少し遠くにいたからなんとか正気を保っていたが、ゆっくりとこっちに近づいてこられて僕は何に対して謝罪をしているのかはよくわからないが、大牙を盾にしてひたすら誤っていた
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「…………いい…」
「え?/はぁ?」
ついに大牙までぶっ壊れたのかと思い、もうだめだ終わりだと思ったらキラキラとしたオーラと目を輝かせ、日向先輩の両手をブンブンと上下に振っていた
「かっこいいですぅ!!!!」
「はいぃぃぃぃいぃぃぃぃいぃぃぃぃいぃぃぃぃ?!」
「なんていうんですかぁ!?ギャップ萌えっていうんですかぁ!?とりあえずかっこいいですぅ!!!」
これがきっとギャグ漫画だったら今頃ズッコケるぐらいこいつは通常運転だった…しかもなんだその幼稚園生みたいな語彙は…こいつこの間の学力テストで国語の点数学年で1位だったやつだよな…?なのになんでこいつこんなに語彙力無いの…?もしかして語彙の引き出しすらダチョウが管理しているというのか!?
「痛ってええよ、そんなにブンブンされるとよぉ!」
「あ、すみません。感情が高まると人の腕をブンブンする癖があって…」
あぁ、あの血管に血がいかないぐらいブンブンするさっきあって、入学式の日に僕がされたやつ。癖だったんだ、今すぐにその癖なおせ。本当に腕がもげるぐらい痛いから。
「今すぐ直しやがれアホが」
「了解っすぅ!兄貴!!」
大牙が兄貴と言った瞬間、日向先輩は思いっきり吹き出しゲホゲホとむせていた。そしてその大牙の後ろで俺は絶賛腹筋が崩壊しかけてお腹がねじれそうw痛い、どうして君はそこまで純粋無垢なのだ大牙よwいやぁ…世界が誰かに征服されても君は今のままでいてくれ…w
「なんで兄貴なんだよ!」
「なんでって………なんででしょうねぇ?」
「な、な、なんででしょ…www」
なんででしょうねぇ?じゃ、あ、もう。痛った!!!ガチで崩壊したガチで攣った。笑いすぎてガチめに腹筋が崩壊したぁ!痛え!!!そして、日向先輩ももう普通に大爆笑しており、状況を把握できていないのは当の本人の大牙だけが僕と日向先輩に挟まれてキョトンっとしていた。
「はぁ…はぁ…まだお腹痛いけど収まったぞ……」
「痛って…あ、だめだ…まだ攣ってる……」
「二人してなんでそんなに震えてんのぉ!?」
お前のせいだよ!!!
「はぁ…本当面白いね…君たち…これからお昼なんでしょ。食べ終わったら演劇の練習手伝ってよね。そしてもちろん」
一瞬ニコッと笑うと、さっきの素と呼ばれる俺様チックなドスの効いた声になり、僕たちに釘を刺してきたが、行った暁には本物の釘が僕と大牙の体を本物の釘が刺さりそうなのでこのことはお口にチャック、墓場まで持っていくことになった…
「俺も一回お昼にすっか」
「それじゃあ一緒に食べましょうよぉ!!」
半分以上強制のような気がするが、日向先輩と一緒にお昼を食べたあと、一緒に劇の練習をしたが…冬夜さんより厳しくてもっと動きを大きくしろだとか動きが不自然だとか色々言われて、僕は午後の授業もほぼ何を言われたのか忘れ、放課後は前半はクラスでの出店のメイド服と執事服のそれぞれサイズ合わせや装飾作り後半は演劇の全員での合わせと衣装合わせをして、僕は帰って制服も脱がずに速攻ベッドにダイブした…そしてそのまま夕食も食べないままばたりと眠ってしまい次の日の朝、冬夜さんに思いっきり怒られたし、冬夜さんに見守られながら自分でアイロンをかけて超反省した…どんなに疲れても絶対に制服のまんまで寝ないことを心に決めて急いでお風呂に入って朝食を食べて急いで学校に向かってという生活を続けて1ヶ月間……僕は本番3日前の最終リハーサルの日に熱を出してぶっ倒れた
「体調はどうですか?海斗様」
「日向先輩に殺されると思うと熱がさらに…」
「38.5°…熱も先ほどより上がってますね。隠れてゲームとかしてませんか?」
「そんな元気あったら台本の読み込みしてる……」
目の前がくらくらと世界が回った状況になっていて冬夜さんの顔をぼんやりと見えているぐらいでこれが本当に冬夜さんなのか強盗か何かが冬夜さんのコスプレをして僕を騙しているのかすら判断ができないぐらい僕の頭はぐらぐらズキズキとしていた…こっちにきてまともになってい生活リズムが文化祭の準備や劇の練習で忙しくなって体がついに限界を迎えたっていうことだろう…
「………そうですか、薬ここに置いておくので向いたりんご食べた後に飲んでくださいね」
「ふぁぁい…」
熱とはいえ移すのはあれなので、ただ一人孤独を感じるような広すぎる部屋で一人でただ眠るというのは、いつも寝る時よりも寂しさを感じ、体調が悪い時は人肌が恋しくなるとはいうが………それに、謎に大牙が作ったシャケおにぎりが食べたくなってきた…
「あぁ……早く直さなきゃ……」
クラスの準備もまだできてないしあれだけやりたく無いって言っていた劇の調整もできてない…早く…早く…僕の意思とは別に睡魔というものは僕の意識をどんどんと奪っていきそして………………………… .. .. . . .
「はっ!?あれ………ここは…?」
辺りを見回してみるとそこは今と変わらない僕の家だった。でも、何かが違う…でも何が…?
[早くしなさい!次は絵画のレッスンよ]
あれは……母さん…???容姿は今よりも若く、そして今のふわふわっとした口調から信じられないほど棘ついておりそれはまるで…まるで…
[やめてよ!おかあさ……!!]
[うるさい!!!あなたは私が行ったことをやればいいのよ!!!]
まるで、あの4歳以前の時のような養育熱心という言葉よりも行き過ぎた生活をしていた時の頃…父と母にされられるがまま勉学・美術・音楽・運動をやらさせられていたあの小さい頃の記憶、今なんでこんな夢を……腕を引っ張られ別の部屋に連れていかれる僕をみる前に空間は切り替わり次の場面は僕の昔の部屋で一人泣いていたところだった…
[なんで…僕、遊びたいのに……]
その涙は僕が僕に近づく前に床一面を水浸しにし僕に近づこうと足を進めようと一歩を踏み出したがその一歩目のところに穴でも空いていたのか僕はそのまま涙の海の中に溺れていき息が続くはずもなく、次第に体から力が抜け落ちた穴から差す光を見つめながらそっと目を閉じると激しい波に揉まれながらまた別のシーンにきておりそれは僕がこの家に帰ってきた日の夢でちょうど冬夜さんと初めてあった時の場面だった
[海斗様。本日からよろしくお願いいたします。]
[よ…よろしくお願いしま…す]
そういえば、ここにきたばっかの時ってコミュ力が今よりもなかったというか皆無だったんだよな…確かこの後ぶっ倒れるんだっけ…
[あ、あへ…げへ…あ、も、う]
[海斗様!?]
あーもう。この場面だけは絶対に見たくなかったぁ!!コミュ力が低いっていうかただのこんなの奇行に走るただのヤバいやつじゃん…でも…裏を返せば最近は大牙とも話してるし…日向先輩とも話すタイミングもあるし…忍切さんも朝日奈さんとも。そう考えたら…僕、あの頃の僕よりも…少しだけほんの少しだけ成長できたのか…な?
そう思うと、僕がぶっ倒れたシーンが吹き飛んでいき次々と記憶が蘇ってくる。まるでそれは、走馬灯のように一つ一つのシーンがスロー再生のように、アニメの回想シーンのように流れていくそして、全てが流れでいく瞬間僕の後ろから声がかけられた。それは…いつも学校で聞いている
[よ、北鳥。]
[六井先生…???]
声の主の方を振り向くとさっきまでの真っ白な空間から僕はいつの間にかビルの屋上にいた。風が強く吹くが先生の前髪が崩れることもなく、またそれは僕の鉄壁の前髪も同じだった。そして、前髪の前に本来だったら気が付くはずだが、六井先生と行ったらの白衣をきていなかった
[あぁ、白衣のことか?それだったらちょっと持ってかれててな]
[な…なんでわかるんですか…]
[行ったじゃん。なんとなくだよなんとなく]
[そのなんとなくが3回も当たりますか?]
[そうだなぁ〜生憎、俺は数学より科学の方が得意でな。まぁ、数学も必要だけどほぼ公式なんか忘れたし]
[って六井先生が数学が得意だ不得意だっていう話はいいんですよ!なんでこんなところにいるんですか!?」
[え?あー、なんでだろ。俺が教えて欲しいわ]
[質問を質問で返さないでくださいよ…]
[そうだな…お前の背中を押す係になったからとでもいえばいいか?あ、でもそれだったら君の専属の執事くんの方が適任だと俺は思うけどね]
[せ、背中を押す係…???何を言ってるか全く意味がわからないんですけど]
[だよね〜。俺もそう思う。まぁ、お前の場合は俺がいなくても大丈夫そうだけどな]
六井先生は全てを知っているかのように話を進めていくが僕には何も理解ができない。理解が追いつかない。でも、六井先生はそれを理解できない・追いつかないこともわかっているような顔で僕の方を見てくる、一体…この人は…
[それじゃあ、夢もここで終わりだ。お前はとっとと熱を覚まして文化祭の準備をするんだな!]
六井先生はそういうと、落下防止用に建てられている柵をひょいっと軽々しく乗り越え、高さはわからないが地面に向かって飛び降りていき、急いで腕を掴まなきゃと柵の方に走り出すが、前に進めない。それどころか周りがどんどんと………しろ…く……… .. .. . . . . .
「はっ!?」
僕は、頭から足の先まで滝のように汗をかき過呼吸状態でまるで悪夢を見たような時のように飛び跳ねて目を覚ました。
「海斗様っ!大丈夫でしたか?うなされてましたけど…あ、これお水です。」
「あ…あ、ありがと……」
余程うなされていたのか、僕が覚えている限り部屋から出て行った冬夜さんが心配そうにしていた…ベッドは僕の部屋の入り口からそれなりに離れているから廊下に聞こえるぐらいうなされていたんだろうな………
「怖い夢でも見たんですか?」
「あ……」
寝起きでぼんやりと覚えている夢の話は過去の世界に飛んでいって涙の海で溺れそうになったことだけ……あと何かがあったような気がするけど何にも覚えてねえ!!
「えっと…過去の自分の夢を見て…」
「過去の……幼少期の海斗様ですか?」
「うん……それで……それで…」
「海斗様…?」
あの頃のことはもう水に流したはずだったが、夢で思い出すと僕は…あの頃ぶりに泣いていた…冬夜さんを心配させまいと必死に止めようとしたが涙腺が崩壊したのか全く止まらずパジャマの袖で必死に目の周りを拭いていると、冬夜さんに優しく抱きしめられた
「野郎に抱きしめられるのは嫌だと思いますが…今はたくさん泣いてください。誰も見ていませんから」
そう言われると僕の涙腺はさっきよりも崩壊し、冬夜さんの暖かい腕の中で多分30分以上泣いていた気がする。その間も冬夜さんは背中をさすってくれたりと暖かかった…
「はい、いっぱい泣いたあとはしっかり水分補給してくださいね。汗もかいてましたし」
手渡されたスポーツドリンクを一気に飲み干し、自分の水分%が元に戻ってきていることを感じるのと同時に、僕は30分以上冬夜さんに抱きしめられて号泣していた………迷惑書けないって言ってたのどこの誰だっけ〜?そう、そこのお前だ北鳥海斗!!
「と、冬夜さん本当にごめんなさい…男子校生の泣き姿なんか見せて…本当にいろいろごめんなさい…
「謝ることなんかないですよ。逆に私は海斗様にお礼をたくさんしたいぐらいです。」
「え?感謝されるようなことした……?いや、迷惑しかかけてないと思うんだけど…」
「そんなことないですよ。オリエンテーションについていけたこともおやつの時間に一緒にお茶したことも、甘えてミニチュアを買っていただいた時も私の中には感謝の気持ちしかありませんでしたよ」
「と、冬夜さん…」
まるで最終回の直前のような、雰囲気を醸し出しているが…まだ全然最終回にいけない。なんだったら2・3話ぐらい話を作れる文化祭もやらないで終わるはずがない!!
「まぁ、初対面でいきなり失神されたり、雑木林の中で遭難されたりといろいろ迷惑ももちろんかけられていますけど」
「最近冬夜さんがナチュラルに毒を吐くようになってきたんだけど……」
「ふふふ、少し距離感がバグってしまったようですね。それでは、私はお粥をお願いしてくるので待っててくださいね。食べ終わったら熱測りましょう」
「は〜い」
寝る前よりも何かスッキリした気持ちになり、おかゆがくるまで携帯でもいじってるかと思ったら大牙から999件メッセージが来ていて若干引いてしまったが、上から順番に見ていくと最初の10件ぐらいは僕の体調を心配してくれるメッセージと課題と文化祭の準備の進捗を教えてくれたものだったが残りの990件ぐらいは大牙から携帯を借りたのか日向先輩から煽りの文章と劇の最終リハーサルの時になんで体調を崩したんだ!と言った怒りのメッセージだったがそれは最初のたった5件ぐらいで残りはお腹を冷やさないで寝なさい!とか水分補給もしっかりすること!といった僕の体調を心配してくれるメッセージだった。劇の時の指導の時は、この先輩の秘密全部漏らしてやろうかと思っていたけど、ツンがすぎるだけでもはやデレっていうかオカンだよな…ツンおかん?新しいジャンルの爆誕???やっぱりまだ熱でもあるんじゃないかという思考になりつつも冬夜さんが持ってきてくれたお粥を食べてひとまず明日は大事をとって休むことにし、冬夜さんに頼んで台本の読み合わせをしてもらった。そして…そして…そして!ついに当日、文化祭改め、氷海祭当日になった。3日前に熱を出していたとは思えないしなんだったらいつも以上に体が軽く、るんるんとしながら机を拭いたり、椅子の配置を確認しなおしたりしていると教室のドアが勢いよく開けられそこに立っていたのは僕が持って来れなかったメイド服と執事服を入れておいたでっかいカバンを持っている冬夜さんとヘアアイロンやメイク道具などを持たされてきた佐藤さんと一眼レフだけを首から下げている桜子さんが当たり前のように僕のクラスにきた
「ヤッホー海斗様!しっかり荷物も持ってきたし接客の子って誰?」
「え、あ…はい。私と他に」
「よし!接客担当の人は私のところにきてちょうだい!服と髪。あとしっかりと仕草もセットしてあげるからさ!現役メイドの奈津子がね!!」
「いや…桜子もやってくれない…???なんだったら私巻き込まれ…」
「はい!そんなことはどうでもいい!ほら早く準備しないと文化祭始まっちゃうぞぉ」
桜子さんの圧倒的なリーダーシップにより僕を含めた、接客担当は着替えさせられ、清楚で品のあるメイクと髪型にセットしてもらった…さすが現役と使用人の家系のお姉様…手慣れすぎてるっ
「ほら、海斗さまも髪とメイクしていくよ!」
「いや、僕は演劇の方があるから」
「それだったらナチュラルメにするからさ!はい!前髪あげます!」
「ギヤァァァァ!!」
まるで雑魚モンスターがやられた時のような悲鳴をあげながらされるがままにメイクやら髪の毛をいじられ、できた上がったのか僕に手鏡を手渡してきた。
「どうかな?冬夜に聞いた感じ、劇で王子様やるらしいからその雰囲気を出しながらも執事っぽくしてみたんだけど」
鏡の中に映っている人物は僕であるはずだったが、髪型もいつものボッサボサ天パじゃなくてしっかりとまとまりもあるし、鉄壁の前髪も少し流し目に形が作られていて、しっかり整えればオタクやろうもこんな風になるとは…すげえ……
「よし、それじゃあ監督ちゃんに確認してもらってぇ!!雰囲気と違ったらやり直すから」
「わかりました〜」
言われた通りに忍切さんに身形が大丈夫か確認をしてもらうと忍切さんはやることをまとめたバインダーで顔を隠してしまった…やっぱり、顔面が終わりすぎているのか…
「あ…あの…忍切さん?ダメだったらまたやり直してもらうけど…忍切さん…?」
「だ、だだだだ大丈夫です…あ、北鳥さん。劇のことなのですが開演が15時からなので12時に上がってもらって大丈夫です。東堂さんの方にも伝えておいてください…それでは私は食材の確認があるので………」
忍切さんは伝言を伝える時もバインダーで顔を隠していて、本当に大丈夫なのかどうか心配なんだけど…やっぱり見るに耐えないひっどいつらだったかな!?病み上がりっていうのもあるし…いやでも隈はファンデーション?とかいうのでしっかり消されてるし……やっぱり顔面偏差値がマイナスに行ってるのか僕…
「海斗ぉ!俺もメイクとヘアセットおわ……すみません人違いでした」
「待て待て待て待て大牙!!僕だよ!海斗だよ」
「嘘だぁ!!だって海斗は鉄壁の前髪でそんなイケメンなわけがない。」
「イケメンかどうかは知らないけど……本当に僕だって」
「じゃあ、クイズだ!!俺は一回だけこの学期に入って買い弁をしたぁ!!その理由は!?」
「朝から米3合食べて、大牙のお母さんに怒られたから」
「せ、正解だとぉ…!?じゃあお前はっ!!」
「だ・か・ら!さっきから海斗だって言ってるでしょ!?」
「嘘だぁぁ!!え、お前。素顔超イケメンじゃん。なんでモテないのぉ…??」
「いや…モテないしイケメンじゃないから…それだったらさっき忍切さんにバインダーで壁作られないよ……」
「わかったあれだよぉ!海斗が思ったよりイケメンすぎて恥ずかしく…」
大牙が説を立てようとしたら、どこからともなく園芸用のスコップが僕と大牙の顔をギリギリ通り抜けていって壁に突き刺さることはなかったがとんできて、投げたと思われる忍切さんの表情は目が全然笑っておらず、僕と大牙はせっかくしてもらったメイクが崩れるぐらい泣きそうになった
「東堂さん…???まだ靴を履いていないようですけど準備はいいんですかぁ?」
「え?あ。急いで履いてきますぅ!!」
冗談だろと思ったが、本当に靴を履いておらず大牙は着替える際に脱いだ自分の靴を取りにいった…いや、本当にどこまでアホの子なんだあいつは…
「………さっきはバインダーで顔をごめんなさい。ただ、その…」
「そのぉ……???」
「かっこいい人だなと思っただけよ。別に変だと思ってないから安心して」
「かっこい…」
「それでは、私は失踪している六井先生を探しにいくので」
そう言い、忍切さんは教室を出ていったが、それと入れ替わりに人が入ってきた。靴を取りに行った大牙が戻ってきたのかと思ったらそのにいたのは持ってきてもらった執事服とは別の執事服を身に纏っている六井先生だった…いやなんで!?
「え、なんで六井先生。執事服きてるんですか?」
「う…北鳥に見られた……はぁ…俺の友達に文化祭の話したら渡された……『ブッフォwいいんじゃねw生徒と混じっておかえりなさいませしておいでよww』って超爆笑しながら渡された」
「ずいぶんノリと財布の紐が軽いご友人で…」
「着るか悩んでたら東堂が靴忘れた〜って更衣室の方にきて着させられた」
「だって、ゴソゴソしててほぼ下着泥棒みたいな挙動だったんですも〜ん」
「っていうか六井先生僕だって気づいたんですか!?」
「ん?あぁ、受験の時に出した証明写真は目が見えるように撮影しろって言われてたからな。それで覚えてたんだよ」
「そういえば、そうでしたね」
ひとまず、準備を急いで終わらせてもういつ文化祭が始まっても大丈夫っていう状況なったかと思いきや、演劇の方で最後のミーティングがあるそうなので本当はいやだが、文化準備室に大牙と執事服のまま向かった。
「お〜いつもはや………えっと…誰???」
「誰ってひどいですよ兄貴!!」
「大牙ぁ!?え、じゃあそっちの顔面偏差値カンストしてそうなのって…」
「日向先輩…僕ですけど…って、僕の方からもツッコミがあるんですけど…」
日向先輩はピンクのうさぎの着ぐるみを着ていて頭にはお花の冠、首付近には赤いでっかいリボンをしていた。練習で忙したかったのも体調崩したのもあって先輩のクラスで何をやるか全く聞いてなかったな
「ん?あぁ、この格好?俺のクラス、”ウサウサランド”っていうカフェなんだよ」
「ウサウサカフェ」
なんとなく冬夜さんが喜びそうだなと思いながらもどうしたらその案が出てくるんだと思いながらも2分もしないうちに劇全員が集まった。12時ごろに体育館の演者控え室に集まってメイクと着替えをしたら、読み合わせと立ち位置の最終確認だけして本番だそうだ…最終リハーサルは体調不良で休んじゃっちゃけど…その前の合わせから練習もしてきてるし…あとはセリフと動きを忘れないだけっ!!!!まだ氷海祭の開催時刻にもなっていないのに緊張してきたぁぁぁぁ!!!
「それじゃあ、ミーティングはここら辺で…自分のクラスの準備もしながら劇の方もしっかりやりましたぁ!!今日は楽しんで!練習でやったことをしっかりとやり切るぞぉ!!」
「「おー!!」」
[ただいまより、私立氷海高等学校。氷海祭を始めます]
「ほら!始まったよ!早く自分のクラスに戻ってぇ!!12時だよ12時!!」
それぞれが早足で自分のクラスに戻り、僕も接客担当として配置に着くと早速お客さんがきてくれ……たがそれは、僕の父と母と冬夜さんだった。いや、冬夜さん準備の手伝いしてもらって終わったから合流して一番にきたのぉ!?
「お……おかえりなさいませ…お嬢様方………」
「うふふ、お嬢様ですってよたっちゃん」
「ふっ。面白いものだな」
面白くねえよ!!何が楽しくて自分の母親のことをお嬢様呼びしないといけないんだよ!?今、せっかく決意したけど失踪しようかな。
「似合ってますよ。海斗様」
「(声にならない感激の叫び)」
もう父と母のことはいいや、やっぱり冬夜さん僕の推しの中で一番だぁ…心に染みりすぎて逆に痛いぐらい感激ですっ!!
「席に案内いたしますのでお手を」
とりあえず、僕の中での嵐は過ぎ去ったから…とりあえずね…あとはお客さんを円滑に回せ……と思っていたのは最初の10分間だけであった…冬夜さんたちが来てすぐ後ろに行列ができて、もう時計なんか見ている暇もないぐらいオーダーを聞いて、注文の品を運んで…入学式の時のまんまの体力だったら確実に10分に一回休憩もらうぐらい僕たちのクラスは混んでいた…なんでそうなったかというとまず衣装から仕草まで本格的だということを最初の10組を捌いた後に広まったらしくそれで気になったお客さんが僕たちのクラスにきたっていうのが原因の一つで、もう一つは………
「キャー!座ってるだけで絵になるぅ!!!」
友人から執事服を押し付けられたという店長の六井先生のビジュアルが爆発し、急遽1000円以上ご注文の方のみ六井先生と写真を撮ることができるフォトイベントが現場監督の案としてそこまで流石にお金は出さないだろうという浅はかな考えによりより混雑する原因を招いてしまい、現在僕たちのクラスは1時間待ちの超人気の出店になっていた…嬉しいんだけど…お客さんの量が多いぃ!!!!
「って…今何時だ…?」
お客さんを1秒の休みもなく捌いているともう12時10分になっており、急いで大牙と一緒に監督に誤って劇の方に向かっていったが。廊下が僕たちのクラスの待ち人で超混雑していたのと元々の人の多さで普段だったら10分もかからずにいけるはずの体育館に20分以上かかってしまった…これは、日向先輩激怒ルート待ったなしだよ…
「すみません!遅れました!!」
「遅いよぉ!二人とも、早く着替えて!!」
僕たちの店の反響が凄すぎることを知っていてくれたのか、怒られることはなくなんだったらメイク直しとかいろいろ手伝ってもらった…本当に申し訳ない……
「これで全員揃ったぁ!?」
「えっと、1,2,3,4…16…全員いまーすぅ!!」
「よし、それじゃあ15時から軽音部の演奏が始まるから1時間もないけど立ち位置だけ確認して、あとは待機だよ」
「「了解」」
全員軽くセリフを流しながら、立ち位置と照明の調整を行っているうちに1時間というものはあっという間に過ぎ去り軽音部の楽器の搬入の時間になったので邪魔にならないところで待機をすることになった……どうしよう…ドキドキしかない。緊張しかしていない…大丈夫。大丈夫。大丈夫!
「海斗ぉ!やってやろうな」
「うん、スタンディングオペーションされるぐらい頑張ろうね!」
「スタンディング……オペーション……???」
「はぁ…」
大牙のアホさ加減にちょっと緊張がほぐれ、体育館での催し物が始まる時間になり、スタートは軽音部が体育館に来た人たちを熱狂させ、ものすごい盛り上がりのまま次にバトンが繋げられた…すごい、ギュウギュウになっているお客さんたちを全員盛り上げられるなんて…全ての出し物に感動しているともう自分たちの出番になっており幕が一旦下ろされ、急いで自分たちの立ち位置についた…幕が上がったら本当に始まっちゃうんだ…あぁ…落ち着け…落ち着けぇ!!
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[次は、1・2年生合同の演劇白雪姫です]
むかしむかし、あるところに、白雪姫というお姫様がいました。
「あぁ〜、お城のお掃除も大変だわぁ」
毎日ボロボロの服を着て、お城中をお掃除している白雪姫。
そんな彼女にも好きな人が現れました。
「う、美しき姫よ。どうか我の元に来てくださいませんか」
それは隣の国の王子様。王子様は、白雪姫に一目惚れをし、また白雪姫も王子に一目惚れしました。
ですが、白雪姫はボロボロの服を着ている姿を見てほしくなく、王子様が現れるたびにお城の中に隠れてしまいました。
「美しき姫君。どうか私にお姿を見せてください」
「ごめんなさい。それはできないわ…」
惹かれ合うが手を取ることができない白雪姫、そんな白雪姫のことをよく思っていない人物がいました。それは継母です。いつも白雪姫に嫉妬し、毎日毎日闇の鏡にこう聞いていました
「鏡よ。鏡。この世で一番人形のように美しいのは誰だ」
「それは、髪は金色に輝き、肌は白くまるでお人形さんような美しさを持つ白雪姫です」
「なんですって!?許せない…許せない許せない許せない!!」
どんなに美しくなろうとしても白雪姫がいてはこの世で一番にはなれません…
そこで継母は思いついてしまうのです。白雪姫を殺してしまえば、自分が1番になれると
そう思った継母は家来に白雪姫を殺すように命令しました
「あの小娘を殺してしまい!そしてこの箱に心臓を入れてくるのだ」
「し…しかし、白雪姫を殺すなど……」
「いいから殺してくるんだ!!さもなければ…ふふ、どうなるかはわかっているなぁ?」
「仰せのままに………」
家来は白雪姫を連れて、綺麗な花畑にやってき彼女を殺そうと決心しますが…彼女を前に短剣を握ると手が震え、彼女を殺すことはできませんでした…
「どうか私を許してください…あなたを殺すことなどできません…」
「一対どういうことなの…?」
「継母はあなたを殺そ…うとしています…だから早く早くどこか遠くへお逃げください」
家来は白雪姫を遠い森の中に逃がし、白雪姫は深い深い森の中に逃げていき体力がどんどんへ減っていき、次第に白雪姫は疲れ果てて座り込んでしまいました
「どうして…こんなことに…」
疲れ果て行くの当てない白雪姫の周りには動物たちが集まってきました
「どうしたぴょん?困ってるのか…ぴょん…?」
「実は行くあてがなくて…」
「それならこの先に小さな家があるっピィ!!だからそこにいけばいいっぴぃぃぃ!!」
「本当に…!?連れて行ってくださらない?」
「こっちだぴょん」
「ついてくるっぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
白雪姫は、動物たちについていきその先には小さなうちがありました。
白雪姫は少しの間だけ匿ってもらえないかと家のドアをノックするが、中から返事はなく家の中には誰もいなかった。少し中を見てみると中には洗っていないお皿や掃除されていない部屋の中を見て、白雪姫はいてもたってもいられず家の中に入り掃除を始めました。
お掃除が終わると白雪姫は眠くなってしまいました
「ふわぁ〜…………zzzzz」
白雪姫が眠ってしまった時、一方お城では継母は白雪姫が死んだことに喜びまた、闇の鏡に聞きました
「鏡よ。鏡。この世で一番人形のように美しいのは誰だ」
「それは、髪は金色に輝き、肌は白くまるでお人形さんような美しさを持ち、森の奥深くで生きている白雪姫です」
「何!?生きているだとっくそ…最初から私がいけば」
継母は白雪姫にりんご売りのおばあさんの格好をして近づき真っ赤なりんごに毒を染み込ませ毒林檎を白雪姫に食べさせることにしました。
「はっはっ!待っていろ白雪姫!!ハーハッハッハ!!!」
白雪姫を殺すために継母は白雪姫のいる森の奥の家に向かいました。
そして、場所は戻り白雪姫がぐっすりと眠っていると家主たちである七人の小人たちが家に帰ってきました。
「こりゃびっくりぃ!!」
「家がピカピカに……zzz…なってるよぉ……zzz」
「へっ!どうせ泥棒だろ」
「いや、もしかしたら妖精さんがやってくれたのかもしれないよぉ!!」
ピカピカになっている家を見て、もしかしたらと思い、小人たちは家中を調べ
白雪姫を発見しました。
「こりゃまたびっくりぃ!!」
「女の子だぁ!!」
「うぅ……むにゃ…はっ!!あなたたちは一体誰ですか?」
「僕たちは小人だよ!ここの家のじゅうに……はっはっハックショーン!!」
「あら、すみません…勝手に家に入ってしまって…」
白雪姫は、小人たちに謝罪をし、できることなら匿って欲しいことをお願いすると
小人たちは二つ返事で承諾し、白雪姫を家で匿うことにしました
「そ、そ、そそれじゃあ…お仕事行ってくるね…?」
「行ってきまぁぁぁぁぁっす!!」
小人たちは仕事に向かい、白雪姫に誰も家に入れてはいけないことを言って炭鉱にお仕事をしにいきました。
その時をずっと待っていた継母は、早速白雪姫に近づきりんごを差し出しました
「可愛らしいお嬢さん。真っ赤なりんごをひとついかがですかぁ…?」
「まぁ、なんと真っ赤なりんごなんでしょう」
白雪姫は、毒のりんごをカプリと一口食べてしまい、永遠の眠りについてしまいました。
「ハーハッハッハ!これで白雪姫はもう起きることはない!!」
継母は、笑いながら家を後にしようとすると、その一部始終を見ていた動物たちに襲われ
醜い状態で食い荒らされてしまいました……
そして、仕事から帰ってきた小人たちは、倒れている白雪姫を発見し、冷たくなっている白雪姫を小人たちは土埋めることができず、代わりにガラスで作った美しい棺に入れ、毎日毎日、白雪姫の元に来ていました。そんなある日、家来を連れ森を乗馬で散歩していた隣の国の王子様が眠っている白雪姫の元にやってきました
「あぁ…なんと美しい。よければ彼女をお城に連れて帰ってもいいかい?」
七人の小人たちは考えましたが、王子様に白雪姫を大切にしてもらった方が幸せだと思い、小人たちは王子様に白雪姫を託すことにしました
「ありがとう。君、この子を運んでくれるか」
「ハハッ!仰せのままに」
家来は白雪姫の入った棺を持ち上げようとしますが、足を滑らせてしまい棺をガタッと揺らしたその瞬間!白雪姫の喉に詰まっていたりんごのかけらが出てきて、白雪姫は再び目を覚ましたのです
「あら…?ここは」
「姫、どうか私とともにお城にきてくれませんか?」
「ええぇ!喜んで」
白雪姫は王子様と一緒にお城に向かい…
「「おーい!白雪姫と王子のキスはねーのかよ!!」」
!?
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劇は予定通りに進んでいたはず…このあとは、一緒にお城に向かってめでたしめでたしの話で終わるのにキスだぁ!?舞台を見る時は静かにお淑やかにって聞いたことないのかこの客はぁ!!おもしろシーンで笑う以外は静かに見ておくのが観客としてのマナーだろぉ!?声が出したいんだったら一番最初の軽音部の時に出してよ!!
「そうだよ。キスしろよ」
「キース。キース。キース」
体育館中の人が悪ノリに便乗し、僕の顔は鏡を見なくとも真っ青になっていただろう…それにみんな男女でキッスして沸きたいんだろうけど。白雪姫やってるの日向先輩だからね!?普段は猫かぶってるけど、素が超ヤンキーみたいな口調の人だからね!?
「ど……どうするんすか先輩………」
「仕方がねえ……海斗こっちむけ…」
「むむむむ、無理っ!!!」
日向さんに顔を動かされ、あ。このまま僕のファーストキスは奪われるんだろうなと思ったが、観客はしてもいないキスに軽音部以上の盛り上がりを見せていた
「誰がてめえとするかよ…それっぽく見せただけだ…」
「先輩……今日から僕も先輩のこと、兄貴って呼びます……」
急いで裏方に幕を下ろさせて、まさかのハプニングに見舞われながらも僕たちの劇は終わった……とりあえず一番初めにキスしろって言ったやつ。一生許さねえからなぁ!!
「海斗おおおおおおお!!!大丈夫!?兄貴にチューされてない!?」
幕が完全に降り、まだ次の人たちがいるので急いで裏に履けると大型犬が何を心配しているんだという状況で待っていた
「してねえっつーの。つか誰がするか」
「よかったぁ!!絶対海斗、ファーストだと思ったから一生のトラウマになるかと思ってさぁ!
「誰のキスでトラウマになるってあぁ!?」
「ひぃ!許してくださいっすぅ!!!」
日向の兄貴にポコポコに大牙がされているのを特に気にすることもなく、まだ行列ができているであろう自分のクラスに大牙を連れて戻っていった。どうやら来週の火曜日の放課後にお疲れ様会をするから体調管理をしっかりしろよとだけ言われて僕たちは自分のクラスに戻った
「「ただいま!!」」
「お帰りなさい!すぐで悪いんだけどまだ、全然お客さんが切れなくて!!」
「「了解監督!!」」
すぐにオーダーを取りに、二人とも動き始め、正直言ってしまえば劇もやってきて休ませてほしいと言いたいが、クラス全員がほとんどお客さんの対応に追われていて、多分誰も、他の学年とかクラスの出店回ってないんじゃないかっていうぐらい開始時間からずっと動いているため、僕は文句を言える立場ではなかった。
「すみませ〜ん。注文いいかしら?」
「ただいま、向かいます」
僕も早速注文を受け取りにきたが、他のクラスもメイド・執事喫茶をやっているのか……?
ロリータの服をきている女性とメイド服をきている女性…いや私服じゃなくて流石に生徒だよな。でもこんな同級生とか先輩って見たことあったっけ……
「あそこに座っている人と写真を撮るにはどうすればいいの?」
「1000円以上のお食事・ドリンクを注文されるとお会計時にチケットを渡しますのでその際にお写真を撮ることができます」
「なるほど…なら……全メニュ」
「周りを見てからメニュー決めてくださいよ。今混んでるんですよ?ね?ね!?」
「うっ、それじゃあ。オムライスとプリンを2つずつでドリンクはミルクティーでお願いするわ」
「私は、メロンソーダで」
「わかりました、少々お待ちくださいませ。お嬢様方」
取った注文を急いで厨房役に持っていき、手が空いているすきに食器を片して机を拭いて注文の品を届けて…オーダー聞いて…正直同じことの繰り返しの超ガーデンマニアよりしんどい…全身運動に役も作らないといけないから本当にきつかった………
[これにて、私立氷海高等学校。氷海祭を終了します。]
「みんなお疲れさ…まぁ!!!」
「「監督!お疲れ様でした!!」」
途中から会計係もキッチンに回されたりするぐらい超忙しかった…監督も途中から料理と席案内と会計と計算してたからお疲れ様っす…
「本当、みんなよくやったねぇ」
「いや…50%以上六井先生のせいのような気がするんですけど…」
「え?俺???」
「確かに売り上げは右肩登りどころか右に一気に伸びて崖みたいになっていますが…写真がいちばん混雑の原因でした」
「えぇ…だってそんなこと言われたって俺あそこで座ってただけで撮影会されたし…」
「そういえば、六井先生。校内の見回りとかなかったんですか?」
「校内の見回り?そんなの………あ。」
これは完全に忘れていたんだなと思ったタイミングで校内放送が流れた…
[1-A担任。六井先生。至急生徒指導室にお越しください。校長先生・教頭先生・学年主任の先生がお待ちです]
「そ…それじゃあ…火曜日から担任が俺じゃなくなるかもしれないけどある程度片付けしたら各自帰っていいから。みんなお疲れ〜」
六井先生は慌てた様子で、生徒指導室の方に走っていきこの後雷が3発以上落ちるんだろうなと思いながらも、全員で片付けを始め帰った…六井先生…南無阿弥陀仏です…
「はぁぁぁぁ…疲れたぁ…」
帰るなり、劇が良かった執事姿がかっこいい色々言われたがもう正直疲れすぎてほとんど覚えてない…
「お疲れ様です。海斗様」
「冬夜さんもありがとうね…」
「いえ、姉に連れて行かれただけですので」
「確かにそうかも、でもそありがとう」
「いえいえ。今日はもうこのまま寝ますか?」
「うん…流石に疲れた…」
「承知しました。おやすみなさいませ海斗様」
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〜こちら、巣窟場 鯖 雑談チャンネル〜
【ぺんぺん さんがオンラインになりました】
【一獣の王 さんがオンラインになりました】
ぺんぺん「ちわ〜」
一獣の王「ぺんちゃん。ちわ〜」
ぺんぺん「あれ?二人だけ???」
一獣の王「そうだね。他のみんなはオンラインだわ」
ぺんぺん「いや…昨日疲れて死ぬかと思った」
一獣の王「俺も昨日、いつもの3倍以上動いて今布団の上から動けてない」
ぺんぺん「それな?朝の6時に起こされたけど筋肉痛が酷すぎて動けてない」
一獣の王「多分、明日も動ける気がしない」
ぺんぺん「筋肉痛、4〜5月ぐらいにめっちゃなったんだけどそれ以上にひどい。もうね捥げる」
一獣の王「あ、ちょっと待って!足攣った!足攣った!ァァァァアアアアアああ!!!」
ぺんぺん「オー!!!!!!!!大丈夫かぁ!?!?!?!?!」
ぺんぺん「………返事がない…死因:足を攣ったことによるショック死」
一獣の王「いやぁ!生きてるからぁ!!!あ、ちょっ、両足行ったァァァァ!!!」
ぺんぺん「オーの両足…南無阿弥陀………」
【マッシュ さんがオンラインになりました】
マッシュ「ち〜っす」
マッシュ「なんか、超面白いこと起きてるしwww」
ぺんぺん「マッシュ!!!」
マッシュ「おーちゃ。両足攣ってんのw?」
一獣の王「攣ってる攣ってる。バラバラになる」
マッシュ「なーんだ」
ぺんぺん「ん?どうかした???」
マッシュ「いや、俺も現在進行形で両足攣ってるから同志だなあァァァァァ!!!」
ぺんぺん「っ「湿布」」
一獣の王「湿布貼ってるのに攣りまくってるんだよね」
マッシュ「本当それな。安静にしても筋肉が死んでる」
【さくらんぼ さんがオンラインになりました】
【ゴーストレイン さんがオンラインになりました】
ゴーストレイン「ヤッホ〜
さくらんぼ「ここにも同志が…」
ぺんぺん「汝、筋肉痛か」
さくらんぼ「我は知恵熱で現在寝込んでいる()」
マッシュ「なんで今日全員、ボロボロなの」
ゴーストレイン「ボロボロデーだから?」
さくらんぼ「そんな、記念日あってたまるか」
一獣の王「あと白ちゃんがいれば、久しぶりに全員集合???」
ぺんぺん「僕の記憶違いじゃなければ今年に入って初めてのような気がするけど
マッシュ「まじで?」
【しろくま さんがオンラインになりました】
ゴーストレイン「噂をすればなんとやらぁぁぁぁああああああ!!!」
ぺんぺん「しろくまだぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」
しろくま「なんか呼ばれたような気がしたから」
マッシュ「え?まじで?なんかそういうセンサーついてるの???」
しろくま「いや、今ちょうど休憩時間でなんとなく開いたら待たれてた」
ゴーストレイン「待ってたぜ☆しろくま」
ぺんぺん「お前の席とアイス。温めて待ってたぜ」
しろくま「頼むからアイスだけは冷凍庫に入れておいてくれない。ドロドロだから」
ゴーストレイン「今ならレンジでチンされたアイスもついてくるぞ!」
マッシュ「マーナンテ魅力的ナノー(棒)」
しろくま「もうちょっといい人いなかったのかよ」
一獣の王「って!しろくまがいるから久しぶりに全員集合じゃね!?」
ゴーストレイン「はっ!?ついいつもの茶番を入れたせいで一瞬で記憶から吹き飛んでたんだぜ!?」
さくらんぼ「こいつ…頭がダチョウと同じレベルだと…!?」
ゴーストレイン「自分の家族把握できてるし、いきなり新しい家族増えてたりしないわ」
マッシュ「え?まじで、意外と増えてるかもしれないぜ???」
ゴーストレイン「いや、増えない。分裂とかしないと私増えないから」
しろくま「自分が増えるのかよw」
ぺんぺん「あ、そういえばさ」
しろくま「ん?」
一獣の王「???」
さくらんぼ「何〜??」
ゴーストレイン「ん?」
マッシュ「どうした?」
ぺんぺん「ずっと思ってたことがあってさ……」
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