第2話 下手なホラゲーより夜の学校の方が何倍も怖い

高校生にこの間なったばっかりのはずなのにもう1ヶ月が経過し5月中旬ごろになった。時というものは年を重ねるごとに早く感じるとかなんとかいうが、こんなにも早かったものだろうか、大牙とも入学式であった時よりも仲良くなって毎日のようにシャケおにぎり作って僕と一緒に昼ごはん食べてるし、本格的に授業が始まったあたりで僕は通学中に肉離れ起こしてしばらくの間送り迎えになったりしたけれども…まぁなんやかんやで高校生活はどうにかやっていけている

「海斗ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!おはよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「おはよ、大牙相変わらずテンションもスキンシップもすごいね……」

完全授業になった時に席替えをしたけど、変わらず僕が後ろで大河が前っていう席順は変わっていないけれども、授業中に寝落ちても大丈夫な場所から教室に入ってすぐの席になったから変わったちゃ変わったのかもしれないけれども…

「あ、そういえばねぇ。今日はシャケじゃなくてツナマヨなんだぁ〜」

「あれ?珍しいね」

「今日もシャケおにぎり作ろぞぉ!って思って冷蔵庫見たらそういえば昨日1人で一瓶食ったの忘れてて…それで仕方がないから缶詰の箱にしまってあったツナ缶使っておにぎり作ったんだよ」

「お前…やっぱりアホだろ。やっぱりっていうかアホだろ」

「アホじゃないし!その証拠に学力テストで全教科ぜ〜んぶ、全国5位以内に入ったしぃぃ!!だからアホじゃないぃ!!天然なのだぁ!!!」

大牙は学力テスト全教科全国5位の成績優秀、バスケ部ですぐにレギュラー入りする運動神経抜群、入学式の翌日からモテまくっている容姿端麗のマジで欠点がまじでない神に色々授けられている漫画とかラノベとかだったら確実に主人公になっているぐらい欠点がない…いや相当なアホの子であるということが…いや、逆にそれがいい感じの味になるから結局と言って主人公のようなやつなんだよな…僕はまぁ…モブのようなやつなんだけども…

「お〜い、いつもの夢の世界に行ってるぞぉ〜俺が折角迷言チックなこと行ったっていうのにヨォ」

「ふぇえ?あぁ、うん。ごめん完全に右から左に聞き流してたせいで何にも聞こえてなかったわ。もう一回言って」

「大切なことは一回しか言いませんん!!!残念でしたぁ〜」

ポケポケしているともう朝礼の5分前になっており、六井先生が教室に入ってくるなり、僕たちの方を見た。

「お前ら、今日もおにぎりか?」

「あ!六井先生、ツナマヨ食べます?気がついたら缶10個分使っててぇ〜」

「え…大牙今日何個おにぎり作ってきたの…」

「え?えっと、15個ぐらい???」

「絶対にもっとあるだろ!?」

いつも作ってきたおにぎりが入っている唐草柄の風呂敷を見ると、確かに個数は15個だったが、一個一個のおにぎりが爆弾おにぎりレベルの大きさで作られていて、このツナマヨおにぎりでお昼…いや今日の分のご飯は済みそうなぐらいデカかった…

「もはや恐怖超えて絶句なんだけど…」

「喋れてるから絶句ではないだろぉ!!あ、六井先生も入りますか?」

「うーん……本当はもらったらいけないが…まぁいいか。一つもらっていくぜ」

そういうと、六井先生は一番でかいツナマヨおにぎりを白衣のポケットにしまい気だるそうに朝礼の準備を初め、黒板に大きすぎるぐらいに”オリエンテーション”と書かれクラスはいつもよりもざわついたが、六井先生は気にすることもなく早速もらったツナマヨおにぎりを食べていた

「俺が食べようと思った作ってきた特大ツナマヨぉ…」

「まぁまぁ…二つ混ぜれば同じぐらいに…」

「いや…あの特大ツナマヨだけにねぇ?」

しょぼくれた顔をしながら中身を大牙が言おうとした瞬間、六井先生は思いっきり咽せて咳き込みながら僕らの方を教師とは思えない殺気で溢れているぐらいきつい目で睨んできた

「東堂…お前…中に何入れやがった……馬鹿見てぇに辛いんだけどぉ…!?!?」

「え?最近話題になっている超激辛ソースですよぉ!僕が好きなさっちゃんねるっていう配信者が罰ゲームでやってたので試してみたくって!」

「だからと言ってツナよりソースの方が割合多いの馬鹿だろがっ!!あ、辛っ!!!」

馬鹿馬鹿と文句を言いながらも次の一口を食べやっぱり辛いと文句を言う…辛いんだったら食べなければいいのにと思ってしまうのだが…

「あぁ、でも先生。それ一個しか作ってきてないんで今度お返し作ってきてくださいねー」

「実験台にしてやる…」

「え?先生なんか言いましたかぁ?」

「わかったよ!今度他の教師に内緒で持ってくるよ!」

激辛ツナマヨおにぎり事件が閉廷すると同時に学校のチャイムがなり、いつも以上に気の入っていない顔で朝礼が始まった

「はーい…と言うわけで今日は黒板にも書いてあるよにオリエンテーションについて1・2限目に決めることがある事前にクラス委員は聞かされているはずだからそれに沿って進行をすること。連絡としては以上だ何か連絡・質問のあるやつはいるか?」

「はい」

「はい、忍切」

「オリエンテーションの割り振りで他クラスと決める肝試しはどうするのですか?」

「それは、2限の前半に体育館に移動して行われるそうだ。だから休み時間のうちに移動だ」

「了解しました。私からは以上です」

「他は質問とかあるやついるか〜?いないな。じゃあ朝礼終了。北鳥だけ後で教卓前に来い」

「え?」

「「ありがとうございました」」

ゆっるいいつも通り朝礼が終わり僕何か悪いことでもしたかとビクビクしながら教卓の前に行くと、肝試し…と言うよりオリエンテーション全体に冬夜さんも参加することになったことを僕に話した…え?ちょっと待てや。オリエンテーションって学校に一泊してクラスの人や同級生同士で交流を深めようって言うやつだよね?確かに冬夜さんは高校生だけど3年だし、なんだったら通ってる学校も違うからそんなアホなことでき…いや…できるかもしれない…僕の両親だったら…家に帰ったらとりあえずどう言うこと何か聞くとして…冬夜さんとオリエンテーションか…なんか楽しみだな

「連絡は以上だ戻っていいぞ」

「はーい」

僕に連絡を伝え終わるとさっきの激辛ツナマヨおにぎりを食べ始めまた絶叫していた…が、僕は特に気にすることなく席に戻り、オリエンテーションの内容にドキドキとワクワクを隠しきれていない大牙は僕の席に倒れてきそうな勢いで振り向き、小さな子供のようにウキウキワクワクしていた

「オリエンテーションって確か一泊するんだよなぁ!?しかも学校で!!」

「確か、体育館で寝るんだっけ?」

「いや、なんかそれで去年なんか問題が起きてオリエンテーション用の宿作ったらしいよ」

「へぇ、馬鹿じゃねえの。何が起きたら問題を起こせるんだよ」

オリエンテーションの時にしか使わない宿作ったところで維持費に方が馬鹿にならないとしか思えないのは俺だけ???あ、でも災害時には使えそうな感じはするけれども…体育館でどうにかなりそうっていう感じがするしなぁ…教員の終電を逃した時の寝床としてつ変わる方が多くなるような気が…

「でも!結構部屋の数あるらしいから一緒になれたらいいなぁ!」

「そうだね…」

僕と一緒になったらもれなく冬夜さんも同じ部屋なんだろうな…僕は別にお坊ちゃんって言われるのどうだっていいんだけど…冬夜さんのことだけ心配だな。過剰保護はないだろうけど、馴染めるかがどうか心配…って僕は何親みたいなことを言ってるんだ。僕は冬夜さんより年下だぞ?別に心配するようなことは…ないはず…オリエンテーションに心配しかないなかチャイムはなり、1限が始まり挨拶をすると六井先生はすぐにクラス委員の忍切さんにバトンタッチし、彼女は黒板に決めるべきことを鬼のような速度で書いていった

「というわけで、オリエンテーションで決めることは泊まる際の班分け・レクの際の種目分けの以上二つです。まず、レクの種目から決めていきましょう」

黒板に2つの選択肢が書かれた、一つ目は徒競走…まぁオーソドックスなものだろう。だがしかしなんだその二つ目の種目は!?パン食い祭りってどういうことだよ!?二つ目の意味のわからなさに周りをキョロキョロするが、周りは僕のようにキョロキョロと焦っている様子でもなくそれが当たり前の競技であるようにしており、『どっちの競技にしようかな〜ぐっふふ〜』といった様子しか見せなかった…これは僕の常識がずれているのか…???

「海斗はどっちにする?徒競走かパン食い祭りかぁ!あ、でも体力ないからパン一択か?」

「入学式の時よりはついたよ…まぁでも、パン食い一択かな…なんの競技が全然わかんねえけど」

「はぁ!?お前何言ってんだよぉ。パン食い祭りはお皿が景品でもらえるんだよぉ!!」

「それはなんか別の祭りと混じってるんじゃないかな…その祭りシール集めも兼ねてない???」

「まじなんだって!!学校のホームページにも書いてあるぜぇ?ほら」

大牙は授業中でありながらも、堂々と携帯と取り出し、学校のホームページの画面を見せ、伝統行事というページを開き見せてくると、そこにはパン食い祭りについての詳細が書いており、本当に優勝者には学校オリジナルのお皿がもらえる学校が開校した時から続いている伝統行事だということがしっかりと書かれていた…なんてものを伝統行事としているんだよ…意味がますますわからねえ…

「東堂。携帯はしまえ、没収するぞ」

「しまいまーすぅ」

と言いつつ、当の本人は普通に携帯をいじっているしまつ…一体どういうことだよ…説得力が全くって言っていいぐらいにないよ!というか皆無のような気も…

「北鳥。集中して話きけー」

「は…はい」

そして当然のように僕の心を読んでいく…なぜバレている…もしかして僕声に出てる?いやでも、それだったら大牙が「うるせぇ〜よw」とか言って突っ込んでくるよなぁ…だから漏れてるはずもないし、前髪で目も隠れてるから、僕の表情なんてほぼわからないはずなのに…どうして六井先生は僕の心の声が読めるんだ…???

「それでは、第一志望から決めていきます。まず徒競走に出場する人」

ちらほらと手を挙げる人がヒョロヒョロっと手を上げ、僕の前の大牙は立ち上がる勢いで手を上げ、またズッコケそうになっていた。まだリハーサルですらないんだからとりあえず落ち着けよ。

「徒競走は15人と…では次、パン食い祭りに参加する人」

僕は手が上がっているのか上がっていないかのギリギリのラインで手を上げ、自分が数えた人数ととりあえずは同じ人数だから、僕はカウントされたらしい…よかった…ってなるぐらいだったら普通に手を上げろっていう話だけど、僕にそんな大牙のような行為はできない…

「パン食い祭りは12人と…」

「忍切。指定された人数になってるのか?」

「はい、徒競走の方が少し人数が多いですが…誤差なので大丈夫です」

「よーし、じゃあ次」

「次は、部屋割りですね。男女分かれて各部屋五〜六人組で班を作ってください。班が決まったら前の黒板に班員の名前を代表者が書きに来てください」

「あ、そうだ。北鳥だけ諸事情で二人換算にしてくれ」

「先生。なんでですか?」

「うーんさぁ?家の事情っていうやつで片すぞ。だから気にするな」

あぁ、今日の朝礼の後に六井先生が言ってたやつか、よくよく考えたら頭のおかしいことだし気にするなと言われても気にしかならないけど…まぁ、いいか。そうなると僕は僕、冬夜さんの他に3人もしくは4人探せばいいんだよな…いや、無理。「へい!俺を入れてくれなんだぜ!」ってできない。ネットじゃないと「ヘイヘイヘイヘイ!!フオオオオオオオ!!」とかできないし!こうなったら大牙には悪いがコバンザメのようにくっついて班員を集めるしか………

「海斗!同じ班になろうぜ!あと、2人事前に声かけてたからそれで5人だなぁ!」

「え、もう声かけてたの?」

「うん。海斗が先生に呼ばれた時にマッハのスピードで勧誘しておいたぁ!」

「コミュ力お化けすぎるだろ…」

まさかまさかのコバンザメをする前に、人が集まってしまうとは…大牙怖い子。

「それじゃあ、黒板に名前書いてくるんだぜぇ!!」

他の人たちがまだ班決めをしている中、僕たちの班はすぐに名前を書いて互いに自己紹介でもしておこうとしたら、隣のクラスから絶叫…いや、獰猛な動物が威嚇するような声が聞こえた…一体どういうことだ。ここは動物園だったか?いや…確かにそれぐらいうるさいかもしれないけど、リアル動物園っていう訳ではない、ということは、この威嚇するような声は……おそらくというか確実に生徒の奇声…隣のクラスの声の主にクラス全体がビビっていると、忍切さんは呆れたような顔をしていた

「六井先生…少し教室を出ても大丈夫でしょうか…」

「いいぞ。遠くにはいくなよ」

「大丈夫です…隣のクラスにちょっと行くだけなので…他の皆さんは班を決めておいてください」

「あ、桜乃ちゃん。わたしたちの班でも大丈夫?」

「えぇ、構いませんよ。では、私は鎮静をしてくるので…」

忍切さんは、どこからともなく園芸用のスコップを取り出し手に持ち、こんな表現はあれだが、鬼のような形相で教室で出ていき、隣のクラスから確実に何かあったであろう悲鳴が聞こえた…そして僕らの階層全体が静まり返った中、忍切さんはなんてこともなかったように教室に戻ってきた

「失礼しました。では、さっきの続きを」

「「いやできるかぁ!?!?!?!?」」

「何がです?」

どう考えても、忍切さんが何かしてきたとしかクラスメイト全員が思えず、0.1秒のズレもなく、全員揃って的確なツッコミをしていた。多分このクラスは何かあった時にズレもなく全員でズッコケることができるクラスだと僕は確信した。何を確信しているんだという話になりそうだが、クラス全員の思考は完全に、「どこからともなく持ち出された園芸用のスコップで威嚇するような声を出していた主をボコボコにしてきた」というものに支配され、オリエンテーションの言葉や内容は銀河のはるか彼方へ吹き飛んでしまった

「あぁ、さっきのあれですか。殴ってませんよ。ただ少し、スコップを投げたぐらいです」

全く顔色を変えることなく、まるでそれが当たり前のように淡々と話す彼女にクラスメイト全員がついていけずにいたが、六井先生もそれが当たり前のように続けるように言ってきた「えっと…どうしようか、自己紹介まだ終わってないけど…」

「どう考えたって全員頭止まってるぜぇ?思考停止してるぜぇ?続ける方が無理だろぉ」

「だよねぇ…」

変な空気感のまま、なんとか班決め終わり次の時間の説明に入ろうとするとチャイムがなってしまった。いや、逆によかったのかもしれない…早くこんな空気感とはおさらばしてとっとオリエンテーションの話を進めていってもらいたい…

「おーし、チャイムなったから終わるぞ。次の時間はB組と合同で体育館でグループ分けだ。5分前には廊下に並んで準備しておくように、以上。ありがとうございました。」

「「ありがとうございました」」

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〜こちら、巣窟場 鯖 鍵チャンネル〜

【さくらんぼ さんがオンラインになりました】

【ゴーストレインさんがオンラインになりました】

さくらんぼ「………どうぞ、言い訳タイムを移動の時間になるまで差し上げましょう」

ゴーストレイン「いや…だって…」

さくらんぼ「だってじゃねえ!!!!授業中じゃ!C・Dが先に肝試し決めてたからよかったけど、私のクラスの方に思いっきり聞こえてきたからなぁ!?」

ゴーストレイン「はい、本当に申し訳ないです…でもスコップ投げるのはやりすぎだからなぁ!?」

さくらんぼ「はてなんのことやらパンナコッタコンナコッタ」

ゴーストレイン「ぶっ飛ばす」

さくらんぼ「ぶっ飛ばされたのはどっちだよ…」

ゴーストレイン「あ、あれ?肝試しってA・Bでグループ作るんだっけ?」

さくらんぼ「そうだけど」

ゴーストレイン「じゃあさ!!!!!!!!!!!」

さくらんぼ「あーねぇ。深夜の森なんて陽子にとっては失神対象だもんね」

ゴーストレイン「なんでそんなこと言うのかな桜乃よ()」

さくらんぼ「そんなこと言うやつだからだよ。あ、帰りに寄りたい場所あるから一緒に帰れないわ」

ゴーストレイン「どうせ、園芸用品専門店でさっきぶん投げて回収できてないスコップの予備を買っておきたいとかでしょ」

さくらんぼ「なぜわかった!?」

ゴーストレイン「何年一緒にいると思ってんの!?」

さくらんぼ「えっと、数えたくないほど一緒に」

ゴーストレイン「でしょ!?だからわかるっつーの!!」

さくらんぼ「なるほどねぇ、まぁとりあえずそういうことにしておくわ。この後移動だから他の人に迷惑かけるなよ?」

ゴーストレイン「わかってるって!!そんな幼稚園生じゃないんだからさ!!」

さくらんぼ「どう考えても幼稚園生の方が頭いいと思うけど」

ゴーストレイン「うそん!!!!」

【さくらんぼ さんがオフラインになりました】

【ゴーストレイン さんがオフラインになりました】

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「忍切、そろそろ時間だから全員並ばせて体育館に連れて行って。俺は別の準備があるから頼んだぞ」

「あ、はい。わかりました。それでは皆さん廊下に並んでください」

忍切さんの声が掛かると全員廊下に並び、中にはグデグデしている人もいたがまぁ、忍切さんは気にすることもなくそのまま体育館の方に向かっていった。そして僕は、あの入学式以来階段を通る移動教室がある場合いつも一番最後に並ばさせられ、後ろからゆっくりと階段を降りている…そして毎回帰りの登りでバテて休憩時間は階段を登る修行になり休憩からかけ離れている時間に潰され次の時間の授業前に最近ようやくなんとかつけるようになったぐらい…本当に、僕はこの長ったらしい階段と1年間ついていけるのだろうか…と心配になりながら後ろを着いていき、もうガックガクの足を動かして体育館に向かった。

「A・Bのクラス委員の人は人数を数えたら私のところに人数と欠席者の報告をお願いします」

忍切さんとB組のクラス委員の人は前から人数を数えて、B組の担任の先生に報告をしにいき、ようやく本題でも始まるのかと思えば、六井先生の用意がまだできていないので、少しだけ待っているようにと言われたのと同時にゼハゼハとまるで入学式の時の僕のように瀕死の状態で六井先生はホワイトボードを体育館に持ってきた

「む…無理…最近運動してねーし…あいつらみたいに体力バカじゃねえんだから…」

「はーい。みんな、六井先生を応援してね〜」

「応援…しなくていいわ!!ゲホッゴホッ……」

まるで映画館の子供向け映画の応援上映のようにA・Bの生徒は「がんばえー!」「がんばえ!六井せんせー!」などとノっていた…なんだったら僕もノっていたし、大牙はA・Bの中で一番でかい声量で「がんばえー!」ってしていた…若干周りの人たちの鼓膜がお亡くなりになったような気がするが、僕は耳鼻科医でもなんでもないのでとりあえず無視をした。

「映画館かここは…はぁ…とりあえず話を始めようか…つか、なんで持ち帰るかなぁ…」

「まぁまぁ、六井先生。始めましょう」

「うい〜っす」

そこからはとんとん拍子で話が進んでいき、肝試しの班決めをすることになった。各クラスごちゃ混ぜになることが確定であり、同じクラスの人四人でグループを組むのはNGというルールらしい…いや、あの僕。同じクラスの人っていうか同じ屋根の下に住んでる人と確定で組まされている…まぁ、もういいか。それにしてもどうしようか…大牙と組んでもいいけど…大牙は謎の光属性でそういうの苦手な人たちがわんさか組んでくれ!って頼みに行きそうだしな…僕は別に虫さえどうにかなれば後は時に怖くはないし…どうしようかなぁ…

「北鳥さん。」

「ふぇっ!!あ、はい!!」

ぼけぼけと誰と組もうか悩んでいると忍切さんがぼっちになっている僕に話しかけてくれた。

「よかったら、私たちと同じ班になりませんか?なんの事情かはわかりませんがそれで周りと組みづらいのかと思って」

「あぁ、いや別にそういうわけではないんだけど…」

完全に僕が二次元の世界にいたとしたら作画崩壊を起こしているぐらいの挙動不審になり、脳内フィルターでは完全にドロドロの状態になっている様子が映し出されているぐらい気持ち悪い状況になっている僕に、目をキラキラとさせながら、忍切さんの後ろからストーカーのように出てきた女の子は、入学式の日に放課後、いきなり僕たちのクラスに凸ってきてギャン泣きしていたあの嵐のような子だった

「溢れ出るオカルト好き感!滲みまくっている影感!よかったらうちのオカルト部に!!」

「陽子…今はオリエンテーションの時間、勧誘だったら昼休みにでもして」

「だって、昼は桜乃とお昼食べてその後七不思議の調査しないといけないし!」

「だったらやめて」

「はーい」

完全に身内ネタに置いて行かれて、身も心もぼっちになったような気がして、この影の薄さだったらここから消えることができるんじゃないかと思うぐらい、流されて行った僕にようやく気づき、話が勧められて行った…というか、さっきの時間に発狂に近い絶叫をしてたのってこの子………いや、そんなわけないよね!うん、そうだよね!

「あ、私の友達もいるんだけど北鳥さんは大丈夫?」

「あ…うん、大丈夫。僕も身内がくるから」

「身内!?それってどういうこっちゃ!!」

「陽子…初対面なんだから少しでもいいからまともな口調で…」

「どういうこっちゃ、こんなこっちゃ、どえらいこっちゃ!!」

陽子と呼ばれる子はおちゃらけた感じで、オレンジ色の髪に二つのお団子結び。制服はそのまま来ているが、赤いポンチョを来ており、意味のわからない行動を取っている時にフワッとポンチョが広がった際に、中がうっすらと見え、中には何語かわからないお札が大量に終われていた…もしかして…この意味のわからない言動…行動…彼女自身が何か封印するためにそんなに大量にお札を貼っているのか…いや、そんなわけないか…と0.2秒ぐらいで脳内完結をするのと同じスピードで忍切さんのグーが陽子さんの頭に思いっきり食い込んだ

「いい加減にしなさいよね!?そんなだったら別の人と…」

「嫌だああああ!!謝るから!!ごめんって!!ごめん!!」

「私にじゃなくてこの状況に困惑しかしてない北鳥さんに謝りなさいよ…」

「ほんとごめんね…」

「ぼ、僕は大丈夫だよ」

とりあえず、なんとなくここで大丈夫と言っていないと陽子さんの首が吹き飛ぶ勢いのツッコミ…が入りそうだからとりあえずここは穏便に話を進めよう…

「じゃあ!あと一人探せばあたしたちの班はおけおけおっけー!?」

「私たちの班は3人で大丈夫のはず…北鳥さんの諸事情とやらで」

「あはははは…じゃあ僕、先生に伝えてくるね」

六井先生に班が決まったことを伝え、それだったら自己紹介でもしておけと言われたので、僕は二人の元に行き、なんて自己を紹介するか考えることにしたが、そんなことを吹き飛ばすように陽子さんは自己紹介を始めた

「あたしは朝日奈陽子あさひなようこ!!好きなものはオカルト関係!苦手なものもオカルト関係!隣のクラスだけどよろしくなんだっちゃ〜」

「私の幼馴染なんだけど…まぁ、色々癖が強すぎるというか…一言でいえば大問題児なんだけど、仲良くしてあげて」

「別に大問題児じゃありゃせんけどぉ〜」

「はいはい、じゃあ次は私か…A組のクラス委員をしている忍切桜乃おしきりさくのです。オカルト部と園芸部を兼部していますそれぐらいかな」

「えぇ〜もっとないの〜」

「えぇ〜って言われたって…あとは土いじりが好きだってぐらいで…最近だったら、百合とかマリーゴールドとかすずらんとか薔薇とか勿忘草とかチョコレートコスモスとか…クローバーとかあとブルーデイジーとか」

「長いし花のこと言われたってわかんないC!!」

「もっとって言ったのは誰だよ…」

「あははは、それじゃあ最後は僕かな。僕は北鳥海斗。A組で、ゲームとチョコパンが好きです……以上です…」

「へー、海斗ってゲームやってるんだー何ゲーム?」

「超ガーデンマニアとか…あとFPSとかマルチゲーとか色々」

超ガーデンマニアを出してもわからないか…と思っていると忍切さんの肩が少しピクっとしたような気がしたが、なにそのゲームという感じだったので、自分の知っているゲームと語感が似ていたのかもしれない…まぁ、そうだよね。超マイナーなゲームで同じ人が60週連続で1位とか頭おかしいことになってるゲームだし…毎回開くたびにハイスコア更新しまくっててるけど…どうやったらただ掘って・種埋めて・土被せて・水をあげるだけの単純な動作なのに同じ操作の繰り返しで頭壊しそうになるゲームで毎回ハイスコア出せるんだ…僕でもいけて25位だったのに…

「あ、そういえば諸事情とか言ってたけど、海斗の身内がくるんだっけ?なんで?」

「まぁ、色々あって…」

「入学式の日に忘れ物を届けに来た人がくるんですよね?」

「ふぇっ!!なんでそれを…」

「あなたの身内で一緒にくるとなると、専属執事と言っていたあの人がくる確率が高いと思ったので」

「なにそれ!!専属執事とかお坊ちゃんなの!?」

「え…あぁ…まぁ…」

やっぱり、絶対にこの反応なんだよなぁ…でも絶対にそのことをいいと思ってない人がクラスにいる気配しかないし、最悪の場合自主退学の道を辿りそうな予感がするから、あんまり学校生活で関わらな…いや、もう入学式の日に自分で忘れ物したから無理か…

「まじかいなんしそれ!!え、じゃ、毎日漬物食べれるの!?いいなぁ〜」

「あんた自分で梅干し作ってたでしょ…」

「今は、別のもの漬けてるCぃ〜。今は糠漬けしてるCぃ〜」

僕の周りには、お坊ちゃん・お嬢様だったら自分の好物パーティーだと思っている人が多くないか?大牙といい、朝日奈さんといい…シャケも漬物も1日にそんなに食べてたら塩分の過剰摂取で死ぬわ!!まぁ、僕は毎日おやつにチョコパン食べてるから、最悪の場合糖尿病ルートまっしぐらですけど…あと虫歯。一番最後のやつが1番の致命傷な気もするが……

「おーし、全員決まったな。当日に誰と組んだか忘れないにように」

「「はーい」」

「六井先生。この後はどうするんですか?あと20分も余ってますけど」

「え?うそん。20分も残ってんの?」

していない時計を見るふりをして、どうしようか悩んでいると、無事班を組めた大牙が、腕がもげるぐらいの勢いで手を上げてドッジボールをクラス対抗でやればオリエンテーション前にクラスの絆を深められるんじゃないっすか!?っと先生に提案していた…さすがアホの子。こういう状況で手を上げられる君に1000点のはなまるを送りたい…

「それじゃあ体育倉庫からボールを二つ持ってきてくれ」

その後、雑に始められたクラス対抗のドッジボール大会は5分もかからないうちに生徒は全員外野に飛ばされ、内野に残っているのは担任とゲーム開始時に外野だった3名だけで、すぐさま元々外野だった6名も外野送りにされ、残りの10分間は先生同士の戦いとなっていたが、最終的に六井先生の体力切れでB組の勝利となった…いや、ここは生徒同士で戦わせてくれよ。

「ゲホッ…やっぱり無理…体力バカじゃないから…」

ぐったりしている六井先生を放置して、B組の先生は2限の後半は1限で決まりきらなかったことをするそうで、またあのめんどくさい階段を登らないと…いけない…まあ?僕はもう1限の時点で誰と同じ部屋になるかは決めてあるし?だから…何時間でも階段を登るのに時間をかけれるね……ハハハ

「それじゃあ、前半はこれで終わりにします。ありがとうございました」

「「ありがとうございました」」

「他の学年・クラスはまだ授業中なので静かに教室に戻ってね。あ、あと六井先生はホワイトボード戻しておいてください」

「え!?いや…無理…死んじゃう」

「さっき負けましたよね???」

僕たちの方にはその表情が見えないが、六井先生は青ざめたような顔になりぐだぁ…とした様子でホワイトボードを押して元の場所に戻しに向かった…そしてぼくは安定の、授業が終わるタイミングと同時にようやく3階についた…本当に僕の体力は終わっている…壁を支えに教室に戻ろうしたタイミングで後ろから僕以上に咳き込み廊下にぶっ倒れている六井先生がいた………が、僕ではどうすることもできないので一旦その場を離れ、教室に向かい六井先生を運べる人を呼んで、六井先生は大牙に脇に抱えられていつも座っている椅子に座らせられていた…

「六井先生…大丈夫ですか?」

「大丈夫なように見えるのか…」

「いえ全く。」

「うわぁ…即答すぎて先生泣いちゃうわぁ…」

「元気そうならよかったです。あ、そういえば次の時間はD組の授業では???」

「うわぁ…そうじゃん…つかまた……もう嫌だ…」

ぐでぐでとまだプルプルしている足を動かして、六井先生は死んだゾンビ…あ、ゾンビは死んでるか。ゾンビのような表情をしながらウゲウゲ言いながら授業の準備をしにいった

「海斗ぉ〜お前は大丈夫だったかぁ?」

「うん、まぁ…六井先生に比べれば今日はましだよ…」

「確かにぃw」

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〜こちら、巣窟場 鯖 雑談チャンネル〜

【ぺんぺん さんがオンラインになりました】

【一獣の王 さんがオンラインになりました】

しろくま「あ、二人とも。ちわわ〜」

ぺんぺん「ちわわ〜」

一獣の王「ちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっす!!」

ぺんぺん「あれ?しろくまがこの時間にいるの珍しいね」

しろくま「そう???」

一獣の王「最近よくこの時間帯にいるよな。ニートか?」

しろくま「ニートじゃねえし。まぁ、仕事がひと段落するのが大体この時間だから顔だけでも出しておこうかなぁ〜って」

ぺんぺん「なるほどねぇ〜お疲れ様〜」

一獣の王「ほんとお疲れ様〜」

しろくま「あざっす。まぁ、もう1時間ぐらいしたらまた仕事戻らないとだから次出没するのは22時以降かな」

ぺんぺん「最近、しろくまと全然遊べてないから寂しいわぁ…」

一獣の王「もうそろそろ6月になるけど、通話繋げてゲーム最近してないしな…」

しろくま「もう少し落ち着いたら…って言いながら来年になってそうだけど」

一獣の王「ゲームもしたいし、オフ会もやってみたくない?」

ぺんぺん「確かに!!」

しろくま「リアルであったら〜とかたまにt考えるけど、主にぺんさんと雨を合わすことが怖いんだけど?」

一獣の王「公式混ぜるな危険だしねぇ〜」

ぺんぺん「フォオオオオオオオ!!!ヘイヘイヘイヘイ!!!」

しろくま「絶対に危ない。まじで危ない。世界滅んじゃう」

ぺんぺん「え…僕そこまで信用ない…???」

しろくま「ないね」

一獣の王「俺も」

ぺんぺん「え…うそん。僕ガチ凹みするよ…???」

しろくま「ここの鯖作る前からちょこちょこ一緒に遊んでたけど、信用はない」

一獣の王「長い付き合いの白ちゃんがいうんだったらそうだな。うん。」

ぺんぺん「いいのか。ガチ泣きするぞ。公共の場で泣き出してやるぞ」

しろくま「どうぞー」

ぺんぺん「冷たっ!!」

一獣の王「え、てか公共の場?え、歩いてたりしないよね?」

ぺんぺん「当たり前じゃん。帰宅途中でコンビニでお菓子買って、どれ食べようかな〜って悩みながらコンビニの近くにある公園のブランコからお送りしてる」

一獣の王「それならよかった。というか、もう結構外暗くなってきてるけど大丈夫?」

ぺんぺん「コンビニ寄るためにちょっと遠回りしてるけどまぁ、大丈夫」

しろくま「この時期梅雨入り前で天気崩れやすいから早く帰れよ」

ぺんぺん「はっ!!もしかしておかん…?」

しろくま「誰がおかんだよっ。そろそろ仕事に戻らなきゃだわ」

一獣の王「おー、がんばり〜ん!!」

ぺんぺん「ファイトぉぉぉぉぉ!!」

しろくま「それじゃあ」

【しろくま さんがオフラインになりました】

ぺんぺん「それじゃあ、僕も帰るから落ちるね〜」

一獣の王「俺も落ちるか」

ぺんぺん「じゃねばーい」

一獣の王「うーっす」

【ぺんぺん さんがオフラインになりました】

【一獣の王 さんがオフラインになりました】

【現在このチャンネルには誰もいません】

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携帯を閉じて、まだ開けたばかりのチョコパンを咥えながらブランコでぶらぶらしていると

空の色がだんだんと灰色になっていき、もう1時間もしない間に雨が降りそうな空になってきたので、まだ食べ終わっていないパンを急いで食べ終えて、小走り気味に遠回りしたことを後悔しながら家に帰り、玄関に到着するのと同時に雨がザァーっと降ってきて危うく帰宅と同時に佐藤さんにお風呂に突っ込まれるところだった…

「おかえりなさいませ、海斗様」

「あれ?なんで冬夜さん?もう16時すぎてるから佐藤さんだと思ったんだけど」

「少し事情がありまして、荷物を置いたらすぐに夕食にするそうなので急ぎめにお願いします」

「はーい」

オリエンテーションの話でもされるのかな?と思いながら荷物と置き、後でヤンヤヤンヤ言われるのもあれあのでしっかりと制服をハンガーにかけていつもの中学校自体のジャージとパジャマに着替えて、もっこもこのスリッパに履き替えて夕飯に向かうと、少し険しそうな顔で父と母が先に座っていた。オリエンテーションのことだけだと思ったんだけど…その話のことでこんなに顔険しくはならないよね…え、僕何かやらかしたっけ。えっと…学校で毎日階段ゼハゼハ言いながら登ってること…?いや、そんなことでこの親バカ両親が怒るっていうことはないだろうし…それじゃあ、はっ!?もしかして帰り道にこっそりチョコパン食べたから!?なんかそんな感じがする…あの入学式のパパラッチ隊みたいに、実は毎日こっそりついてきてたんだ誰かが…ま〜じか…え、僕帰り道にチョコパン食って怒られる系なの?まじかよ…

「海斗、座りなさい」

「はい…」

とても夕飯と言える空気感ではなかったが、僕は恐る恐る自分の席についた…

「えっと………あの…」

もうこの重苦しい空気に耐えれないので、帰りに寄り道してチョコパンを買って夕飯前に食べたことを懺悔しようとしたら全く違う話題を出された、そうそれは…!!

「冬夜くんも一緒にオリエンテーション受けるから明日服買いに行かないといけないわね!たっちゃん!」

「そうだな。虫除けスプレーに着替え。タオルも新しいのを揃えないとな」

「早く準備しないといけないわね!明日早速ショッピングモールに買いに行きましょ」

「おーい、いつも通り本人を置いていてるんですけどー?つーか!なんで冬夜さんも一緒にオリエンテーション受けることになってるの?!」

入学式の前日の用意同様、荷物が増えそうなことに不安を募らせつつも今日の始まりの時からずっと聞こうと思っていたことを両親に聞いたが…まぁ、回答は思っていた通りの『海斗/海斗ちゃんが心配だから』というものだった…というかそもそも冬夜さんは他校の生徒なんだよ!?しかも、冬夜さんは三年生だし…本当に、メイドさんや執事さんを雇う前に芸人さんでも雇って毎日突っ込まれててくれ…僕だけでこの両親のボケを捌くのは到底無理だ…

「はぁ…なんで僕の親ってこうなんだろ…」

「うふふ、明日は社員のみんなを定時前に帰れるようにお仕事頑張るわよ!!」

「そうだな。いつもの5倍以上は働くことになるが、頑張るか」

「嘘でしょたっちゃん!」

「そう騒ぐな。夕食の時間にしよう」

僕は明日、17時以降に連れ出されることが確定したことに、少々白目を剥きながら夕飯を食べたが、ほとんど何味かよくわからないぐらい僕は思考を放棄して、いつの間にか冬夜さんと交代していた佐藤さんと一緒に自室に向かった。

「はぁ…なんで僕の両親ってあぁなんだろ…」

「あぁ…とは?」

「え…いや。ほら超親バカじゃん???僕の小さい頃なんて教育ママパパって感じだったのに」

僕がため息をつきながら気だるそうに話すと佐藤さんは驚いたような顔をして足を止め僕の方を向いた。え、僕なんか変なこと言ったのかな?いや…別に変なことは言ってないし…いや今の言葉愚痴っぽい?うぅ…メイドさんや執事さんたちには絶対に愚痴っぽいことは吐かないって…あぁ、僕の中でこっそりと決めてたのにぃ!!!!

「あぁ、すみません。足を止めてしまって…」

「い…いや…僕、なんか変なこと言っちゃいましたよね…すみません」

「いえ、そういうわけではないんです。ただ…」

佐藤さんが続きをいう前に、この時間は本来僕の元に来るはずがない冬夜さんが僕の部屋の前に立って待っていた。

「あれ?冬夜さんどうして僕の部屋の前に?」

「すみません。まだお食事の時間かと思いまして、明日の18時頃に出かけることになったことをお伝えしようと思いまして」

「あー、さっき言ってたやつ…冬夜さんも一緒に行くの?」

「私も一緒に同行させてもらいます」

「それなると…私は海斗様方が帰宅された時に交代すればいいのかしら?」

「そうですね。詳しいことは後でメイト長の方から伝えられると思います」

「わかったわ。それじゃあ冬夜くんは、戻って大丈夫よ」

「それでは、失礼致します。」

「冬夜さん、勉強がんばってね」

「えぇ、もちろんです。」

冬夜さんは僕たちに要件を伝えると、冬夜さんの自室がある使用人専用館に戻って行った…最近冬夜さんと話すタイミングが、朝起こされた時と身支度を手伝ってもらう時ぐらいしかないから少し寂しいなぁ…って思ってたんだよなでも、冬夜さんは高校三年生だし…進路とか勉強とか僕のお世話とか色々両立させて忙しい中、僕のことで引っ張りだこにされて支障が出たら僕としては嫌…なんだけど、冬夜さんとオリエンテーションの準備や当日で話せるって思うと……いやいや!推し第一!推しががんばってることを応援するのがオタクの鏡!だから僕は、僕としてできることをやらなきゃな。

「海斗様?大丈夫でしょうか?」

「あ、ちょっとボケ〜っとしてただけ。大丈夫だよ」

部屋に戻り、明日買い物に出かける準備だけひとまずしておき、いつものサーバーに顔をだすか悩んでいると気がつけば寝る時間になっており、明日は冬夜さんに起こされる前に起きてやろうといつも起きる時間より前にアラームをセットし、僕は寝たはずだったがその目覚ましはなることなく、僕はいつも通り6時に冬夜さんに起こされた…どうして…どうして…

「おはようございます。海斗様」

「お…おはぁーよ…」

モニョモニョと全く口が回っていない状況で今日はどうせ土日だし二度寝でも決めてやろうと昨日自分が思っていたことと全く矛盾した行為を働こうと布団の中に潜って早すぎる冬眠でも決めてやろうかと思ったら冬夜さんに布団を引き剥がされ、僕はいつも通り洗面所で顔を洗い、歯磨きをした後、どうしたらその寝癖が付くのか教えて欲しいぐらいに爆発しまくっている頭と30分以上戦いながら、寝巻きからいつも着ている普段着に着替えたが、僕はいまだに脳に酸素が回っていないのかあくびをしまくっていた。0時を回る前に寝落ちている僕がこんなにもあくびをしているのに、僕より睡眠時間が少ないであろう冬夜さんはあくびを一切していない…僕の体が朝に弱すぎるのかそれとも冬夜さんの体が特殊すぎるのか…あるいはその両方のような感じを寝起きで全然回っていない頭が考えていた。

「今日は少し曇り気味ですね。もしかしたらオリエンテーションの買い物に行くときに雨が降るかもしれませんね」

「あぁ、だからこんなに体がだらけてるのか…ふわぁ〜。やっぱり眠いからもうちょっと寝…」

「二度寝は許しませんからね。旦那様から二度寝だけはさせるなと言われておりますので」

「うそん…無理。寝ないとぶっ倒れちゃう…」

「”うそん”じゃありませんよ。布団畳むので離れてください」

「うえぇぇぇ…じゃあテレビでも見てよ…」

到底テレビを見るような姿勢ではない状況で、布団が畳まれ終われるまでの間に朝の情報番組を見ていると、うまい!ほっぺがまじで落ちるチョコパン特集!というまだ朝食を食べてない僕にとっては立派な飯テロもの、しかも大好物のチョコパンの特集が流れてきて僕のお腹はいつもの2倍以上大きな音でぐぅ〜うっとなった…腹へった…早く朝食の時間になってくれ…と思っていると冬夜さんは布団を畳終え、一緒に朝食に向かった。朝ごはんをもぐもぐと食べながらも僕の頭の中はあの特集されていたチョコパンたちで埋め尽くされており脳内で『僕を食べてよ。海斗くん。」「いいえ!私を先に食べてくれるのよ!」と、僕でも理解不能なチョコパンを擬人化した謎な妄想が脳内に流れ込んできて、また思考を放棄した…

「ごちそうさまでした。」

食べ終え、自室に戻って買い物に行くまでの間に出された課題でも終わらせてやろうとすると、母から18時頃には帰れるようにするから準備をして冬夜さんと待っているように言われた…いや、昨日も言われたから忘れ…いや、一夜にして決心したことが崩壊したから言われておいてよかった。

「それじゃあ。私たちお仕事に行ってくるからいい子でお留守番しててね。」

「もうそんな幼稚園生じゃないんだからさ…」

「ふふ、何かあったら冬夜くんにしっかり聞くのよ」

「はいはーい」

「はいは一回!」

仕事に出掛けて行った父と母を見送り、僕は課題をとっとと終わらせてこの時間帯は誰も鯖に浮上していないのでそれだったらと思い、自分のノートパソコンをベットの上で開き、超ガーデンマニアと描かれたアイコンをクリックし、黙々とただただ掘って・種埋めて・土被せて・水をあげるの単純作業を4時間ほど繰り返し、無事僕は、頭痛を引き起こした…

「頭痛い……目を閉じるだけでお花の妖精が『こんにちは』って話しかけてくるよぉ…」

「はぁ…全く。適度に休むようにゲームを始める前に申したのに…」

冬夜さんは僕の様子に少々呆れた様にし、いつも紅茶を入れてもらっているポットでお湯を沸かしてそれをお湯で浸して洗面台で絞って僕に渡してくれた。どうやらパソコンで目が疲れた時にはあったかいタオルがいいらしい…海斗のレベルが1上がった。海斗は雑学:あったかいタオルを覚えた。と一人RPGごっこを脳内でしながらも受け取ったタオルを目に被せ、布団に仰向けで倒れ、しばらくの間大人しくしていようと思ったら、昨日廊下で佐藤さんが言いかけていたことがふと気になった。あの感じだと、教育ママパパから今の親バカに切り替わったって感じがするけど…僕の暴走がきっかけでってことなのか…あるいはそんなのもすぐに終わっちゃってまた色々お稽古だなんだ言われるのかな…

「うぅ…」

「もしかして熱かったですか?」

「いや、タオルは超絶いい温度なんけど、昨日のことでちょっと引っかかって」

「昨日のこと…ですか?」

「うん…ほら昨日冬夜さん僕の部屋の前にいたでしょ?その前に、佐藤さんと話してたんだけどそこで僕の両親の話になってね」

「旦那様方の話にですか?」

「そう、『なんであんなに親バカなんだろうね〜昔は違ったのに〜』って感じで話したら佐藤さん足を止めたから、僕なんか佐藤さんの地雷でも踏んだのかと思って…」

「なるほど、そういうことですか…」

「地雷踏んでたら今日、買い物から帰ってきた後佐藤さんと合わす顔がないんだけど…」

「別に、地雷を踏んだわけではないと思いますよ?」

「ふぇえ?」

自分でも間抜けだなと思う様な声とともに体を起こし、タオルを目に被せておきなさいと冬夜さんに仰向けで倒され到底、人と話すような体制ではないまま冬夜さんは話を進めていった…絶対にこの後シリアスよりな展開になることがわかるのに、なんでこの主仰向けでタオルを目に被したまんま、専属執事様と話してるんだろ…こういう場面は、なんか良さげになんかエモーショナルな感じで話すものでしょ…まぁ、そんな場所どこにあるんだっていう話なんだけども…

「私も高校生になってから執事としてお仕事を始めたので、海斗様の幼少期はよくは知りませんが、海斗様が壊れて旦那様のおじい様おばあ様に預けられた際に、旦那様や奥様は後悔をしまして…」

「後悔???」

僕のほぼ消えている記憶の限りでは、ピアノだ英会話だって僕以上に張り切って1週間毎日休みもなくやってたから後悔なんてないと思ったけど…

「海斗様に自身の像を押し付けすぎたと、大旦那様に叱られましてね。」

「それって僕が家を出た次の年に亡くなったおじいちゃん???」

「そうですね、私も小さい頃に聞いた話なので曖昧ですが、そこから旦那様方はお休みの日には海斗様との時間を作って埋め合わせではないですが、今の愛に溢れている様子になられたのですよ」

確かに…僕の体調が回復してからは、まぁ異常ではあったけど、僕のことを思ってくれてる感はあったし、この家に帰ってきた日だってやりすぎとしか言いようがないけどでっかいくす玉作って僕が帰ってくるのを待っててくれたんだよな…

「突っ込むのもいいですがたまには、甘えることをしてみてもいかがですか?」

「むぅ…うーん…」

「ふふ、ひとまず、モヤモヤは晴れましたか?」

「まぁ、ひとまず???だけど別のモヤモヤが冬夜さんのせいでできた様な感じがするけど…」

「ふふふ、さようでございますか。そろそろおやつの時間ですね。本日もチョコパンでよろしいですか?」

「チョコパンでお願い〜」

「了解しました」

冬夜さんはいつも通り僕のチョコパンを取りに行ってもらっている間に、ベットから飛び起きて、僕もいつも通りお茶用の机と椅子をせっせと移動させて冬夜さんが戻ってくるまで自分の席でさっき話されたことを自分なりに考え直してみた。昔の教育熱心すぎる父母も嫌いだったかと言えば嫌いではなかったが、今の自分をめいいっぱい愛してくれて生活リズム以外のことは自分の好きなようにやらせてもらっている父と母の方が昔よりも大好きなのは決まっていることだが…いつも自分より先に奇想天外なことばっかりやってるから必然と突っ込んでばっかりになっていたけど…甘えるか…甘えるってなんだっけ…おじいちゃんとおばあちゃんのところに預けられてた時も、あんまり迷惑かけたくなくてわがまま言ったのパソコン買ってもらった時ぐらいで…いやでもその時も誕生日だったし、ゲームとかもお小遣いずっと貯めてたやつ使ってたから…甘える…?甘えるってなんだっけ???思春期や色々が重なり、甘えるという行為そのものがわからなくなり、最終的にはゲシュタルト崩壊を起こし、和らいでいた頭痛が再発仕掛けたその時、冬夜さんがチョコパンを持ってきてくれておやつの時間になった。

「用意して待っていてくださったのですね。すぐに紅茶の準備をしますね」

「は〜い」

すっかり冬夜さんと一緒におやつの時間を過ごすことに違和感がお亡くなりになりそしてさっき持ってきてもらったチョコパンも僕の胃袋へいつの間にか消え去っており、最近学校であった笑える話や世間話を話し合いながら楽しくおやつの時間を過ごしているとあっと言う間に1時間すぎていた。

「ふぅ…もう16時になってしまいましたね」

「確かに、あと1、2時間したら出かけるからそろそろ準備した方がいいか」

「そうですね。余裕があった方が安心しますし、早く帰宅された時に準備できていた方が良いですもんね」

おやつの時間の後片付けをし始め、昨日のうちに服を外に出しておいてよかったぁ〜と思いながら机と椅子を元の場所に戻し、冬夜さんが使った食器を片している間に僕は今日一回も櫛を通していない髪と戦うために、急いで着替えて、櫛が折れそうになりながら葛藤していると私服に着替えてきた冬夜さんが戻ってきた。まぁ、私服で戻ってくることにこの野郎!とか言う感情は特にないんだが、冬夜さんの着ているシャツのボタンが全部クマの形になっていることに目がいった。

「冬夜さん、そのシャツなんですか?」

「このシャツですか?奥様からいただいたものなんですよ。クマのボタンが私らしいと言われて」

「なるほど、確かに。冬夜さんのスタイルにもあってるし可愛いしかっこいい」

「って、すみません。先に自分の準備をしてしまい…」

「ううん、大丈夫だよ。あ、代わりといったらあれなんだけどさ…」

冬夜さんと話していて完全に櫛から手を離してしまったことが全ての原因なのだが、さっきまで自分の髪を解かしていたはずの櫛は天パに飲み込まれ見事に絡まっていた…

「たしゅけて」

ふふっと少し冬夜さんは笑うと、了解しましたと僕を椅子に座らせてさっきまで僕の言うことを全く聞かなかった髪が、冬夜さんの腕に掛かればまあ、多少はぺんぺんと毛先が跳ねまくっているが僕に整えられている時よりもマシな状態になった…いや、僕の髪質ですら冬夜さんの虜だとでもいうのかっていうレベルで一瞬で言うこと聞きやがって…なんで僕の言うことを聞かないんだよ…

「まだ時間に余裕がありますが…」

「ありますが???」

「課題に誤字と計算ミスをおやつの時間の前に見つけたのでその修正をしましょうか」

「うっ…なんか体調が…誤字もしてないし計算ミスも…」

「海斗様?後で後悔するのは海斗様自身ですよ???」

「うっ…はい…やります…」

父母が帰ってくるまでの間に、大量に発見された国語の誤字脱字の修正と数学の計算ミスを直した…なんだったら数学に関しては頭がチョコパンで死んでいたのかは知らないが答えが全部ずれているなどのアホなミスをしまくっていた…まじでただのばかだろ…

「その問題が終わったらもう終わりですよ」

「これがテストじゃなくてよかった…答え全部ずれてたら赤点というか…居残りまっしぐら…」

「今回は私が発見しましたが、テストの際は時終わってもしっかり見直ししてくださいね」

「そうします…」

グデグデとしながら課題の修正をしているとあっという間に17時をすぎ、父と母は家に帰ってきていたが、僕の課題の修正が終わるまで待っててくれたらしい。ほんと…ばか息子でごめん…

「それじゃあ、行きましょうか!」

るんるんしている母に手を引っ張られながら、いつも通りではなく、普通の乗用車に乗せられ近くの大型ショッピングセンターに向かいオリエンテーションで使うものを買うことになった…と言うかまだ班わけしただけで、何が必要かなんて学校側からなんも言われてないから不必要なものまで買ってしまう方が確率的に高い様な気が…

「買うとしたら必要になってくるタオルやパジャマ、着替え等でしょうか?」

「そうねえ〜、他必要になってくるものもわからないし、そんなものかしらね?あとおっきい鞄かしら?あと何かあるかしらたっちゃん」

「そうだな……まぁ、ついてからでも大丈夫だろう」

「そうね、ついてから思い出すかも知らないし、うふふ」

父の運転する車は、母によるカラオケ大会でいつの間にかショッピングセンターについており、なんだったら声量がオペラとかミュージカル並みに出てたせいで車から降りる頃には僕と冬夜さんはフラッフラの状態で、状態異常・混乱のデバフが付けられていた…なんか、鼓膜も一緒にお亡くなりになった様な気がする…あ、変えの鼓膜用意してあってよかった。

「それじゃあ、まずは雑貨屋さんに行くわよ!」

母に引っ張られながら一番最初に連れて行かれた場所は、一言でいうとファンシーな感じの雑貨屋さんだった。といっても僕の知ってる限りの雑貨屋さんはファンシーな感じが多い様な気もするけど…ひとまず吸水性がいいタオルで絵柄が可愛いものを探しカゴにどんどんとペンギンとしろくま柄のタオルがそれぞれ5枚ぐらい突っ込まれていった。いや、そんなにいらないんだよ!!まぁ、備えあればなんとやらって言うから…あと、使わなかったら普段使いもできるから一石二鳥か。自分でも何かいいものがないか探していると冬夜さんがミニチュアが売られているコーナーで足を止めてみていた。もしかして、こういうミニチュアとか好きなのかな…?って、この約2ヶ月間、冬夜さんと話したりしてるくせに冬夜さんのことなんも知らない様な…と言うか知らない。プライベートチックな話だからあんまり、足を突っ込むのはあれだなと思ってたけど…知らなさすぎるだろ…

「もしかして、冬夜さんってこういうの好きなの…???」

「あ、すみません。思わず可愛いなと思って足を止めてしまって」

オタクのピュアな心に99999のダメージ。海斗は尊死した。デレレレレ…はっ!?なんか今一瞬昇天しかけたような気がするが、天使の羽がついて天に召されそうになったが、限界オタクになっていた様な気がするが!しっかり地に足がついているからとりあえずは大丈夫だろう…多分な…

「海斗様、大丈夫ですか…?一瞬白目剥いて気絶してましたけど」

「あ、うん。大丈夫。こっちの問題だから…全然大丈夫」

「それなら大丈夫なんですが…」

ほらな、全然大丈夫じゃなかっただろ。全くもって誇れることじゃないし、公共の場で尊死してる時点で全くもって大丈夫じゃない。オタクと大失格だ!

「って…僕のことはどうでもいいんだよ…冬夜さんとお気に入りとかあるの?」

「そうですね…一つを選ぶとなると全部好きで悩んでしまいますが…」

そう言いながら冬夜さんが選んだものは、”うさぎさんのティータイム”というアリスっぽいモチーフが入れられていながらも、ティーカップやポット、マカロンからカップケーキなどにうさぎのうさぎの模様が入っている僕も欲しい…でも置く場所ねぇ…と思うぐらい欲しいと思うぐらい可愛らしいミニチュアだった。

「先月、一つ買ったのですが狙ったものが出なくて」

「どれが欲しかったの?」

「この3ばんの白うさぎの2段ケーキスタンドセットが欲しくて」

そういってニコニコとした様子で見せてくれた3ばんの項目にはうさぎの形をしたケーキスタンドとマカロンとケーキのセットが入っているものだった。と言うか小さすぎて、僕には到底管理ができるものじゃ…でも可愛いぃぃぃぃ!!

「よし、買おう」

「え?ですが今日はオリエンテーションの」

「いい考えがあるからさ!」

うさぎさんのティータイムを3箱手にとって、なんか可愛らしいポシェットの前でキャッキャとまるでデートにきたかの様にしている父と母の雰囲気を思いっきり無視をして、ここで買い物にくる前に冬夜さんに言われていた技を使うことにした。そう!レベルが上がれば上がるほど相手に効果がどんどん消えていく究極魔法『甘える』をだ!本来はこんなところで使う魔法じゃない様な気がするが…冬夜さんには僕のオリエンテーションについてきてもらうと言う借り(?)がある。だから僕は躊躇なく、究極魔法を発動した。

「あ、あの…こ、これも一緒に買って…ください!!」

いつもは誰にも見せない鉄壁の前髪を崩して、うるうるキュルルンでラブリーすぎて失目しそうになるぐらいのきゃわきゃわフェイスを他の人に見えない角度から解放し、見事マッハのスピードでカゴに入れてもらった。とりあえず僕のミッションはこんなものだろう

「まさか、海斗ちゃんがそんなお顔になっているなんて…」

「むむ…少し頭痛が…これが一人息子の力…」

「たっちゃん!ヘアピンも一緒に買いましょ。あるいは前髪を切りましょ!」

「だが、そうなると私たちの日常生活に支障が…」

「確かに…そうね……」

「いや僕、前髪を留めることも切ることも絶対にしないからね???」

切られたら目が隠れるまで絶対に部屋からでないと言うことをギャイギャイといっておき、他に必要なものを別の店で買ったりしながらやんややんやとしているとしていれば気づけばもう閉店の時間になっていた。いや、どんだけ買い物していた僕らは…学校に徒歩で登校していることもあってショッピングセンターでバタりと倒れることはなかったが、足は完全に子鹿中で明日は絶対に動けないだろうと思いながらも、帰りの車の中で買ってもらったミニチュアの中身を開封していると冬夜さんが欲しがっていた白うさぎのケーキスタンドセットがでた。僕がグッズ開封した時並の発狂ではなかったが、ニコニコと嬉しそうな顔をしていた、そしてその様子に北鳥家全員が、尊死していた、やっぱり僕もそうだけど父も母も冬夜さんに弱すぎる…どのぐらい弱いかと言われたら、最初のチュートリアルレベルの雑魚モンスターに攻撃することなく教会送りにされるぐらい弱い。結論、超絶弱い。

「はっ、すみません。はしたなかったですよね…」

「全然大丈夫よ。なんだったら私、疲れが吹き飛んじゃったから!」

「そ、それなら…???」

僕のこのオタク気質な面はネットのやりすぎではなく遺伝だと言うことがはっきりと証明された中、残りの箱も開封して残りの二つはティーカップセットがかぶってしまったがとりあえず冬夜さんのニッコニコの笑顔が見れたからいっかと思いながら、明日また筋肉痛でベット生活だろうなと思いながらも帰宅し夕飯を食べ終わった後速攻お風呂に飛び込んで佐藤さんに湿布を貼ってもらった…

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オリエンテーションの買い物のついでにミニチュアを買ってもらってしまった…それも海斗様に交渉してもらって買ってもらうなんて…うぅ…心の中が複雑すぎて吐きそう…というか心の中では買ってもらった時点でもうずっとナイアガラの滝並に吐き出されてる。

「あぁ、嬉しいようで使用人としていけないようなぁぁぁぁ、でももう今更なような気も…うがァァァァ!!」

旦那様方から何かを買ってもらうと言うのはもうこの現在進行形できている部屋着もそうだし買い物の時に着て行ったシャツだって…と言うか俺の部屋を見渡せば大体、誕生日でも勤労感謝の日でもなんでもない日に貰ったもので溢れまくっている…俺このまま、甘やかされたまんま仕事してたら外に出た時に本当にその辺でのたれ死ぬ野生を忘れた野良猫のようになってしまう…それだけは嫌だ…でも、旦那様方の気持ちを踏み滲むのはこのまだ見習い野郎に到底できるようなことじゃないし、出世しても絶対にしたくない…思考がぐちゃぐちゃになりつつも、ハニーちゃんに頭をそれはまるで、自分でも言いたくはないが小型犬のように頭をぐりぐりとし精神を統一しようとしていた…まぁ、全くもって統一なんかされてないんだがな?

「こんな情緒がジェットコースターの状態で勉強は流石に…一回現実を逃避して…」

ベットから降り、自分の今まで集めたり貰ったりしたミニチュアをしまっている箱をベットの下から引っ張り出し早速、佐藤さんから貰ったぺんぎんさんと自分のお気に入りのだらぁ〜っとしたしろくまの人形を取り出し、自分が作った洋風の机と椅子を取り出し、ケーキスタンドセットとティーカップセットをそれっぽい感じに並べ、うふふ…ではなくゲヘヘと脳内で人形同士を会話させて現実逃避しているとドアがノックされ、この時間は海斗様についているはずの佐藤さんがドアの前に立っていた。

「佐藤さん?何か問題でもありましたか???」

「いや、問題は特に何もなくて」

「それでは…なぜ?」

「本当、私情万歳なんだけどさ…海斗様からミニチュアの話を聞いて実物が見たいなぁ〜って」

「………はい???」

「いや、本当だったらこんなところ見られたらメイド長に叱られるどころか残業祭りにさせられる可能性の方が高いんだけど…どうしても見たくなっちゃって!!」

「は…はぁ…?ですが、海斗様の方は大丈夫なんですか?」

「それだったら大丈夫よ。海斗様は帰ってきて夕食をお召し上がった後すぐに入浴なさってそのまま寝てしまわれたから」

「そ、それだったら…」

「本当にぃ!?ありがとう!!」

佐藤さんを部屋に招き、そのまんまにしていた。ミニチュアたちを見ると、佐藤さんはふふッと微笑んだ。ん…?俺、なんか変な構図にしてたか?それとも机の上が汚すぎるとか…「なんだかこのミニチュアちゃんたち、海斗様と冬夜くんみたいね」

「え?別にどこも俺と海斗様っぽくないと思いますけど…」

「確かに、こんなだらぁ〜んとした感じは違うけど、微笑ましくお茶会してる感じがね?」

「そうですか…ね…ってなんで、俺と海斗様がお茶会をしていることを知っているんですか!?」

「なんでって、この間すれ違った時に二人用のコップとお皿を洗い場に持っていくところを見たからかな」

あぁぁぁぁぁぁぁあああ!!もう終わりだ…そもそも、二人でお茶をしていること自体、親父に行ってないのに…いろんな観点から色々言われるって、部下として息子として色々と説教されるって…佐藤さんへの信用が全くないと言うわけではないが、言われたら個人的に色々まずいし…下手したら海斗様も何か言われてしまう可能性がぁ…ここは口封じ的なことをしておいた方が良さそうだな…そうだ、確かティーカップセットが被ったんだ…本当は被っても嬉しいし逆にたらない民だからあれなんだけど…背に腹はかえられぬ…

「あ…あの…そのこと言わないでください…絶対にぶっ飛ばされるんで、なんだったらこのティーカップセット譲るので言わないでください…」

「いや、別言わないけどさ…でもこのティーカップセットはありがたくいただいていくわ」

とりあえずこれで僕の首は皮一つ繋がったことだが…この構成がそんなに、おやつの時間の時みたいに見るのか…?もっとより本物に近づけるんだったら、このケーキスタンドじゃなくてチョコパンに置き換えないといけないけど…まぁ自分が楽しくてやってることだから本物に忠実にしないといけないって言うあれはないし…

「あ、そろそろ報告ノートを書きに行かなきゃ…見せてくれてありがとね。あとこれも」

佐藤さんは、嵐のように過ぎ去っていき僕の部屋は静かになった…

「はぁ…さて、気分転換と現実逃避もできたし、勉強始めるか」

ミニチュアたちと箱にしまい、ベットの下に収納してパソコンを開き、ヘッドホンの接続が切れていたのか爆音で流れる曲を急いで止めて、接続し直して勉強に取り掛かることにした。そういえばオリエンテーションの時に流石にパソコンを持ち込むのはあれだよな…勝手についてきている部外者だし、と言うことはその前、もしくは後の5日間のスケジュールを組み直さないと、単位を落として今のまんまだと卒業できない…それは困る…親父たちにも迷惑がかかるし、旦那様たちにも迷惑がかかる…オリエンテーションの前まではしばらくはあの鯖にログインすらできないだろうな…

「はぁ…とりあえずやりますか…」

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この間、オリエンテーションの買い物に行ったかと思ったら気がつけばもう当日になっており、僕と冬夜さんはそんなにいらないだろと思いながらも荷物をぎゅうぎゅうに詰め込まれ、いつも登校する時よりも圧倒的に重量感を感じながら家を出る準備をしていると父と母が心配そうにまだカバンの中に詰め込もうとしたのか両手にはいっぱい荷物を持っていた…これ以上持たされたら僕、階段とかから転落するって、死んじゃうって。重さで潰されるって

「旦那様方…嬉しいのですがこれ以上荷物が増えるとその…」

「僕ら二人揃ってペラペラな状態で帰ってくることになるんだけど…???」

「で、でも…心配だし?今日の天気予報だと雨降るかもしれないって言ってたし…」

「備えあれば憂なしというだろ」

「その備えでぶっ倒れそうになってるんですけど…」

「そ、それもそうね…一番大切なものだけでも詰めさせてもらいましょ」

そう言いながら母は、冬夜さんに無線のようなものを手渡していた、だけど僕にそれが何かを伝えられる前にカバンに終われ、結局それが何かわからないまま荷物の最終確認は終えた。そして重すぎる荷物を背負いながら玄関を出て、父と母と佐藤さんをはじめとしたメイドさんや執事さんが見送っていってくれた…なんだったら火打石まで打って、盛大に見送ってくれた…いや、ただのオリエンテーションで一泊するだけでこんなに盛大になるんだったら、修学旅行とかどうなるんだよ…もしかして新幹線か飛行機を貸切にして…やりそうでまだ2年生にすらなっていないのに頭痛が…

「海斗様。大丈夫ですか?」

「うん…大丈夫。ちょっと妄想が行き過ぎただけだから」

「そうですか、それでは集合時間に遅れないように行きましょうか」

重すぎる荷物を背負いながら登校したが…いつも以上に登校だけで体力を消費したような気がした…と言うか事実消費した…この亀みたいな状態で階段登らないといけないのか…無理、いつも以上に死んじゃう…

「海斗様、荷物が重かったら私持ちますよ?」

「いや、冬夜さんも同じぐらい持ってるでしょ…だからだい…じょ…」

ばなかった。いつも以上に震えていた足は階段に着く前に宙に浮き、カバンの異常な重さで重心が後ろに引っ張られ危うく僕だけオリエンテーションじゃなくて保健室で1泊2日を過ごすことになりかけたが冬夜さんに支えられて、なんとか転落は防げた…ほんとごめんなさい冬夜さん…わざわざついてきてもらってる時点であれなのに、ほんと申し訳ない気持ちでいっぱいです…

「やっぱり、荷物持ちますよ。いいですね?」

「ふぁい…」

冬夜さんに亀の甲羅のようになっているカバンを持ってもらい、僕は少々泣きながらいつも通り手すりを持ちながらしくしくと階段を登った…もう本当…体力と筋肉つけよ…

「海斗ぉぉぉぉぉぉぉぉぉって、あれお隣さんだれぇ???」

教室のドアを開けるなり、大型犬のように飛び出してくる大牙に両肩を捕まれブンブン左右に降られ、色んな意味でふらふらになっていることもお構いなく、そのふらふらになっている僕をぺぇーい!っと投げ出し、冬夜さん思いっきりガン見していた…いや、ぶん投げてそのままにしないでよ!!

「あの……友達ぶん投げておいて放置しないで……」

「ごめんごめん!いや、お隣さんに興味が移っちゃってさぁ〜」

「移ってもぶん投げないでよ!!」

「海斗様大丈夫ですか?」

「うん……まぁ…多分…」

ここで『僕のことより冬夜さんのことがいいのね!!さようなら!!』とかボケを入れられればいいんだけど、あいにくぶん投げられた衝撃に運動不足のオタクが耐えられるはずもなく言ってしまえば、全身が痛い…これ階段から落ちなくても一泊二日、保健室行きになるぞ

「私がいながらすみません…」

「いや、別に大丈夫。慣れっこだから」

「へっへっへ〜」

「どこかのアホの方のせいで。」

「どこのアホだろぉ、別に俺、バカじゃないもん〜」

「バカではないけどアホだろ…」

「ぬわんだとぉ!?」

教室のまえでやんややんやとしていると、いつもの白衣姿とは違い、上下青色の芋ジャー姿で前髪を左側に完全に流している六井先生がやってきた。担任のはずなのに、今まで左目を見たことがなかったような気がするが…まぁ、この機会に見れたことだしいっか

「お前ら、こんなところで何やってんだ?普通に邪魔だぞ」

「あ、六井先生!今日はジャージなんすねぇ」

「白衣だと動きずらいからな。あ、そっちの人は」

「あ、僕の付き添い人としてきてくれた……」

「熊和歌冬夜と申します。本日は部外者の私の参加を認めてくださりありがとうございます」

冬夜さんはぺこりと頭を下げ、顔をあげると六井先生にまじまじと見られていた…

「ふーん…堅い超いいね。筋トレとかしてんの?」

「え?いや、特に何もしてないですが……」

まるでデッサンをするかのように、冬夜さんの周りをぐるぐると周り続け冬夜さんが目を回しそうになっていたので、メリーゴーランドのように回り続けている六井先生を止めたが…

「この堅いの良さと筋肉のつき方…下手すればあいつらと同等…あるいはそれ以上か…?」

「六井先生…変態か何かっすかぁ…」

「誰が変態じゃ!はぁ…すまない…そういえば入学式の日に忘れ物を届けてくれたな」

「はい、その時はいきなり押しかけて申し訳ありませんでした…」

「まぁ、後から海斗くんのご両親から話があったから大丈夫だぞ。そうだ、熊和歌くんっていったっけ。席を用意できなかったから教卓の隣なんだけど大丈夫かな?」

「はい、全然大丈夫ですよ」

「そうかわかった。ほらお前ら他のやつも来るから早く教室入れ」

「「は〜い」」

教室に入り、自分の席に重たすぎる荷物をひとまずおいておいて、『北鳥の関係者席』と紙が貼られている椅子を僕と大牙の席の近くに引っ張ってきて、まだ集合時間より早い時間なので雑談でもして暇を潰そうかと思ったが、よくよく考えたら、大牙と冬夜さんは初対面かまぁ、よくよく考えなくてもわかる話だけどな…

「えっと……まずじこしょうか」

「熊和歌さんって海斗の専属執事だっていうの本当なんですかぁ!?」

さすがアホの子。僕が話そうと口を開いたが、それを上回るスピードで冬夜さんに思いっきり突進していきやがった。

「え、えぇ。海斗様の執事をさせてもらってます」

「本当なんだぁ!!朝昼晩3食同じの食べてるのぉ?というかそもそもいくつなのぉ?シャケ食べ放題なのぉ!?」

なぜなぜ期の子供並みに質問をマシンガンのようにぶん投げどう考えても冬夜さんが困惑しまくっているので、大牙の口を一回封鎖させて黙らせた…まず自分の名前を言えよ…

「大牙…聞きたいことがたくさんなのはわかったからまず自己紹介しなよ…」

「あ、そっか。俺は東堂大牙って言って海斗と仲良くさせてもらってま〜すぅ!すきなものは焼き魚全般で特にシャケが好きかなぁ!あと!」

「はい、はいはい元気な自己紹介ありがとうございました〜。次は冬夜さんね」

「あ、熊和歌冬夜と申します。海斗様の執事をさせてもらってます。そうですね…好きなものはフルーツがたくさんのったアイスですか…ね???」

「アイス好きなんですかぁ!?俺も大好きでこれからの季節お腹壊しそうでw」

おかしい、ただの自己紹介だったはずなのに謎の合コン感を感じるのは僕だけなのだろうか…どう考えてもグイグイ行ってる感じで、そこに挟まれてる影薄いやつみたいになってるんだけど僕の立ち位置がぁ!!

「はいはいはい…そこまで…もう大丈夫だから…」

「なんだよ海斗、俺だって仲良くなりたいしぃ」

「いや、別にそこはいいんだけどさ…ぼっち感を感じて耐えきれなかっただけだから…」

「何言ってんだよぉ。ぼっちじゃねえだろぉ?俺がいるんだし!」

「ふふ、東堂さんは海斗様と仲良くしているんですね」

「でっしょー!!あ、あと俺のことは大牙って呼んで東堂だとなんか遠いからぁ」

「わかりました。それでは大牙さんよろしくお願いします」

「あ、俺なんて呼べばいいんだろ…冬夜さ…」

僕は、謎の嫉妬心だが独占欲だが何かは知らないが…冬夜さんのことを冬夜さんと呼んでいいのは僕だけだと重い荷物を持ってくる最中に脳内の酸素が空っぽにでもなったのか疑うぐらいの頭の回っていない状況で、東堂の方を向き見えていないはずの両目を思いっきり開眼させて、ふざけるなぁ…ふざけるなぁ…お前は別の呼び方しろぉ…とドロドロなオーラを冬夜さんにバレないように滲ませ、大牙は僕の何かに気がついたのか視線を僕から思いっきりそらし、ブッブッブっとできていない口笛を拭きながら言いなおしていた。うん、それでいいんだぞ

「く…くまさんとかでも…大丈夫ですか……???」

「はい、大丈夫ですよ」

「よっしゃい!!」

僕と視線は合わせはしなかったが、大牙は思いっきりガッツポーズを決め、きていた他のクラスメイトに思いっきり見られていたが、さすがアホの子。どうだっていい。

「なんか隣から超なんか感じたけどよっしゃい!!」

「海斗様からですか?」

「き、気のせいだよ冬夜さん」

なんとなくここは気のせいにしないといけない感じがしたので気のせいにして一件落着だ!でも大牙の俺への評判はダダ下がりだろうけどな!!まぁ…幼稚園生の嫉妬だと思ってくれ…すまない大牙…

「それにしても、今日の午後から雨降るらしいねぇ」

「そういえばそんなことを言ってたような…」

「肝試しだけは絶対にやりたいぃ!!パン食い祭りと徒競走はともかくぅ!!」

「肝試しって、敷地内にある雑木林でやるんだっけ?」

「そうそう!!雨が降ってきたら室内でやるらしいんだけど雰囲気がぁ!!」

「そうですね…肝試しって18時頃から始まるんですよね?」

「そうだよぉくまちゃん」

「予報では15時〜16時あたりが雨の予報なので地面がぬかるんで無ければできるかもしれませんね」

「よっしゃい!!!」

冬夜さんと大牙としゃべっているといつの間にか時間は過ぎており、青色の芋ジャーバージョンの六井先生はいつも通りだらぁ〜っと朝礼をし、ついでに冬夜さんの自己紹介をクラス全体に済ませて、今日止まる予定のオリエンテーション用に作られた宿に荷物を置きに行具ことになった…改めて思うけど、一年に一回あるオリエンテーションのために普通宿なんか作るかなぁ!?まぁ、防災用とは言ってたけど…おかしいだろ…

============================

荷物を置きに行ったあとは早速レクが始められたが、俺は部外者だしすみっこの方で海斗様ように水筒持って植木ばき同様気配を消しておく以外に特にやることが…ない…なんで旦那様方は俺をオリエンテーションなんかに…それも他校だし、学年も違うし、本当に尊敬はするんだけどたまに思考がよくわからなくなる…だけど…俺は通信制だからこういった行事ごとに参加することはないだろうと思ってたから…その点では旦那様方にも海斗様にも感謝の気持ちでいっぱいかな。

「冬夜さん、お水もらってもいいですか」

「はい、少々お待ちください」

親バカであるということは、海斗様が帰ってくる前からわかっていたつもりだったけど…この調子だったら来年、再来年の臨海学校と修学旅行にも連れて行かれそうだな…もう修学旅行の時点で俺はもう20歳になるんだよな…というか…行事くらい海斗様一人で行かせてあげればいいのに…俺みたいに知ってる人間がいたら伸ばせる羽根も伸ばせないっつの…

「冬夜さん聞いてください!さっきのパン食い祭りで僕、優勝したんですよ!これが景品のお皿で…」

「景品がお皿なんで…すか???」

「なんか、この学校の伝統らしいんだけど…いや、ぶっちゃけお皿もらった僕も信じてはいないんだけど…お皿もらいました!!」

「よかったですね」

ニコニコと子犬のようにはしゃいでいるところを見ると、幼少期に大人も手がつけれないほど暴走した人と同一人物なのか疑いたくなるぐらいに元気な姿を見れて、もしかしたら旦那様方は、自分たちがいないところで心身ともに元気にしているかどうかを……

「冬夜さん?冬夜さ〜ん!!」

「はっ、すみません…少し考えことをしていまして…」

「あ、ごめん!」

「いえ、大丈夫ですよ。何かありましたか??」

「いや、お皿を見せ来たものあるんだけど、六井先生がドッジボールに参加しないかって」

「私がですが?しかし、部外者ですし…」

「大丈夫だって!ほらいこ」

海斗様に手を引っ張られるがまま、ドッジボールのコートに入れられてしまい俺込みで試合が始まってしまった…正直運動は、屋敷の中を徘徊してる時ぐらいしかしてないから海斗様以上に運動不足で…

「海斗!頭下げろぉ!」

「ふぁっ!!」

敵チームが投げたボールが、海斗様の顔面に当たりそうになった瞬間咄嗟のことで後で親父と母さんからこっぴどく叱られることが確定したが、海斗様を自分の方に引き寄せ、海斗様めがけて飛んで来たボールを俺は反対の片手だけで受け止めていた…

「と…冬夜さん…???」

「「おおお!!すっげえ!!海斗の執事の人かっこええ!!」

「くまさん、すっげぇ!!!」

なんか…ものすごく注目されてる…というか、海斗様はこんな姫プレイは望んでいないはず…専属執事として無意識のうちに動いてしまったぁ…なんか昔、ぺんさんたちと一緒にFPSゲームやった時に姫プレイチックなことしてキノコ怒らせたっけ…いや、そもそもあいつが下手だったから援護してたっていう、いや今終わったことの言い訳をする前に今この状況の言い訳を考えなくては…

「か…海斗様…申し訳ありません、使用人として…その…なんといいますか…」

咄嗟のことすぎて、語彙が低下してるぅー!落ち着け……少なくとも海斗様の前ではできる執事をやってきたんだ…だからひとまず落ち着け!!

「早くそっちのボール投げろよ!!」

敵チームから、ボールを早く投げるように催促され適当に豪速球をぶん投げ、海斗様と気まずい雰囲気になってしまった…レクが終わったら全力で謝って、今度のおやつの時間のチョコパンはいつもの2倍以上盛って持って行こう…申し訳なさすぎるし、帰ったら旦那様方にも土下座をしよう…心の中でもう完全に終末気分になっている中もドッジボールは続き、最後まで残っていた人数差で海斗様のクラスは負けてしまい、総合結果としては2位となった

その後会ったことはいまいちドッジボールのことで全部記憶が消去されたが、早めの夕食を食べて、オリエンテーション用に建てられた宿で少し休憩をし、このオリエンテーションの企画の目玉、肝試しが幸いにも、雨が降ることなく外でやることになったが…オリエンテーション用に作られた学校の敷地内にある宿ってなんだよ…

「海斗様、肝試しは大牙さんと一緒に回られるんですか?」

「それが、Bと合同で決めたから…」

海斗様があたりを見回していると、向こうの方から青のおかっぱでメガネの女性とその女性に赤いポンチョのフード引っ張られながらやいのやいの言いながら引っ張られてきた女性が「あ、北鳥さ〜ん」と手を振っていた。

「忍切さんと…安定ですね…朝日奈さんは…」

「安定ってなんじゃよ安定ってぇ!!!」

「この方達が一緒に回る方ですか?」

「あ、初めまして。忍切桜乃と申します。あ、こっちは暴れん坊オカルト馬鹿の朝日奈陽子です」

「誰が暴れん坊オカルト馬鹿じゃ!!あ、どうもよろよろなんどすぅ〜」

「よ、よろしくお願いします。私は熊和歌冬夜と申します。よろしくお願いします」

「おっしゃぁ!!熊ちゃんガタイいいから最悪の場合ひっつき虫できるぞぉ!!」

「はぁ…全く…」

忍切さんは、呆れた様子を見せながらも容赦のないグーパンを決め、朝日奈さんの頭から湯気が出るほどの衝撃だった…もはやそのグーパンだけで世界を取れるんじゃないかと思うぐらいの見事なグーパンに思わず、10と書かれたフリップを出したくなったが心の中でなんか抑えた…

「私たちの順番は5番目だそうです。先ほどくじを引いてきました」

「それじゃあ、もう出発地点の方で待ってようか」

順番が早めなので出発地点付近で待っていると、B組の担任の教師から肝試しの説明を受け、どうやら雑木林の奥にあるお墓に出発直前に渡されるお札を貼って来た道を戻ってくるだけという簡単なものであることがわかった、注意事項としては、通る道以外は整備が間に合っていなくて、坂になっている場所もあるから周りを見ながら行って帰ってくるように言われた。ホラーとかおどかしてくる系の耐性は、勉強の気分転換でホラゲーをする時もあるし、いつものメンツで遊ぶ時もホラーチックなやつで遊んだりするからそれなりに大丈夫なはずだ。ここに雨がいたら発狂ものだろうな…ビビりすぎて

「や…やっぱりーあたしー体調悪いかもー」

「怖いだけでしょ」

「そそそそそそそそそないなわけないだろい!!こんなのようゆーのよっちゃんだしぃ!!」

「言語も、様子も全然大丈夫には見えないし余裕にも見えなんだけど……」

ガクガクと震えている朝日奈さんをよいしょよいしょしながら順番を待っていると、前の人たちが戻ってきたのか、俺たちの班が呼ばれた。行く前に海斗様にしっかりブザー持っているかどうか聞いておかなくては…念には念をっていうし…

「海斗様、ブザー持ってきてますか?」

「冬夜さんに言われたからしっかり持ってきたよ!」

「よかったです、しっかり持っててくださいね」

「うん、ポッケにしっかり入れておくから大丈夫だよ」

ぽんぽんとブザーを入れたポケットを叩き、ワクワクした様子で出発地点に向かい、先生から懐中電灯とお札を受け取り俺たちは雑木林の中に足を踏み入れたが…

「もう無理…帰る…」

「何言ってんの、ほら早く行くよ」

「ウギィィィィィィィィィ!!!!」

入り口付近で病院に行きたくない犬のように足が思いっきり地面に突き刺さった状態で忍切さんに引っ張られており、手助けとしてひょいっと持ち上げ渋々と歩かせた…

「あはははは、頼むからビビて全速疾走だけはやめてね…」

「いや、場合によってはありえるかもしれ〜ぬ」

「いや、ありえないでよ!!」

まだ、驚かされてもいないのに今日はぐっすり寝れそうだなと思いながらも、忍切さんに先導してもらい俺たちは後をついて行ったが、お墓に行くまでの道中に仕掛けられているびっくりポイントに朝日奈さんの大発狂で鼓膜が全員ぶち破られそうになったがなんとか中盤あたりまで進むことができた

「もう……ほんと…」

「あ、朝日奈さん大丈夫…???」

「大丈夫だったら、こんなビビり散らかしてない…」

「まともな話し方になってますし、大丈夫じゃなさそうですね」

「うぅ…ギュゥ…」

「僕じゃ頼りないと思うけど、後ろについてれば大丈夫だよ」

「うにゅぅぅ……」

ひとまず、海斗様のジャージの裾を破れるんじゃないかというぐらい握りしめながら進むことになった。個人的には後で「なんで伸びてるんだ!!』って言われそうでヒヤヒヤするからそんな破れるぐらい握りしめなくても大丈夫だと思うんだけど…ていうかなんだったら俺が身代わりになるから引っ張らないで欲しいんだけど…

「うがががががががががががががががががが」

「大丈夫だって、朝日奈さん」

「うぅ……ぬにゃぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!」

「「っ!?」」

突然の雑木林中に響きわたる朝日奈さんの叫び声に、忍切さんと同じタイミングで後ろを振り返ったが……そこには叫んだ本人である朝日奈さんとその朝日奈さんと一緒にいた海斗様が消えていた……

「っ!?海斗様!!海斗様!?」

「嘘…陽子!!どこ行ったの!!」

============================

痛てて…いきなり朝日奈さんが驚いてそれに引っ張られて茂みの方に引っ張られて…

「痛ったぁ……ってあれ?ここどこ?」

「どうやらコースから外れたみたいだな…」

「ま…まじか…ごめん、海斗………」

「ううん、大丈夫だよ。それ以上に早く冬夜さんたちに合流しなきゃ」

落ちてきたと思われる場所を見上げるが、草木が生い茂りすぎてとてもじゃないけど戻れそうにはなかったし、斜面が急すぎる…どうしよう、早くしないと冬夜さんたちに迷惑かけちゃうよな…

「んっ…雨…???」

「降らないんじゃっ!」

ひとまず濡れたら風邪を引くので、本来だったら木の下に避難しない方がいいが他の場所だと濡れるし、滑るしでひとまず木の下で雨宿りをすることになった

「超ザーザー降ってきたね…しかも大粒だし…」

「そうだね…」

雨のせいか、厚手のジャージをきていても寒くなってきて日頃もっとミートテックを着込んでおけばよかったと思いながらも、雨足はどんどん強くなりそれと同時に寒くなってきた

「流石にちょっと寒いね…」

「……………ん」

「え?」

僕を気遣ってか、朝日奈さんはいつもきているポンチョを脱ぎ、僕に渡してきた。いや、別にお前のせいで寒い思いしてんだけど?って言ってるわけじゃないし、そもそもこういうシチュエーショって僕がイケメンボイスで「ほら、寒いだろ。これ着な」ってなんかキラキラした背景になってジャージを朝日奈さんに羽織らせてあげるっていう場面のような…

「いやいや!ダメだって、朝日奈さんが寒くなっちゃうでしょ!?」

「大丈夫だって。あたし、見た感じ君より寒さ耐えれそうだし」

「いや、そういう問題じゃ………」

「いいから着ろっつってんだろぉ?!とっとと受け取ってきやがれ!!」

「はい!!」

圧に耐えきれず、僕は朝日奈さんからポンチョを受け取りそれを着た…いや…本当に…なんか謎に情けなくなる…やっぱり筋トレして体重増やさなきゃな…というか朝日奈さんの喋り方が普通に…これは確か大丈夫じゃないんだよな?それだったら何か会話…会話ぁ!!

「こ、こんな時に聞くのはあれだけどどど、朝日奈さんってなんでオカルト好きなの?」

「え?うーん…そうだな…」

朝日奈さんは少し考え込むと、いつも…と言っても普段の彼女を知っているわけではないが、あのデタラメな言葉を話している彼女とは雰囲気を僕は感じた。

「オカルトってさ?それが本当かどうか危うい感じじゃん?それに人によって説が異なったりして面白いじゃん。でもその反面、それが自分の目の前に現れたら怖いなって思うから好きであって嫌いなんだ」

「なるほど…???」

「あと、たまに何それwwwって思うようなものもあって飽きが来ないからってのもあるかな」

「確かに、ゲームとかは飽きちゃうけどオカルトって色々あるから飽きないかも」

「最近のお気に入りはね?この世界のどこかにボランティアみたいなマフィアがいるっていう都市伝説なんだけど、それってマフィアなのかなってw」

「確かに、ボランティアって着いた瞬間かっこよさが消え失せたねwww」

「でしょwww?しかも、メンバーの中の一人に戦車愛好家がいて、自家用車として乗ってるとか」

「え、まじかよ」

他愛もない話を続け、完全に遭難していることを忘れ話し込み、手が冷たくなったのでポッケに手を突っ込むと、そこには肝試しが始まる前に冬夜さんと確認したブザーが入っていた。どうなるかは全く想像ができないけど…仕方がない!今はこの状況から抜け出さなければ!僕は、ブザーの紐をひっぱりビビビビビビビビ!!!!!と大きな音が鳴り響き、音に気づいた誰かが助けにきてくれることにかけた…

============================

「わ…私が、無理矢理連れて行ったから…入口で嫌だって言っていたのに無理やり引っ張って連れて行ったから…元々怖いの嫌いだって言ってたのに…私のせいだ…私のせいだぁ…」

二人が消え、雨も降り出したので一度出発地点に忍切さんを支えながら連れて行った…すぐにブザーがなると思い、旦那様方から預かっていた護衛用探査機から反応が出るまで雨に打たれていたが…海斗様の安否ももちろん第一に心配だが、彼女のメンタル面も心配だ…

「しっかり私が手を繋いでおけば…迷子になることは…」

ずっと、頭を抱えかみ下を向き自己嫌悪をしている彼女のメンタル面も心配だ…確かに、あの時自分がってなるかもしれない、だけど起こってしまった事に対して過去を恨んでいる暇は今はない。俺が…俺ができることは…今は…

「っ!!反応がでた」

ようやく、海斗様に渡したブザーが鳴らされたのか位置情報が探査機に表示され、安否を確認することができた。早く、早く、早く先生方に言わなくては

「忍切さん!!」

「私が…私が…」

「忍切さん!聞いてください。朝日奈さんたちの居場所がわかりましたよ」

「え…ほ、本当…ですか!?」

「今すぐ、先生方にいいに行ってくれないか」

「わ、わかりました…急ぎます!」

忍切さんに急いで呼びに行ってもらってる間に、俺はより正確な場所を特定し呼んできてもらった先生たちを連れてその場所に向かうと、大丈夫だということを伝えるためなのか大きく手を振っていた…その姿に安心してしまった俺は足の力が抜け、尻餅をついてしまったが、先生方が救助をして肝試しは遭難者が出たとこと雨天のため中止になってしまった。

「冬夜さん!!」

「海斗様!!」

一度、救護テントに運ばれたが、特に目立った外傷はなく軽いすり傷が複数箇所あったぐらいで大事になるようなことがなくてほっとした…本当に、念には念をだったな…

「ごめんなさい…心配をかけるようなことを…」

「いえ、海斗様が無事で何よりですよ」

「えへへ。あ、そうだこのポンチョ。朝日奈さんに返さなきゃ」

「そうですね、近くにいると思うのですが…」

海斗様と一緒に辺りを見回すと、忍切さんに怒られている朝日奈さんたちを見つけた。

「心配したんだからね!?わかってるの!」

「わかってるってわかってるって、たかがこんにゃくにビビってこんな事態になったこと本当に謝るって!!!」

「大事にならなかったからよかったけど、このまま見つからなかったらどうなってたか…」

声を掛けずらい雰囲気だったが、なんとか話を切り出して、ポンチョを返すことに成功した、けどこういう時って洗濯してから返すものだよな…安心し切ってガッツリ忘れてた…

「北鳥さん…本当にごめんね…」

「ううん、僕の方そこごめんね。ポンチョ借りちゃったし…」

「何か違和感を感じると思ったら、それか!!」

「え、逆に今まで親友の服装に気が付かなかったのぉ!?デショックゥ……」

ひとまず、肝試しはお開きになり、それぞれの宿の部屋に戻り速攻海斗様をお風呂に突っ込んで、待っている間に携帯で旦那様方にひとまず報告を入れたのと同時にいつもの鯖の様子を見てみた

============================

〜こちら、巣窟場 鯖 雑談チャンネル〜

【しろくま さんがオンラインになりました】

しろくま「ちわっす」

マッシュ「あ!ようやく誰か来た!!」

しろくま「あれ?キノコだけ???」

マッシュ「そうそう、なんかみんな忙しいらしくて、ニートのくせに((」

しろくま「ニートかどうかは決まってないだろ…」

マッシュ「誰もいないし、ぼっちだから今のうちに発狂してやる!って思ったら虚しくなった」

しろくま「あ…(察し)」

マッシュ「まぁ、こんな俺の虚しいトークはいいんだよ。そっちは元気〜?」

しろくま「ひとまず元気。雨で豪快に濡れて風邪ひきそうだけど」

マッシュ「それは元気なのか…???」

しろくま「ここに来る元気はあるから元気でしょ」

マッシュ「確かに………???」

【さくらんぼ さんがオンラインになりました】

さくらんぼ「お久しぶり〜」

しろくま「サクラじゃん。こんな時間に珍しい」

さくらんぼ「ちょっと暇になったから顔出してみた」

マッシュ「久しぶり〜!」

しろくま「相変わらず、超ガーデンマニアの一位?」

さくらんぼ「いやそれがさ!?聞いてよ。ちょっとここ3日間ぐらい忙しくてやってなかったらランキング抜かされて2位になっちゃったんだよ!!」

マッシュ「桜っ子を抜かす猛者が現れただと……???」

しろくま「その一位のやつ相当な暇人と見た」

マッシュ「一回、通話中の配信で見たけどほぼバグみたいな動きしてるようなやつの上をいくってその一位になったやつバグそのものだろ」

しろくま「見とけ!って言われて全員画面が恐ろしいぐらい早く進んでいくせいでサクラ意外、体調悪くなって寝たからなあの日()」

さくらんぼ「クソが…用事終わったらまた一位に返り咲いてやるからなぁ」

しろくま「すぐにランキング一位に戻ってそう」

さくらんぼ「ほんと、抜かされるんだったらここにいるメンツに抜かされたかったわ」

マッシュ「お前を超えたら化け物だよ()はっ!?ということはその今一位のやつは化け物!?」

しろくま「その説通りに言ったら化け物かAIぐらいだろうな」

マッシュ「AIの処理スピードを超える桜っ子。かっこいい二つ名にはなるぞ」

しろくま「(※超ガーデンマニア内での話です)」

さくらんぼ「かっこいいけど、()内のことはいらないだろ」

しろくま「ハハハーナンノコトダロウナー」

さくらんぼ「白々しすぎだろ…あ、私お風呂入ってくるから落ちる」

しろくま「俺も風呂入ってこようかな」

マッシュ「足の指の間まで洗ってこいよ」

しろくま「うぃ〜す。そんじゃあ」

さくらんぼ「バイビ〜」

【さくらんぼ さんがオフラインになりました】

【しろくま さんがオフラインになりました】

============================

「お風呂上がったよ〜」

また、びしょびしょになっている髪を、タオルでバサバサを乾かしながら海斗様がお風呂から上がった、前髪が上がって目が見えるかと思ったら意外にも鉄壁の前髪で表情上はいつも以上に見えなかった

「それじゃあ、次くまさんねぇ!」

「え、しかし私はまだ…」

「冬夜さんも雨に打たれてたでしょ?風邪ひいちゃうし…」

「…わかりました、お先に入らせてもらいます」

着替えとタオルとこっそり忍ばせて持ってきていた、ゴムのアヒルを隠しもちお風呂に向かい今日1日の疲れを癒したのと同時に早く海斗様の髪を乾かさないと明日の朝、いつも以上に髪を解かすのがめんどくさいことになるし、予備の櫛が一本しか持ってきていないので、早めにお風呂から出て、海斗様の髪の毛を乾かして、恋バナだ!枕投げだ!と他の方がはしゃいでいたが、心身ともに疲れていた私は海斗様よりも先に眠ってしまった…

==============

「海斗様。朝ですよ」

「うぅ…」

昨日、いつもはできない夜更かしを久しぶりにしてやろうとみんなで3時すぎぐらいまではしゃいでいたせいで完全に寝不足である…でも、これがお泊まりイベントではあるあるか、ふわぁ〜無理だ。いつも以上に馬鹿眠い…

「二度寝……おやすみぃ………」

「二度寝じゃありませんよ。もうあと1時間で全員で朝食です。」

「無理……持ってきて…」

「無理ですって、早く起きてくださいっ!!」

布団を剥がされ、捲れていたお腹周りが一気に寒くなり、敷布団の下に逃げ込もうとしたが、冬夜さんのスピードに僕がついていけるわけもなく、速攻敷き布団も剥がされた…

「うぅ…眠いよぉ…」

「夜遅くまで遊んでるからですよ…他の皆さんも早く起きてくださいね」

「グオオオオオオギギグワアアアアアゴゴゴゴ」

「大牙さんも雑ないびきの真似しないで早く起きてくださいね」

「ば…バレただと…???」

「はい、みなさん。早く顔洗って歯磨きして支度して、使わないものはカバンにしまってくださいね」

「なんか、くまさん。おかんみたいだな…」

「ねぇ……眠いぃ…」

「海斗様。朝弱いのに夜更かししたんですから他の人よりもキビキビ動いてもらいますよ」

「ふぇえー………」

一番つぶれている海斗様を立たせながら準備をし始め、朝食に誰も遅刻することなく食べることができ、最後に先生方から一言と各クラスごと、反省会をし俺たちのオリエンテーションは終わった…帰り同様重い荷物を持ちながら、これから家に帰らないといけないのかと思うと少々腰が引けるが、そんなことでウジウジしていても帰宅時間が長引いてしまうだけなので、海斗様の分の荷物を持って家に帰る道中今回のオリエンテーションで海斗様と少し…距離が近くなったような気がしてこれからの仕事もまた一層楽しいものになるだろうなと、寝起きでまた頭が回っていなくあくびをしている海斗様を支えながら重すぎる荷物を帰って行った。というか…なんか帰り道の方がなんか荷物が重く感じるんだけど…これはただ海斗様の荷物も一緒に持っているから…?





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