第1話 ニューゲームは前途多難

クソでか豪邸の実家に帰ってきて、はや1週間ほど、ここでの生活に慣れたかどうかと聞かれたら慣れてない新しい生活が始とまり、明日はいよいよ高校の入学式を迎える。僕は友達ができるか…どうかよりも目の前の光景に僕は呆れている、呆れを通り越してもう目前で起きていることは現実ではないと錯覚している状況である。何をしているかというと、父と母が僕の高校入学の準備を僕抜きで初め、現状手がつけられない状況になっているという……なんだこの親バカ両親は本当に…本当に…

「ほ、ほら。あと防犯グッズも入れなきゃ」

「そうだな菫子。すぐに私たちの会社用の警備部隊を呼べる防犯ブザーと…」

そう言っていくつ、僕のカバンにブザーを入れたんだよ…10個だぞ!?1個目はお腹が空いた時にシェフが出てくるブザー、2個目は怪我した時にすぐに駆けつけてくれるかかりつけ医のブザー…もうあとは考えるのはやめたい…無駄…ではなくて愛情なんだろうけど…教科書やらなんやらで重くなるカバンが家から出る時点、学校初日の時点で重量マックスにされてたまるものか…重すぎて俺の肩が千切れるわ…あ、そんな時にすぐに駆けつけてくれるかかりつけ医のブザーが役に立つのか!なるほどね!ってなるわけがない!だってそのブザーが大量にあるせいで肩千切れてるんだからプラマイ0どころかマイナスに振り切ってるわ!!

「あ、あの…いい加減に…」

僕が怒りを顕にし、激おこになる前に冬夜さんがささっと父の元に行き、僕に聞こえない声量で耳打ちし、僕の方に戻ってくると父と母はしょんぼりとした顔で今まで入れてきたブザーや絶対に学校生活で必要のない防弾チョッキ等を僕のカバンから出してきて、空っぽで何にも入っていないすっからかんのカバンを渡してきた。

「海斗ちゃん…ごめんねぇ……ママ心配で…」

「すまない…海斗…」

本当に、ただの愛情で色々やってもらうと、僕の方が悪いように感じてくる。だけど…流石にこれ以上荷物を増やされては筆箱すら入らないただの邪魔な荷物になってしまう…でも、でもなぁ…

「旦那様、奥様。海斗様ももう高校生になります。心配かもしれませんが、過保護すぎるもの毒ですよ」

「うぅ…そうね。しろくまちゃんのいう通りだわ」

「だ、だが…防犯で一つぐらいブザーはあった方がいいだろ?色々物騒だから…」

「そうですね…最近は聞かなくなりましたけど、公道を戦車が普通に通行していた時期もありましたし…」

「え?戦車が公道を通行してた…???」

ブザー以上にツッコミどころしかないような話は流しそうめんのように簡単に流れていき、このままだと入学準備をしている間に夜が明け、ボロボロの状態で入学式を迎えることになる…それだけは断固として拒否する。そう思った僕は、カバンを受け取り自室で一人で準備をしようと話で盛り上がっている父母、冬夜さんに気づかれないようにささっと自室に逃げ込み、荷物を詰め始めた

「えっと…筆箱と事前に送られてきた書類、あと必要なものは」

「緊急連絡先等の重要書類と同封されていた学生証。事前記入の自己紹介シートですね」

「ハウワッチ!?」

物音ひとつ立てずに、僕の後ろにはさっき父母と話していたであろう冬夜さんが立っていた。地べたに座り込みながら荷物を入れていたものだから、見上げる冬夜さんの圧は普段と比べものにならないほどかかっていた…そして、僕はいい歳でありながら恐怖を覚え危うく漏らしかけた…

「旦那様から目を離さないようにと言われていたのですが…残念です…」

「い、いや…ほら。話してたし話を遮ってまで僕の準備を手伝ってもらうのはなぁって…」

さっき冬夜さんが言ってた通り…僕は高校生になるわけで、もう義務教育を終わった身でもあるし、入学準備ぐらい一人でできないと、逆にこれから甘やかされそうで、一人じゃ何もできないただの赤ちゃんになってしまう…それは僕としても嫌だ…

「一人でやるよりも、二人でやったほうが効率がよくて、忘れ物もなくなると思いますよ?」

僕と目線を合わせるようにしゃがみ込み首をこてんと傾けて、いつものにっこり王子様スマイルで、僕に二人で入学準備をするように訴えかけてきた…もしかしたら僕もだけど…僕の家族って冬夜さんの笑顔に弱いことがある?一瞬で考えを変えさせるぐらいの破壊力のある笑顔だからかもしれないが…

「冬夜さんと一緒に準備します…」

「それじゃあ、準備を始めましょう。筆箱の中身から始めていきましょうか」

「え、そこからなの?」

「全部が入ってるとは限りませんからね」

「はーい…」

乗り気ではなかったが、筆箱の中身から何までチェックリストを作りチェックをつけながら準備を冬夜さんとしていくのはミッションをクリアしていくようで楽しかった。

「あとは…自己紹介シートと書類をしまうだけですね」

「これぐらいだったら僕だけでできるから、そろそろ15時だしおやつの時間にしたい!!」

「そうですね。おやつはチョコパンでよろしいですか?」

「うん!チョコパンでお願い!!」

「それでは私は、準備に向かいますのでしっかりとしまってくださいね」

冬夜さんはおやつの準備をしに僕の部屋を出ていった。あとは書類が入ったクリアファイルと自己紹介シートが入っているクリアファイルを入れるだけ!!長かった…長かったけどチェックリストに全部チェックが入る!!クリアファイルをカバンの中にしまう前にリストにチェックをつけ、カバンの中に書類のクリアファイルをしまっていると、携帯が気になりおやつがくる前までいつものサーバーでしゃべって暇でも潰すかと思い、自己紹介シートをしまう前に携帯を開きいつもの雑談チャンネルに向かった。

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〜こちら、巣窟場 鯖 雑談チャンネル〜

【ぺんぺん さんがオンラインになりました】

ぺんぺん「やっほ〜みんないる〜?」

ゴーストレイン「私はいるんだぜ!?」

マッシュ「僕もいるぞ〜お」

ぺんぺん「他はいないのか」

ゴーストレイン「この季節だからね〜全員忙しいでしょ。」

マッシュ「つまり今ここでチャットしてる僕らはニートってことだね」

ゴーストレイン「はっ!?そうじゃん。つかニートじゃないし〜」

ぺんぺん「もうニートでも、ミートでもなんでもいいんだけどさ」

ゴーストレイン「よくない気がするんだが???」

ぺんぺん「明日の準備でもう疲れてもう寝たい…」

マッシュ「明日なんかあるの?」

ぺんぺん「うん、まぁ私用なんだけど…準備に手間取った」

マッシュ「乙」

ゴーストレイン「お疲れさまさまなんだにゃ〜」

【しろくま さんがオンラインになりました】

しろくま「ちっす〜」

ぺんぺん「あ!しろくま!!ヤッホー!!」

マッシュ「この時間って珍しいね。ここ1週間しかオンラインになってたけどコメントなかったし」

しろくま「まぁ、色々忙しくなってきてね。ログ読み返すのでいっぱいだったわ」

ゴーストレイン「ぺんぺんもしろくまもお疲れサマ〜」

マッシュ「と言いつつ、レインが入ってきた時も準備がなんたらって行ってたけどな」

ゴーストレイン「ちょっと、オカルト系のものの整理してたら疲れただけだよ」

しろくま「お前大丈夫?そのうち藁人形所持で捕まらない?」

ゴーストレイン「私の本質知っててそれいうのかしろくまよ」

しろくま「はーて、なんのことなんでしょうか」

ゴーストレイン「オカルト好きのビビりで悪かったな((」

ぺんぺん「まぁまぁ、そうカリカリせずに…」

【一獣の王 さんがオンラインになりました】

一獣の王「ヤッホー!!!!!!!!!!」

マッシュ「この状況を一瞬で変える奴が現れたぞ」

ぺんぺん「▽ 一獣の王 が 現れた」

ゴーストレイン「逃げる →煽る 我々 は 煽る を 連打した」

一獣の王「連打するなっ!!!!煽るな!!!!」

ぺんぺん「ひゅぅ〜う。ヘイヘイヘイヘイ!!!」

ゴーストレイン「ポンポンポンポン!!!!」

しろくま「ただの煽りじゃなくてどちらかと言ったらパリピなんだよな」

ぺんぺん「ヘイ!アイムパーリーピーポー!!」

ゴーストレイン「ふうううううううううう!!!!!」

マッシュ「まじでこの二人混ぜるな危険」

ぺんぺん「俺たちは」

ゴーストレイン「薬品だった!?」

一獣の王「今すぐ、酸性とアルカリ性の水溶液になって中和しろ」

しろくま「でもこいつら洗剤()」

一獣の王「あ…(察し)」

マッシュ「大丈夫。まだ塩素系って決まったわけじゃ」

しろくま「混ぜるな危険」

マッシュ「塩素系でした。今すぐ二人をBANします」

ぺんぺん「待って!!!調子に乗り過ぎたごめんっ!!!」

ゴーストレイン「BANだけは!!BANだけは!!」

マッシュ「まぁ、しないけど…」

ぺんぺん「神様仏様マッシュ様〜」

一獣の王「とりあえず、煽りは連打するな」

ゴーストレイン「すまんぬ…」

マッシュ「ぎゃああああああああああああ!!!!」

しろくま「え?いきなりどうしたマッシュ」

マッシュ「G!G!G !G!G!G!G!G!G!G!G!」

一獣の王「これはきっとあれだな。端末がぶっ壊れてキーボードがさらばしたやつだな」

マッシュ「馬鹿かお前は!!G!だよ!!ゴキブリ!!!」

ゴーストレイン「いつも虫の画像を投げてるくせにGで発狂するのかよ」

マッシュ「Gは全人類の敵だ。異論は認めねぇ。他の虫は友達以上友達未満だ」

ぺんぺん「早く退治しておいでよ」

マッシュ「無理。俺は、半径10kmGに接近すると強制的に失神する機能が」

しろくま「お前の部屋どんだけでかいんだよ。」

マッシュ「はっ!?あ、くぁwせdrftgyふじこlp」

ぺんぺん「あ」

一獣の王「はい、南無南無…」

ゴーストレイン「墓場には毎日キノコ持っていくね…毒だけど…」

しろくま「なんまいだー…なんまいだー…」

マッシュ「………母親に退治してもらった……」

ゴーストレイン「お疲れ様なんだにゃ…」

ぺんぺん「どうぞ、お茶です。」

一獣の王「お疲れ様なんだぜ…」

しろくま「おつ……」

マッシュ「ちょっと…Gで疲れて突っ込む気力もない…落ちる…」

【マッシュ さんがログアウトしました】

ぺんぺん「大丈夫かな…?」

ゴーストレイン「マッシュ…意外と打たれ弱いところあるからね…主にGに対して」

しろくま「Gに対しては誰でも打たれ弱いよ…」

一獣の王「なんか後ろからGの気配を感じるから落ちるわ()」

ぺんぺん「僕もなんか心配になってきた」

しろくま「俺もなんか…嫌な予感が…」

ゴーストレイン「頼むからまだ終わってない片付けの最中に出てこないで」

【一獣の王 さんがオフラインになりました】

【ぺんぺん さんがオフラインになりました】

【しろくま さんがオフラインになりました】

【ゴーストレイン さんがオフラインになりました】

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入学式の準備が終わり、一休みも兼ねていつものサーバーに向い、退出してきたのはいいがゴキブリの話で終わってしまったのでゴキブリができそうで謎の不安が僕を襲ってくる…そもそも僕は虫が大の苦手である…芋虫も無理だしおばあちゃんが作ってくれた、いなごの佃煮も無理だった…つまり…虫が苦手な人でもそうじゃない人でも苦手なゴキブリは僕にとって超ハイレベルクエストのボスとなんら変わりはない…こっちにデバフが付きまくってて、向こうには超バフが掛かっている状態である…つまり負けイベント中の負けイベントである

のだ…流石にこの家だし…掃除もメイドさんたちがやっているところは見たことあるし…なんだったらありがとうございますってお礼も見かけるたびにしっかりしてるし…だからこの家でゴキブリが出る確率は低いだろうけど…怖い、都会だから田舎に比べれればまだ虫は少ない部類のはずだけど…怖い。出てきたら半径10kmとか関係なく多分僕は失神する。もはや多分じゃなくて確実に僕は失神を超えてお墓に入るだろう。ゴキブリに怯えながらゴキブリ並みの素早さで、布団に引きこもり雷の日に怯える幼稚園児のようにガクガクブルブルと、震えていると僕の部屋をノックする音が聞こえた

「海斗様。おやつの時間です」

「部屋の前に置いておいて…今ビビってるから…」

「海斗様の好物と聞いているチョコパンをお持ちしたのですが…」

僕はふかふか布団から飛び起き、両親に買ってもらったもふもふのぺんぎんのスリッパを魔法少女ものの変身シーン以上に華麗に履き少々小走りで自室のドアを勢いよく開けた

「どうぞ!入ってください!!」

「昨日も私が開けるので部屋でお待ちくださいと行ったのですが…」

「あ、ごめん…」

少々気まずい雰囲気になってしまったが、冬夜さんを中に招き入れ、紅茶を入れてくれている間に僕は、お茶用の机と椅子を2つせっせと移動させてスムーズにお茶会ができるようにした。

「机や椅子も私が用意するはずなのですが…」

「1人でやるよりも2人でやったほうが効率もいいし、すぐにお茶会できるでしょ?」

僕がそういうと、冬夜さんは少しきょとんとした顔をした後少し微笑んでくすっと笑った

つい数時間前にどっかの誰かが言っていたを少し引用させてもらったことを思い出したのかもしれない。あれ?もしかして僕って恥ずかしいしイタイやつなのでは…?

「そうですね。すぐにお湯が沸くので座ってお待ちください」

「はーい」

多分数十万とする椅子に足をぶらぶらしながら座っていると、お湯が沸いて準備ができたのかポットとしろくまの絵柄のカップとペンギンの絵柄のカップを持って、本当に同世代なのか疑うほどの華麗な淹れ方でなんかそういう紅茶淹れ選手権的なのがあったら優勝できるぐらい華麗だなと素人ながら思った。

「紅茶淹れましたよ。それじゃあお茶にしましょうか」

冬夜さんは僕の向かいに座り、しろくまの絵柄のコップで紅茶を飲み始め、僕はおやつとして持ってきてもらった、チョコパンにかぶりつきやっぱり、パンはチョコパンだなと心で再確認しながらもぐもぐと食べていると、冬夜さんが少し、不思議そうな表情を浮かべて口を開いた

「それにしても…寂しいから一緒にお茶してほしいと言う人は初めてみました」

「ふぁんふぇ?」

「このようなお茶の場では使用人は参加しないのが普通だと思うのですが、海斗様は私と一緒にお茶を飲みたいと仰られたので、疑問だなと思っていたんです。」

確かに、僕がみてたアニメのお嬢様キャラのお茶のシーンとか執事とかメイドさんは後ろで立って見守っているというか護衛をしているというか…確かに一緒にお茶をしているシーンはなかったな。

「まぁ、確かに。僕の知ってるお嬢様・お坊ちゃまキャラは大抵1人でお茶してるしな…」

「奥様や旦那様についていた時も一緒にお茶をしたことはありませんし、今後一生ないと思っていたのですが」

「まぁ、ご飯とか食べるときに誰かいたほうが楽しいし、寂しくない?だって1人でご飯食べたってつまらないし、こうやって談笑することもできないし!」

「…さようでございますか」

ふっと少し笑うと、冬夜さんは紅茶を飲み進めた。まぁ、本当は高校に行って食堂だからそのときに相席になった人に人見知りを発生させて食堂から失踪しないようにするこっそり自主練なんだけどね…このこと冬夜さんが聞いたらどうなるんだろ…笑わないと思うけど、腹筋が崩壊するぐらいに笑ってもらったほうが僕としては気が楽だ…自分の自主練に惨めさを感じながらお茶を飲み進め、チョコパンもいつの間にか自分の胃袋の中に消え去っていると、16時を告げる時計の鐘が屋敷中に鳴り響いた。

「もうこんな時間ですか…もう少し楽しみたかったのですが、私はここまでのようです」

「あ、そっか。もう16時か」

冬夜さんも現役の高校生だから卒業をするために勉強は欠かせない、だから16時以降は勉学に励むために、メイドの佐藤さん《さとう》と入れ替わりが発生するってここにきた日の夕食後に僕に伝えられていた。もう少し冬夜さんと話したかったけど…いやいや、冬夜さんにも勉強がある。卒業というとりあえずクリアしないといけないものがあるんだ…それに、推しのこと最優先!だから僕がここで引き止めるわけにはいかない!

「食器は下げても大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。あ、でも食器を下げることぐらい僕でもできるからさ、だから冬夜さんは勉強頑張ってっ!」

「しかし…」

「いいの!僕がいいって言ってるんだから怒られたら『海斗様がそうおっしゃって…』とか言って大丈夫だから」

冬夜さんの背中をグイグイと押して廊下に行ってもらおうとしたが、あいにく僕の力では壁のような体をしている冬夜さんを動かすことはできなかった…高校生デビューの一環として筋トレでもしようかなと思わせるぐらい全く動かなかった。

「だ…大丈夫、だ、から…全然動かないっ…!!」

「あ、あの…海斗様、ですが私の仕事ですので…」

僕の情報量の少ない顔でふぎゅぅ…とボクガヤルノと訴えるような顔をしたが冬夜さんは僕を簡単に椅子に座らせてぱっぱと食器を回収し、部屋に設置されている簡易キッチンでピッカピカに洗って片してしまった…僕がやるって言ったのに…訴えたのに…あれかな目が見えなかったから僕のキラキラキュルルンピカピカおめめが見えなかったのかもしれない。次会ったときはしっかりと前髪をあげて冬夜さんを洗脳させるぐらいの眼力で訴えてみるか…

「それでは、私はここで失礼します。明日の朝6時に起こしにきますね」

「はーい…また明日ね」

「失礼しました」

ペコっとお辞儀をし、冬夜さんが僕の部屋を出ていくのと同時に僕の部屋は静まり返っていた。さっきまで話していたのに急に音がなくなるのは、通話の後のような静けさだった…

「まだ夕飯の時間じゃないし…佐藤さんもまだ来ないだろうし…いつものサーバーで暇つぶすか」

ふかふかのベットに身を投げて、携帯にダウンロードしているアプリからいつものサーバーにログインをし、佐藤さんがくるまでの間暇を潰すことにした

「この時間だからまだしろくまはいない…か…」

雑談チャンネルを開き、いつもの面々が他愛もないことを話しておりヤッホー!の一つでも書こうと思ったら僕の部屋がノックされた、きっと佐藤さんだろう。僕は携帯の電源を消し雑に布団に投げ捨て、僕はまた、来客のために部屋の扉を開けた。

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時はすぎ、翌日。今日は晴れ…ではなく雨だが晴れて入学式の日を迎える。今日から僕は高校生になるんだ!ラノベや漫画で見たあのキラキラとした高校生活は始まらないけれども、僕の高校生活は始まる。ワクワクとドキドキでようやく寝付けたのが4時ごろだったが僕は、冬夜さんに6時30ごろ起こされた。

「海斗様。まだ、髪の毛寝癖ついていますよ」

「これ寝癖じゃなくて…天パ…」

あっちらこっちら好き勝手に跳ねまくっている毛先を冬夜さんに直してもらっている間、僕は制服に着替えていた。僕の高校の制服はある程度の着崩しが許されていて、別にパーカーをきててもいいし、中に色Tシャツをきていても校則違反になることはない。だけど流石に入学式だからと昨日の夕飯の後、佐藤さんと一緒にネクタイの結び方を動画配信サイトで結び方講座的な動画を見ながら何度も試してみたが、できなかった…そして僕は今もどうにか結べないか試行錯誤していると、冬夜さんは黄緑色のパーカーを僕に差し出してきた。

「お節介かもしれませんが、パーカーはどうですか?着やすいですし普段部屋着にしているので学校でもリラックスできるかと思いますよ」

この先もしかしたら一生ネクタイを結べないかもしれない…それに朝寝坊することはないだろうが、寝坊した時にわざわざワイシャツを着てネクタイを結ぶのは正直めんどくさい。それだったらパーカーを着て、上からブレザーを着ればいいか。別に将来ネクタイを結ばないと…いけないけどそれは!未来の僕に任せるとして!!僕は渡されたパーカーを着て上からブレザーを着た。洗面所の鏡だから全身は見えないが、まぁいい感じだろう。オタクっぽさはそもそも前髪のせいで有り余るほど溢れているけれども、いい感じだろう。

「まぁ、これでいいか」

「いい感じですね。ですが…少しこっちを向いてもらえますか?」

「ふぇえ?」

調子に乗るなオタク野郎!ってビンタをされるのかと思ったら、冬夜さんは僕のパーカーの紐を少し引っ張りリボン結びにしてくれた。え?なぜリボン結び…???

「パーカーの紐を結んでおくと運動中や強風に吹かれてもフードが動かないようになるですよ」

「はえー。初めて知ったその豆知識」

「あと、カレーとかが出た時に邪魔にならないとかですかね」

「確かに、紐がカレーの中に入った時は気分下がるし」

「邪魔でしたら紐とってしまっても大丈夫なんですよ?それだったらフードの意味もあまりないのでスエットに変えるものありですが…」

「それは大丈夫、僕のATフィールドとして大活躍する予定だから…」

「さようでございます」

はっちゃけながら身支度をし、ズボンをパジャマから変え忘れていることに気が付き急いで履き替えて、朝食に向かうといつもと同じように父母が先に座っていた

「いつも以上に早いね」

「だって今日は、海斗ちゃんの入学式だもの。たっちゃん、しっかり動画とってね」

「任せておけ。私だけではなく撮影隊を昨日のうちに編成したからな」

「「はっ!!」」

父が指を鳴らすと、どこからともなく超高性能のカメラやなんだったらレフ板を構えているメイドさんや執事さんが現れ、一応変装をしてはいるが…どこからどうみたって文集の記者にしか見えない…行ってしまえばほぼパパラッチに近い格好をしている。そんなやつら入学式にいるかっ!!どう考えたって目立ってるし、変装するんだったらもっとマトモな変装をしてくれ

「ハハハハハ……パパラッチかよ…」

苦笑いしかできない僕を放置し、朝ご飯が運ばれてきたが、ほぼ味はせず緊張とこの父母とパパラッチ軍団が暴走まがいのことをしないことだけを願った…

「行ってらっしゃいませ、海斗様」

「行ってきます!冬夜さん」

「あ、一つ忘れ物を」

そう言われ、冬夜さんから手渡されたのは父と母が入れようとしていた防犯しすぎるブザーだった。なんでこれを冬夜さんが持っているんだ???

「冬夜さんこれって」

「ブザーを一つ奥様から渡されていたんです。なのでこれをそれに…大企業の息子というだけでも色々巻き込まれそうですし」

「そっか…ありがとう。しっかり持っておくね」

「ありがとうございます。それではお気を付けて」

「はーい!行ってきまーす!」

ブザーをカバンの内ポケットにしまい僕は冬夜さんに見送られ、僕は当たり前のようにリムジンに乗り込み5分もかかる長ったらしい道を進み続け、そのまま何事もなく学校に付き父と母は入学式参観の手続きをしに行き、僕はクラス表を見て自分のクラスに向かうことになった

「えっと…僕のクラスは1-Aか。なんで1年生は3階なんだよ…」

校舎の最上階を目指すために階段をひたすら登り続け、ようやく3階についた頃には日頃運動をしていなかったせいでゼハゼハと酸素不足になっていた。ここまでとは思っていなかったが…もう肉体年齢だけ還暦を迎えているかもしれない…いや、もしかしたら一周回ってゾンビになっているかもしれない…

「無理…毎日階段登りはきつい…死ぬ…運動無理…」

生まれたての子鹿並みに震えている足を動かして1-Aと書かれている教室を見つけそそくさと教室に入り込み、自分の名札が置かれている窓側の一番後ろの席に急いで座って、現実逃避を始めた…さっきまでの慣れた感じは遥か彼方へと消えてゆき、完全にただの陰キャ・なんか教室の隅にいたようなやつ・誰そいつ?ルート確実の状況になってしまった。ようこそ僕の地味すぎて逆に黒歴史と化する高校生活…さらばキラキララノベ系高校生活…現実逃避をしながら筆箱やら必要な書類を先に出しておき後でドタバタとしないようにしていると僕の前の席の人がやってきた。

「うぉぉぉぉぉぉお!!今日から高校生だ!!友達できるかなぁ〜?テスト大丈夫かなぁ〜?」

まるで小学一年生のようにウキウキしながら席に座った人物は、頭は金髪、ブレザーは腕をまくっており、中には赤い色のTシャツをきていて僕の中の第一印象はヤンキー・不良といったものだった…僕、もう高校中退したいんですけど…無理無理無理無理無理無理。まだ一学期だろうからここの席だろうし…グループワークとかになったら確実に同じ班に…

「ぎゃああああああっす!!!無理!!!」

僕の心の声は気がついたら外に出てしまっていた…それもそれなりの声量で…多分廊下にいたひとがびっくりするぐらいの声量で僕の心の声は漏れてしまった。

「あ…っ、」

「んぉ?どうした?」

僕の前の席の人物がこっちを振り返ると同時に僕は頭を机に思いっきり叩きつけて、ごまかした…いやどう考えても誤魔化せてないし奇行にしか思えないし奇行しか起こしてないけどとりあえず僕の中ではごまかした

「ちょっ!大丈夫かお前っ!?」

「全然だいじょ…ばないです…」

「だよなぁ!?保健室行くか?それとも早退するぅ?」

「うんうん…大丈夫…それ以上に僕のことを認識しないで…虚しくなるから…」

いきなり叫び出していきなり頭を叩きつけるような僕に優しくしないで、勘違いしちゃうじゃん…まぁ、しないけど。あとさっき『友達できるかなぁ〜』って言ってたけどこんなやつに優しくできる君は確実に友達100人以上できるから安心して、僕のいうことだからあんまり信用性は薄いかもしれないけど安心して。とりあえず安心してくれ

「虚しくなるって言われてもよぉ…あ!じゃあわかった!俺と友達になればその虚しさ消えるんじゃねぇ!?」

「は?」

前言撤回、こいつは優しいのではない。多分バカだ。いや…バカというよりアホの子っていう方がこの人にはあっているような気がする…というか僕は初対面の人になんていうことを考えてしまっているのだ。普通に人間として失格すぎる…

「だって、虚しいって確か空っぽとかの意味だろ?だったら俺が友達になれば万事解決っていうわけ!おまえの問題もこれで大解決!!」

「いや、解決じゃないだろ」

「え?なんで?」

「なんでって…あぁ…うん、そうだね…万事解決だね…」

僕は簡単に思考を手放した。理由は簡単だ、多分この後どんだけ説明しても『ふぇ?』っていう回答しか返ってこない未来が見え見えでだからだ…まぁ、でも僕もぼっちにならずに済むわけだし…最悪今日だけフレンズっていうだけでも友達がいたという結論だけは残っているわけだし?僕の脳内にだけだけど…

「そういえば名前、なんていうのぉ?」

「え、あ、僕は北鳥海斗きたどりかいと。よろしく」

「俺は東堂大牙とうどうたいが!よろしくな!!」

「東堂さんか、よろしく」

「東堂さんじゃなくて大牙な!同級生なんだし友達なんだし!」

「それじゃあ…よろしく大牙!」

「えへへ。はっ!俺、友達できたぁ!!やったー!やったー!!!」

僕の手を取りクリスマスの日にプレゼントをもらった子供のようにはしゃぎまくり、僕の腕はブンブンと上下に振られ、血管に血が行かなくなるところだった…うん、やっぱりこの人はバカというよりアホの子なのだろう…

「海斗は普段何してんのぉ?ゲームとか?」

「まぁ…ネッ友とゲームしてたりするかな…」

「まじか!!俺もネッ友とゲームするんだよねぇ、まぁ…フレンドリーファイアで殺されるけど」

「あぁ〜。わかってしまう」

「だよな!?特にいい感じに立ち回りできててよっしゃ!敵陣に突っ込め!!っていう時によく殺されるから許さねえ!!ってなるけどねぇ」

「そのネッ友と縁切った方がいいと思うんだけど…」

「大丈夫大丈夫。そのあとによく『超ガーデンマニア』っていうひたすら花を植えていくゲームやるんだけど、そこでお邪魔で虫が出てくるんだけどそれで泣き叫んでるから俺はOK☆」

「マジで?あの『超ガーデンマニア』やってるの!?お邪魔の虫が無駄にリアルなやつ」

「そうそう!あの無駄にリアルな虫のやつ。つかお前もやってるの!?」

「僕も定期的にネッ友とやることが多くてさ…いつも誘ってくれる子に一回も勝ったことないけど」

「あのゲーム。謎の中毒あるかなぁ、気がついたら3時だったこともあるし」

「わかる、ただ掘って・種埋めて・土被せて・水をあげるだけなのに謎の中毒がある」

大牙と謎の共通点を見つけ、僕たちは入学式の段取りの説明が始まるまで、仲良く『超ガーデンマニア』について話していた、学校終わったらいつものサーバーで『あのゲームやってた人が居ったんだけどwww』的な感じで話に行こうかな〜あ、でも。絶対疲れて寝落ちる可能性があるから明日とかになりそうな感じがするけれども…初日から現実逃避していたはずがいつの間にかワクワクのドキドキに移り変わっていると、入学式が執り行われる時刻になり、僕たちは体育館に向かうことになった…またあのクソ長い階段を昇り降りしないといけないのか…しんどいしワンチャン保健室送りになる確率1000000%…

「ほら、行こうぜ海斗」

「うん、行こうか」

まだ回復しきっていない足を動かして、廊下に整列し安定の階段を降り早く席につかせてくれと思いながら入学式会場に向かうと、昨日父が結成していたパパラッチ集団があちこちに隠れているようで隠れられてない状況でシャッターを押しまくっていた。どう考えても他の生徒に迷惑だし、機材濡れるからせめて体育館内で隠れるとかなかったのか…

「なんかすんげえカメラマンいるねぇ」

「ハハハハハ……ほんとな…」

家に帰ったら父母とパパラッチ隊の皆さんにクレームを入れるとして…僕はパパラッチ隊を無視し、体育館の中に入っていくとたくさんの保護者とこの日のために飾られた内装があり、ステージに近い場所には新入生の席と思われるパイプ椅子がたくさん並べられており、僕たちは着席し、入学式は始まった…

「えぇ、我が私立氷海高等学校しりつひょうかいこうとうがっこうに入学してきてくれた諸君。。。」

安定の長い校長の話が終わったかと思ったら今度は理事長と言われる人が登壇し、話を始めた…長いんです。超大切で超人生に生かせる話だと思うんですが…とりあえず話が長いんです。多分今の全体の80%ぐらいカットした方が生徒も首がガックガク寝落ちないようにしながら聞くよりもいいと思うんですよね!?というか…もう僕の隣に座っている大牙は…

「zzz……うぅ…姉ちゃん…俺にスカートを履かすな……zzz…」

完全に夢の世界へレッツラゴー!してしまっている…起きろ大牙…式典だぞ〜人生で一回しかないと思われる高校の入学式だぞ〜起きないと将来同窓会で黒歴史として話されることになるぞ…

「うぅ…みゅ…zzz」

だめだ、完全に夢の世界の住人と化している…こいつ、やっぱりただの馬鹿だ、ただのアホの子だ…隣のやつが寝ているある意味特別演出が起きているまま、式典は続いていき各クラスの担任紹介になった…頼むから怖い人じゃありませんように…陰キャにも人権を持たせてくれる先生でありますようにっ!!

「1-Aの担任教師は、六井侑斗むついゆうと先生です」

「は〜い。よろしく〜」

僕のクラスの担任の先生になる人は、やや暗めの青髪、左目にかかるかかからないかまで伸ばされた前髪、だらっと着崩された白衣、黒縁のメガネ、そして微かに感じる殺意…なんだろうこの違和感…普通の教師の教師とは違った明らかな差が…僕は、その何かを本能的に察知した。

「主に科学の授業をもってるんでよろしく」

ふぇにゃ〜んとした挨拶をし終えると次のクラスの担任の紹介になった。僕はなんとなくだけど…あの先生はなんかあったような…というか何かをやってきた人物にしか思えない。まぁ、僕のなんとなくだから確証はほぼ0%に近しいような気もするけど…

「うぅ…無理…もうマジで腹おわ…zzz」

「おーい…いい加減起きろよ…これから点呼的なの始まるぞ…」

軽く大牙の肩を揺さぶり、大牙は垂らしていたよだれをポケットにしまっていたハンカチで拭き、ようやく起きた。もしも教師に見られていたら終わった後に職員室に初日からお呼ばれだよ…

「それでは、最後に在校生から言葉です。在校生代表、2-D日向幽奈くんです。」

在校生代表であろう、先輩はステージに登壇すると同時に新入生も新入生の親もざわざわするほどの可愛さを持っている人物であり、一瞬お人形さんと見間違えるほどの美しさ?麗しさ?というものを感じつつも、肝心のスピーチは右から左へ状態だった…そして大牙が寝落ちるアクシデントとパパラッチ隊以外特に変なことも起きないまま、担任の先生についていく形で入学式が終わった……そしてまたあの階段に足をつけた時、僕は…僕は…

「あっ…」

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海斗様が高校に向かわれて早1時間。さっきからパパラッチ隊が撮った写真がパソコンにどんどん送られてくるので、俺はそのファイルの整理をしながら海斗様の部屋を掃除していた

「マジで…どんだけ撮ってるんだよ海斗様すら映ってない写真も送ってるんじゃねえよ…」

ぐちぐちと文句の1や100個呟きながら、掃除をしていると、机に一つクリアファイルが置いてあった。昨日しっかり確認しながら荷物の準備をしたはずだから忘れ物のはずが…手に取り中身を確認しているとそれは事前に記入し入学式後に回収をする自己紹介シートだった…これは…完全に忘れ物だ。俺がいながら初日から忘れ物をさせてしまうとは…しかし後日となると海斗様が気にしているであろう好感度等が激落してしまう…そうなってくると専属執事として俺ができることは…たった一つしかない!クリアファイルを持ち、掃除途中のものをある程度片付けた後俺は、小走り気味に執事長の父親の元に向かい、海斗様の忘れ物を届けることを報告した

「はぁ…」

「すみません…私の不注意です」

「届けにいくのか?」

「今日回収なので、届けに行こうかと」

「なるほど、ならこちら側で学校側にアポを取っておこう。お前は早く支度しなさい」

「ありがとうございます」

深くお辞儀をし、急いで自室に向かい身支度をすることにした。流石に執事服で学校に向かうことは海斗様がびっくりするだろうし、俺の立場になった時も嫌だから普通の旦那様と奥様からもらった服に着替え、どこにでもいるような普通の高校生の格好にした

「流石に…眼帯をしていくか…それともしていかないか…」

机の引き出しにしまっている眼帯とガーゼを取り出し、左目を隠していこうか悩んでいる時間も惜しく、俺は眼帯とガーゼを机の中にしまい、なんとか見えないように前髪を整え、海斗様の自己紹介シートをカバンにしまい雨の中海斗様の通う学校に走って向かっていった

============================

「おい、海斗大丈夫かぁ!?」

また3階に登るために階段の一段目に足をつけたところで子鹿脚にも限界がきて、僕は前を歩いていた大牙をつかむ形でずっとこけた…もうやだ恥ずかしい。僕を見ないで…僕を見ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

「もうやだ…」

「登れるかぁ?無理?」

僕に掴まれても体幹がよかったのか道連れにされなかった大牙は僕の頭をまるで小さい子をあやすようにぽんぽんと撫でた…やめて…やめてくれ…こんな惨めなことを起こしてる時点で恥ずかしいのに同情するような行為はやめてくれ…本格的に僕の心が持たなくてしまう…

「大丈夫?おんぶするか?」

「うぅ…大丈夫…登れるし…」

「そっかなら後ろからゆっくりでいいからついてきなよぉ」

「うん…そうする…」

後ろが詰まっていることに気づいた担任の先生が下に降りてきて他の生徒を先に行かせ、最後のクラスが階段に登った後に一緒に長ったらしい階段を登ってくれた

「大丈夫かお前」

「はい…多分大丈夫です…多分…」

「多分ってお前…明日からこの階段毎日登るんだぞ?」

「登山グッズ持って踊り場で休みながら登ります…」

「登山って、こんなの登山って言ってたら砂場の山でお前死ぬぞ」

手すりを伝いながらガクガクで子鹿をも越えた足を動かしながら先生とくだらない会話をしながら登っていると、気がついたら2階まで来れていた。やった!あと少しで頂上だ!!これでようやく僕はこの登山生活とおさらばできる!!

「頂上だっていうけど帰る時には降りるからおさらばできねえぞ」

「はっ!?っていうか先生。僕が考えていることを…」

「なんとなくだよ。なんとなく」

「なんとなくで綺麗に当てられますね…」

疑いしか持っていないが、ガクガクの子鹿以下の足を動かしながら先生に補助してもらいつつ、なんとか3階にたどり着くことができた…長すぎる…たった3階に登るだけで10分以上立ってしまっている…これは大戦犯だ…絶対にクラスの人たちから白い目で見られる、お前のせいで教科書とか取りに行くのが遅れたとかなんちゃらかんちゃらって言われるんだ…事実だから否定のしようがないっていうのが僕の心にグサッと刺さる…

「お…遅れました…」

教室のドアを開け、物理的に小さくなっていそうなぐらいボソボソとした声で教室の中に入ると、クラスの人が全員僕の周りに一斉に集まってきて、集団リンチにでも会うのかと身構えていると思っている反応とは違い、僕を心配する声がたくさん寄せられた

「お前、大丈夫だったか?階段登れたかw?」

「北鳥さん。足大丈夫?疲れてるんだったら早く席に付きなよ?」

クラスの人たちが僕に心配しているとそれをかき分け…というよりかはタックルをするように大牙が飛んできて、僕はその勢いと体格の差で思いっきりバランスを崩し、地面にぶっ倒れた。まるで大型犬がご主人に構ってもらいたくて飛んでくるような感覚に僕はなった…大型犬飼ったことないから本当はどんな感じかよくわからないけど、多分こんな感じだろう

「海斗ぉぉぉぉ!!心配したんだぞぉ!!!」

「ちょっ…重いってっ!!!!」

頭をぐるぐると僕に擦り付けてきて本当に犬が甘えるようにしてきて僕が解放されたのは他のクラスメイトの人が大牙と僕を引き離した時だった…体感では1時間ぐらいぐりぐりされたような気がするが実際は2分程度ぐりぐりされただけだった…

「ご、ごめん。3階まで登ってこれないと思ってたからさぁ」

「それは僕を貶してるの?それとも心配してるの?」

「うーん…多分後者かな!!」

そこで多分がついてしまっている時点で僕の心のHPはマイナスに簡単に振り切られ、先生に席に着席するように言われ、全員が席に座ると同時に僕はまた机に頭を落とした…

「それじゃあ、少し遅れたがHRを始めるぞ。まずは提出する書類類と事前に書いてもらった自己紹介シートの回収からするぞ。一番前の席のやつが枚数確認して回収して教卓に持ってきてくれ」

そう言われ、僕は入学式が始まる前に机の中にしまっておいたクリアファイルを取り出し重要な書類と自己紹介シート………クリアファイルを確認するが自己紹介シートだけが入っていない…なんで!?昨日冬夜さんと確認しながら入れてたから絶対に入っているはずなのにもしかしたらカバンから取り出していないかもしれないとカバンをみるが入っていない…サイドのポケットやカバンのありとあらゆるファスナーを開けて中を確認するが自己紹介シートだけどこにも入っていない…終わった…

「書類と自己紹介シートを渡してください」

一番前の席に座っていた、藍色のおかっぱ頭でメガネをかけていていかにも優等生そうな人が僕の席にまできてしまった…どうしよう、とりあえず大事な書類は渡すとしても、自己紹介シートだけないんだよ!!

「どうかしましたか?」

「いや…その…あの…」

挙動不審になりながらもどうにか自己紹介シートが僕の手元に召喚されてこの場を切り抜けられる中学生がしそうな妄想をするがここは現実、そんなことが起こるはずがなく…

「すみませんっ!!ここに北鳥海斗さんはいますか!?」

教室のドアが勢いよく開けられ、クラス全員の視線が向けられた方にはゼハゼハとしながらも急いで駆けつけてくれたであろう僕の専属執事様…冬夜さんがそこにいた。………え!?なんで冬夜さんがここにいるの!?

「君は誰かな?不審者だったら追い返さないといけないんだけど」

「失礼しました。私は北鳥海斗さんの執事をしています熊和歌冬夜くまわかとうやと申します。海斗さんが忘れ物をしたので届けに来ました」

僕はまだ子鹿状態の足を動かして入り口に立っている冬夜さんの元に行き、自己紹介シートを受け取ったと同時にクラス全員の視線が僕に向けられた

「「え…?北鳥さんって…お坊ちゃんなの!?!?!?」」

クラス全員の声が見事に一致していた。こんな見るからにオタクで、3階までの階段も昇り降りがすることができない陰キャ野郎が専属の執事様がいるようなお坊ちゃんには到底見えないこれはいわゆるギャップ萌えっていうやつに分類していいのだろうか…いやしてはいけない気が100%ある…何にも萌えないし……

「ふ〜ん…そうなんだ。とりあえず忘れ物受け取ったら席に座れよ」

「え、あ、はい!」

冬夜さんに謝罪をされたが、悪いのはあの準備の時に後で入れればとりあえずオッケ〜って緩くしていた自分のせい…だから大丈夫だと言ったが冬夜さんは申し訳なさそうにしていて家に帰ったら土下座をして超謝ろうと思いながらひとまず感謝の気持ちを伝えて冬夜さんは父と母の方に合流することになり僕は、席に戻った。そして…クラスはざわざわしていた…

「書類と自己紹介シートはありましたか?」

彼女はさっき明かされた事実に驚く様子もなく僕の書類と自己紹介シートを回収した

「お、驚いたりしないの…?」

「まぁ…父から聞いた話に比べればマシですかね。それに…」

彼女はそういうと、担任の先生の方を一瞬向いた…一体何が『それに…』になるのだろうか…まぁ、僕がそれを知ることも聞くこともないのだろうけれども…

「忍切さん《おしきり》。回収できたら持ってきてきてね〜」

「はい」

忍切さんと呼ばれた彼女は僕の書類とシートを回収し教卓に置き席に座った

「は〜い、それじゃあ今日回収するものはこれで回収できたのでHRは終わりだ。明日から1週間は午前授業だけだが、来月には交流会改めオリエンテーションが行われる。それまでの間に友達100人作っておけ、では今日はここまで」

ゆる〜くHRを終わらせて、あとは終礼をしたらあの階段をまた降って帰らなきゃいけないのか…?無理、明日も学校あるのにもう階段降ったら明日筋肉痛でベットから降りれない…

明日自分の足が死ぬことに絶望していると大牙が僕の席の方を向いた。

「なぁ!!さっきのやつって本当に羊!?」

キラキラとした目で僕に質問を投げかけてきて、僕の心は救われているような救われていないような感覚になった…あと”ひ”から始まったらそれは動物だからモコモコの動物になるから、”し”からだよ”し”つじ!!

「いや…羊じゃなくて執事な?それだとモッコモコになっちゃうから」

「あ、そうそう。その執事?っていうやつ。なんでお前のところにいるのぉ!?」

「えっと…うーん…」

なんと説明したらいいのかよくわからない…ここで『僕の家がお金持ちだからさ!さぁ、ひれ伏せ愚民がっ!!』なんてするキャラでもないししないし…だからと言ってのらりくらりとかわせるはずもなく…僕はそのままの事実を話すことにした

「えっと…僕の家がまぁ…その…いわゆるお金持ちっていう分類に入ってて…それで家もアホみたいにデカくて…それでお手伝いさんとして使用人のみんなを雇ったりとか、僕、今年になってからその馬鹿でかい家に色々な問題があって戻ったからあんまり詳しくはわかんないけど…」

しどろもどろで目線が完全に机の方向を向きながらベラベラと話したけれども…これは回答になっているのだろうか、いやなっていない可能性の方が絶対に高い!!

「つーことはよぉ…」

入学式の前に話した時のおちゃらけた声からガッツリ声のトーンが下がっており、本当はただのアホの子じゃなくて、真面目にヤンキーだったんじゃないのかと思うほどの圧をかけられると同時に僕の両肩をガシッと痛いぐらい掴み何かブツブツ言っているとテンションが一気にぶち上がった

「つーことはよぉ…お前の家、毎日シャケ食い放題ってこと!?!?」

「え?」

テンションの落差で耳が死んだような気がしたがまぁ、それは気のせいであり、さっきまでの怖いオーラはいつの間にか大型犬モードに切り替わり小学生のようにはしゃぎまくり周りから完全に「こいつ…うるせえぇなぁ…」っていう目を向けられていても遊園地にきた子供のようにはしゃいだ

「俺!シャケが超超超超超超超超超超超超超超超超超超大好きで!!シャケだけでご飯5合いけるぐらい大大大大大大大大大大大大大大大好物なんだぁ!!!」

「は…はぁ…」(もはやそれはただの米好きなのでは……)

「まぁ、家でシャケは月に1回しかかーちゃんが出してくれないからいつもシャケフレークで我慢してんだぁーまぁ、うまいからいいんだけどね!あ、なんだったら明日おにぎりして持ってこようかぁ!?あ、潔癖症とかだったらあれか」

少々…いや結構ぐいぐいと話を進めていくが、まだあって半日も立っていないけれどもそれが大牙のいいところなのかもしれない…そして明日は午後休だからお昼の時間はないよ!?

「ふふっ、ありがと。でも明日は午前中だけだから来週おにぎり作ってきてくれる?」

「マジで!?よっしゃ!100個作って持ってくるから覚悟しておけよぉ!」

「100個は多すぎるから1個とかでいいんだけどぉ…」

「えへへへへ」

「お前ら、終礼始めるから席に座れ」

「「はーい」」

全員が席につき、明日の予定や持ち物の報告など軽く話が進んでいき、終礼は気がついたら終わっており、速攻教室から出ていくものや、僕が階段を登っている間に仲良くなったであろう人と連絡先を交換するなどそれぞ時間が許す限りそれぞれ放課後を楽しんでいた。

「なぁなぁ!俺らも連絡先交換しない?」

「え?あぁ、うん大丈夫だけど…」

アイコンがただ自分で描いたキメラにしか見えないペンギンなだけだから別に構わないし…

あっちのサーバーで繋がらなければ僕のここでのキャラが崩壊することはまあそうそうないだろうし…これぐらいだったら別に過保護すぎる父と母も大丈夫だよね?あ、でも後であった時にびっくりはされそうな感じはするけれども…

「よっしゃ!じゃあこれでオッケーだな!!お前はこの後親と一緒に帰るのか?」

「そうだね…僕の両親、過保護だから一緒に帰るかな」

「そっか〜、帰る方向同じだったら一緒に帰ったのに」

「ごめんね」

申し訳なく思いながら、そろそろ合流でもしようかと考えていると隣のクラスも終礼が終わったのか帰る人が廊下に出始めたと同時に僕たちのクラスに闘牛並みのスピードで入り込んできて、僕の席の列の一番前の席、忍切さんの席に向かって走り込んできた生徒は入ってきたと同時に泣き叫んでいた

「なんで高校でも桜乃と違うクラスなのおおおおおお!!!呪いだ!!祟りだ!!陰謀論だあああああああ!!」

「ちょっ陽子!!終わって早々私にくっついてこないでよ!!!」

何かオカルトチックなことをギャーギャー言いながら忍切さんに引っ付いているのはおそらく隣のクラスで中学校がおあんじだt友達であろうと推測していると情緒が不安定なのか、いきなりケロッとし新しい部活動を作るんだ!!と言いながら忍切さんにずるずると引きずられる形で教室を出て行った

「嵐みたいな子だったね…」

「なーすごかったなあいつ」

突如現れた嵐のような存在に驚きを通り越して呆れしかなかったか、母から連絡が来て僕もそろそろ教室を出ようとすると「俺もいくんだぜぇ!」と大牙も一緒に教室を出て校門のところで別れることにしたが…別れるよりも前に僕の両親と合流し案の定心配された…

「海斗ちゃん…その」

「………海斗…?」

確かに…一見ヤンキーにしか見えないし、こんなオタク陰キャ野郎と並んでたらなんかカツアゲされて強制的に友達にされたように見えるかもしれないが…別にそういうことはない。というかなんだったら僕の方がカツアゲまがいのことをシャケおにぎりでやったから人のことを言えない…

「おぉ!この2人が海斗の両親?」

「うん、そうだよ…」

「あ、どうも初めまして!!海斗の前の席の東堂大牙って言います!海斗と仲良くさせてもらってますぅ!!」

圧倒的なコミュ力の塊すぎて隣にいる僕が浄化されそうになったが、大牙はニッコニコすぎる笑顔と握手で一瞬で僕の両親の心を掴んだ…掴み切った

「よかったわ、海斗ちゃんにお友達ができて」

「あぁ、よき友人ができたんだな海斗」

母は号泣し、父はうっすら涙を浮かべていた…おい待て、まだ友達ができただけだぞ?そのうちできる…かはわからないけど彼女とか連れてきた場合はどうなるの?湖が形成されるの?あ、でもその前に脱水症状起こしてすぐピーポー案件か…いや、だとしてもその可能性を否定しきれない僕の両親って一体どうなってんだよ…

「ちょっとなんで号泣するんですかぁ!?ハンカチ持ってるんでどうぞ使ってくださいっ!」

ブレザーのポッケに入れていて、ライオンの刺繍がされているハンカチを母に渡していた…やっぱりこいついいやつなんだよな…アホだけど…どこが唯一の欠点のような気がするけど致命的な欠点な気もするけどっ!いいやつなんだよなぁ

「本当にいい子でママ感激だわぁ!これからも海斗と仲良くしてちょうだい」

「海斗のことを頼む」

「もちろんですぅ!海斗と仲良くさせてもらいますぅ!」

ニッコニコで完全に当事者置いてきぼりの状況になっているが…まぁ、もうそれは慣れたからいいと…したくないけどいいとして…

「大牙、帰らなくていいのか?」

「あ!そうじゃん。俺帰ろうとしてたんだぁ!!それじゃあ俺はここで、よろしくお願いしますぅ〜」

そういうと大牙はニコニコと手を振りながら裏門の方に向かって行った。きっと本当は校門側じゃなくて裏門側が帰り道だったのだろう…なんていいやつなんだ…

「あ、どうしましょう。ハンカチ私が持ってるけど…」

「洗濯して後日菓子折りを持ってお礼をしなくてはな」

なんか大事になりそうだなと不安に思っていると体育館に探し物をしていたのか体育館の方から冬夜さんが出てきた。

「奥様。体育館の方にこちら落ちてましたよ」

「あらぁ、ありがとうしろくまくん」

母は冬夜から探し物を受け取ろうとした時、僕の目にそれは入ってきてしまった…それは…僕が小1年生の時に母の日のプレゼントとして作ったカーネーションのブローチだった。ブローチと言ってもただ折り紙で作ったカーネーションにセロハンテープでクリップを固定しただけだから本当にそれをブローチと言っていいのかわからないけど…とにかく!!僕としては恥ずかしいし、なんでそんなもの持っているんだ案件なのである…

「ちょっなんでそんなもの持ってんだよ!!」

「なんでって海斗ちゃんが大切にしてねって言ってたから」

「(声にならないほどの恥ずかしさと叫び)」

今この場に大牙がいなくてよかったと思う…だって、大牙がこの場にいたら流石にあのアホの子でも、引かれて俺の思い出フレンズになるところだったし…不幸中の幸い…いや、過去の俺を呪いたい…呪ってやりたいっ!!

「旦那様と奥様、海斗様。雨足が強くなってきました。パパラッチ隊はすでに撤収させているのでここは帰りましょう」

冬夜さんがそういうと雨はさっきよりも強くなって、僕たちは急いで学校から離れたところにある私有地に止めたリムジンに乗り込んで家に帰っていった。明日からは今リムジンですぐに動いて行ってしまう景色を歩いて学校に登校していかなくてはならない…父と母は危ないからと言ってリムジン以外の車に乗せて通学させようとしたが…入学式が行われる1週間前から僕の運動不足すぎることがバレて結果的に歩き、たまに自転車ということになった…歩きで30分前後、自転車で15分前後、リムジンで10分前後。する予定のない遅刻をしそうになったときは恥じらいも捨ててリムジンで登校するのが…というか恥じらいを捨てるから毎日リムジンで送り迎えしてくれ、僕のお小遣いから運転手さんの送ってくれてありがとう代は出すからさ…というか僕は明日学校に行けるのだろうか、そもそもベットから降りることができるのだろうか…いや…無理だろうな…明日崩壊する予定の足の心配をしつつも、自分がこれから毎日通うことになる道を見ているといつの間にかあの長ったらしい玄関までの道をもすぎて気がつけば玄関前だった。

「今日は疲れたでしょ?お風呂でも入ってゆっくりしなさい」

「明日から学校だ。気を緩めるなよ」

「は…はーい」

明日足が死にそうなことしか考えていなかった僕だったが、冬夜さんと一緒に自室へ向かい制服を脱ぐこともなく即ベットにぶっ倒れた。

「海斗様。お召し物がシワになってしまいますが?」

「無理…もうマジで動けない…」

「明日、登校する際にシワシワの制服でクラスの方々に笑われてしまいますよ?」

そう言われると僕は目にも止まらなぬ速さで着替え、いつもの中学の上ジャージ、短パンに着替え制服は畳まれることなく床にぐしゃっと落ちた

「よーし…これでオッケ〜。もう寝る…疲れた…」

「海斗様…制服を畳むまで寝かしませんよ」

「無理ぃ…ベットから降りる気力もない〜。冬夜さんが畳んで置いておいて…」

そう言いながら布団の住人になろうとした瞬間、布団を取り上げられた…

「貴方が甘やかされる赤ちゃんは嫌だとおっしゃっていたじゃないですか」

「うぅ…でも疲れ…」

「赤ちゃんになるんですか?」

うぅ…赤ちゃんになるのは嫌だぁ…でもこのまま幼児退行すれば………一気にトラウマが蘇り足を少々引きずりながらも渋々パーカーを畳み、ブレザーとズボンをハンガーにかけて、ベットから一番近いクローゼットの中にしまった

「これで終わり…寝る…」

「そうですね。お疲れの様子に見られます」

冬夜さんは僕のもやしボティーを最も簡単に持ち上げ、ここから先は寝ぼけていてあんまり覚えていないけれども、お姫様抱っこのような持ち方でベットに運ばれ、僕は寝かされた

「夕食の時間になったら佐藤さんがきますからね」

「うぅ…ん…わかっ…たぁ…」

「それでは。」

「待って………」

僕は寝ぼけながら冬夜さんの服の裾を掴んだ…忘れ物のこと謝らなくては、もう時期寝落ちてしまいそうな中、もうほとんど閉じている目を開き、冬夜さんにお礼をする…

「忘れ物…ごめんなさ……届けてくれて…あり…が………」

最後までいうことなく僕の瞼は閉じてしまった…そして寝落ちる時に聞こえてくる冬夜さんの声…やっぱりどこかで聞いたことのある声…まるでここで出会う前に、一緒にゲームをしていた…いや、気のせいだろう…

「おやすみなさいませ。海斗様…」



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