僕は王道を行けない
化狸 おたち
プロローグ
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〜こちら、
【ぺんぺん さんがオンラインになりました】
ぺんぺん「ヤッホ〜」
マッシュ「あれ?夜遅くに珍しいね。まぁ、いつもだったらこの時間にいるしろくまがいないことも珍しいけどさ」
さくらんぼ「確かに、いつもだったら今よりももっと早い時間に寝落ちててたまにオンラインになったまんまで朝までいることがあるからね」
ぺんぺん「いや、なんで僕が寝落ちた時に朝までオンラインになってたこと知ってんの!?」
さくらんぼ「ちょっと暇で、ログ全部書き出して遊んでた時になってたから」
マッシュ「いや、暇人なの???ねえ。もう一回聞くよ?暇人か何かなの???」
ぺんぺん「さくらってなんか単純作業好きだよね。超ガーデンマニアといい土いじりといい」
さくらんぼ「超ガーデンマニア60週連続1位の王者のお通りだぞ」
マッシュ「キャーあのゲームをそこまでやり込めるのってもはや変態の領域だろー(棒)」
ぺんぺん「一回だけプレイ画面見せてもらったけどほぼバグだったぞー」
さくらんぼ「うるせえ!!」
【一獣の王 さんがオンラインになりました】
【ゴーストレイン さんがオンラインになりました】
一獣の王「ヤッホ〜」
ゴーストレイン「眠れなかったからきてみた」
マッシュ「え〜現在の時刻は深夜3時良い子は本来寝ていないといけない時間だというのになぜ寝ていないのでしょうか………」
ゴーストレイン「これはクリスマスにプレゼントもらえないですねぇ!!!」
さくらんぼ「いや、季節感が一年遅れてるんだけど………????」
一獣の王「でも眠れないのは事実なんだよなぁ…このままオールしようかな…」
ぺんぺん「そう言って5分後に爆睡してることに10点賭けるね」
ゴーストレイン「私は50点かけるね!!」
マッシュ「でもそれは事実なんだよなぁ…」
一獣の王「いや、俺まd」
さくらんぼ「残念。5分じゃなくて3分でした。2人の点数は没収ですっ!!!」
ぺんぺん「クソガァ!!」
ゴーストレイン「読みが外れたんだぜぇ!!」
ぺんぺん「って俺もこんなことしてる場合じゃないんだけどねぇ」
マッシュ「何か予定でもあるの???」
ぺんぺん「うん、実家に帰省するから明日は来れないっていうのを」
ゴーストレイン「明日っていうかもう今日のような気がするんだけど」
ぺんぺん「はっ!?確かにっ!!」
さくらんぼ「でも、まだ寝てないから私たちは昨日の住人ってことであってるよね」
マッシュ「何にもあってないような気がするんだけど気のせいかな…」
ゴーストレイン「もう完全に深夜テンションすぎるんだぜぇぇぇぇぇ!!!」
ぺんぺん「FOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!アリーナー!盛り上がってるぅ!?」
ゴーストレイン「天井のみんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!まだ声だせるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう!?まだまだ本番はこれからなんだぜええええええええええええええ!!!」
ぺんぺん「ファンのみんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!またまだ突っ走っていくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」
マッシュ「あの…深夜テンションでライブを始めないでもらえますかね。普通に迷惑。うるさすぎるだろ。しかもどこにお前らのファンがいるんだよっ!!」
ぺんぺん「何を言ってんだぜぇ!?僕たちは毎日毎時間深夜テンションなんだぜ!?」
ゴーストレイン「ノリとフィーリングとテンションで生きてるから仕方がないんだぜぇ!?」
さくらんぼ「でも、そろそろ寝ようかな…突っ込むのがしんどくなってきた」
マッシュ「俺も寝ようかな…こいつらと一緒にお祭り騒ぎしてたら確実にオールルートまっしぐらいだし」
ぺんぺん「確かに、明日朝早くからだからもうあと寝れて2時間だ」
さくらんぼ「アリーナ!とか叫んでる前にとっとと布団に入ってやろよ!!」
ぺんぺん「はーい、ねまーす」
ゴーストレイン「それじゃあ私も寝ようかな。ホラー映画見ちゃったせいで寝れる気がしないけど」
マッシュ「自業自得だな。残念無念またホラー投げてやらァァァァぁぁ!!!!!」
ゴーストレイン「ピギィィィィィィィィィィィィィ!!」
ぺんぺん「それじゃあおやすみぃ〜」
マッシュ「ぽや〜」
さくらんぼ「おやすみ」
ゴーストレイン「おやすみぃ!!!」
【現在このチャンネルには誰もいません】
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時期は春の季節、人が出会い別れ新しい道を進んだり諦めたりするこの季節。
桜が咲き誇り、冬眠していた動物たちは起き始め、そして僕の嫌いな虫も活発になる…本当に大好きなようで大嫌いな季節だ…そんな僕にも新しいことが始まる、それは、晴れて高校一年生になることだ!さまざまなライトノベルや青春漫画では、ここで恋に堕ち、めでたくカップルになる展開だったり、変なことに巻き込まれてドタバタな青春を送るんだろうが、この世界にそんなものはない。ただの平凡な毎日。ただの変わらない風景。ただの現実。何度液晶の向こうに行こうとしたことか、何度紙の向こう側に行こうとしたことか。何度、二次元の世界に失踪しようとしたことか。おじいちゃんとおばあちゃんにドン引きされ、なんだったら2・3回精神科へ連れていかれたレベルで二次元の世界に飛び立とうと繰り返していた僕だったが、非現実を求めすぎている人生の中でたった一回しかない高校生活の他に僕にはもう一つ変わることがある。それは…っと心の中のありきたりなナレーションの続きをしようと考えていると気がついたら目的の場所の付近に来たようだ。僕が住んでいた田舎の街とは全然違う都会の一等地に立つアホみたいにでかい豪邸。こんなにでかい家に住む必要があるのか教えて欲しいぐらいの敷地に僕を乗せたリムジンは向かっていってしまう。そう僕、
「おかえりなさい!!海斗ちゃん!!」
「おかえり、海斗」
母はハイテンションで僕に飛びつき、父は飛びつかれて倒れそうな僕と母をそっと抱きしめた。非常に言いにくいが…父よ。母よ。愛が強すぎて息子は窒息死しそうです…
「く……くるし…い…です…」
すでに酸素が足りなくなり、そもそもできていないまともな判断ができなくなる前に離されたが僕は急いで酸素を取り込もうとするあまり咳き込みまくった。
「ごめんねぇ、ママ。海斗ちゃんに久しぶりに会えたものだから」
「いや…昨日、おじいちゃんとおばあちゃんに136回目の説明にきた時に合ったでしょ…」
「あら?そうだったかしら?」
おほほほと上品に笑っているが…記憶が寝た瞬間にリセットされてるのか僕の両親は…
笑いにできるようなできないような感情に揺さぶられほんの少しこの状況に呆れている間も
父は風通に何にもない感じに話を進めていった。
「またこの家で暮らすことになって心配事もあるだろうし、リフォームもしてわからないことも多いと思うからお前に専属の執事をつけることにした…」
「え?執事?」
そんな、アニメみたいに、僕専属の執事?プールとかでデッキチェアに座ってって「セバスチャン。オレンジジュースを」って言ったら3秒ぐらいで持ってくるとかそういう十八番がある、専属の執事様ですか?というか、オタク気質な俺としてはそんなもの液晶の向こう側とかに行かないといないものだと思っていたのに…こういう時は、一人息子のボンボンでよかった!!って実感ができる。そう、こういう時だけね。ここ超重要。心の中でレッツパーティー!ふぅう!と心の中だけパリピモードでノリに乗って脳内ジャグジーに浸っていると、僕の専属の執事になる人がササっと現れた
「今日から海斗のお世話係になる”しろくまくん”だよ」
「え?」
父がそういうと、僕の専属の執事様は頭は白髪で、右目は緑色だけど左目は前髪で隠れており、僕にとってほぼ壁と同じぐらいのガタイの良さそして、『マナー?んなもの知るか!!』と叛逆を起こした日には一瞬で土に還されそうなぐらいに喧嘩の強そうな風貌で厳格そうな執事さんがペコっと90°綺麗に僕の方にお辞儀をし正面を向いた時は少し頬が赤いように感じた
「だ、旦那様…海斗様の前でその愛称は…」
訂正、さっき厳格そうとか思ったけど、この執事の人あれだ。ギャップで萌えぇ〜ってオタクの心を簡単に尊死させて一瞬で捻り潰してくるお墓大量生産タイプの人だ。こんな人現実でいるのかよ。というか…父よ…なぜ息子に紹介する時に愛称で紹介してしまうのだよ。あと可愛いいな”しろくま”っていう愛称!!俺のネッ友にも同じ名前の人がいるけどこっちの方が断然可愛い気がする。あったことはないけど…というかこの人が俺の専属の執事様になる人なのか、正直第一印象での厳格でテーブルマナーをミスったところで鉄拳制裁をしてくるようなタイプから、リアル萌え系執事様タイプに認識が変わっただけでも僕は安心ができる…
「あ、ごめんね。彼は
「海斗様。本日からよろしくお願いいたします。」
「よ…よろしくお願いしま…す」
心の中では安心したと思ったがいざコミュニケーションに移してみようとなったら、近所の家に向かうのに車が必要な地域で暮らしていたものだから会話相手はおじいちゃんとおばあちゃんかネッ友だけの僕に生身の年齢が近い人は、ほぼボスモンスターとなんら変わらない…つまり。
「あ、あへ…げへ…あ、も、う」
「海斗様!?」
僕はゲームオーバー当然のダメージを無意識のうちに受けてしまっていたということなのだ…北鳥海斗に999のダメージ…海斗は失神をし、無様に冷たい大理石の床に倒れ、目の前が真っ暗になってしまった…僕、この家でやっていける自信がほぼないし、コンティニューして目を覚ましたくないよ…
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〜こちら、
【しろくま さんオンラインになりました】
しろくま「おっす〜ちわちわ〜」
一獣の王「おっ!白ちゃんヤッホ!!」
さくらんぼ「よっす〜」
しろくま「あれ?オーとサクラだけ?」
さくらんぼ「なんか他のみんなは忙しいらしいよ」
しろくま「あれ?この時間帯いつもぺんさんいなかったっけ?」
一獣の王「ぺんちゃんは昨日ほら言ってたじゃん。”実家に帰省する”って」
しろくま「あー。なるほど、納得だわ」
さくらんぼ「あ、私呼ばれたわ。落ちる」
しろくま「じゃねばーい」
一獣の王「お疲れさました〜」
【さくらんぼ さんがオフラインになりました】
一獣の王「それじゃあ、俺はどうしようかねぇ」
しろくま「今日、新しい人が入ってきたんだけど俺が挨拶した後ちょっと間を開けて失神した話でもする?」
一獣の王「何それwえ?まじ?実話w?」
しろくま「マジの実話。俺の目の前で起きた話」
一獣の王「マジかよ。kwsk《くわしく》」
しろくま「あ、ごめん。俺も落ちないといけなくなったわ」
一獣の王「え。うそん。尺のために次の話まで話伸ばすアニメかよ」
しろくま「それじゃあ、乙」
一獣の王「次きたら話してよ!?バイバイ!!」
【しろくま さんがオフラインになりました】
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パソコンの画面を閉じて、少し曲がってしまったリボン整えると同時に俺は、つい2時間ほど前に起きたことを思い出す…「初めましてこれからよろしくお願いいたします」の挨拶をしたら新しい主人となる人が緊張のあまりに失神した。うん、何度も考え直したが、全くの意味不明である…正直なところ不安しかない…と言っても旦那様に「無理っす。俺、胃痛起こす可能性あるっす。なので専属の話なかったことにしてくださいっす。」って言えるわけない…なんだったら私の主人となる人は5歳以降旦那様や奥様と離れて暮らしており、この北鳥の屋敷は絶賛”おかえりなさいませ!海斗様”パーティー状態。つまり、この俺に断るという行為は一切できない状況下であるということ…
「この熊和歌冬夜…絶対的絶望的状況………」
もう少し、いつものサーバーでベラベラとさっき起きたことを話してやればよかったというのに…なんで俺は入って早々退出してしまったのだろうか…ただの馬鹿だ。ただの大馬鹿なものである…時期執事長候補だとか言われておきながら、主人となる人が目の前で倒れてそんな状況になったことがない俺は思考停止状態…普通だったら即刻クビ案件だけど…「今回はうちの息子がいきなり倒れたから…」ってことでとりあえず自室でちょっとゆっくりしなさいって言われる始末…もう嫌だ…おうち帰りたい。あ、ここがおうちだった。
お菓子売り場でお菓子を買ってもらうために駄々をこねる子供のようにジタバタと赤ちゃん返りをしていたら部屋のドアがノックされ、急いで身なりを整えてドアを開けると、そこには俺の先輩の使用人であるメイドの佐藤さんがいた。
「今時間あるかな?」
「はい、大丈夫です。緊急の要件ですか?」
普段は絶対に相手のプライベートな空間にくるような人じゃないのに、もしかして海斗様の意識が戻ったとか…あるいは普通に業務に戻るように旦那様から伝言を預かってきたのか…
「緊急…って聞かれたらわからないけど、冬夜くんが勉強に専念出来る様に夜は私が海斗様の世話をすることを旦那様から言われたから」
「え、あぁ。わかりました。具体的には何時ごろから交代でしょうか?」
「16時ごろから私と交代して、朝の6時から冬夜くんが海斗様の世話を見るっていう感じなんだけど」
「わかりました。朝の6時から夕方の16時ですね。」
「それじゃあ、明日からよろしくね。あ、あと」
ニコッと笑い、部屋からでていこうとすると、何か忘れていたように振り向きポケットから
ガサゴソと何かを取り出すと俺の腕をつかみ、その何かを俺に渡してきた。
「えっと、これは?」
「みてみればわかるよ」
そう言われ、俺の手の中にある小さなものをみてみると、ミニミュアのぺんぎんさんの人形が俺の手の中にちまっといた…なんだこれは…これは…かわよい!!可愛すぎる!俺は、この変にいいガタイやオーラのせいでかわいいものとは無縁の人生と思われがちだが俺はかわいいものが大好きである。小学生の時に買ってもらったくまのぬいぐるみのハニーちゃんは今も一緒に寝てるしたまに、旦那様や奥様からこういうミニチュアの人形やくまさんやうさぎさんのぬいぐるみをもらうから専用の箱を作って自分で家具を作って飾ったり、ストレスで死にそうな時はごっこ遊びをするほど、ぬいぐるみやお人形さんは大好きである。
「ここここここここここここここ、これは!?」
「出世祝い?まぁ、そんな感じかな」
「あ、ありがとうございます!」
「喜んでもらえてよかった。それじゃあお仕事これから頑張っていってね」
「はい!」
嬉しさのあまりに、感情の渋滞と表情筋の管理ができていなかったような気がするが、
このぺんぎんさんになんて名前をつけようかな…じゃなくて、出世祝いを渡されるほど俺は期待されているんだ、胃痛を引き起こしても胃に穴が開こうとも胃が体を突き破って外に出ても、俺は海斗様の専属の執事として成長し海斗様の執事として胸を張れるようにしなければならない。もう俺は、文句を言っている場合じゃない。それをも超える成果を見せることを心に誓い、早速海斗様が寝ている部屋に体調の様子を確認しにいくことにした。
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ここは…どこだろうか、見知らぬ天井。見知らぬ部屋の香り。見知らぬふかふかのお布団。覚えていることといえばよろしくお願いしますの挨拶をして、僕が緊張でぶっ倒れたところまで…あぁ、そうか。僕はコンティニューをしてしまったのか。いつの間にかふかふかの布団に運ばれていたがこんな僕はやっぱり田舎のおじいちゃんとおばあちゃんの家に預けられていればよかったんじゃないかな…ここでやっていける気が最初にここにきた時よりなくなってる…寝起き早々不安で頭が痛くなり、再度眠りに就こうと思った時にドアをノックする音が3回聞こえ、あの専属執事様の低くどこか安心する声がうっすらと聞こえる。
「海斗様。ご体調はいかがでしょうか」
えぇ…っと…自己嫌悪に明け暮れています…なんて言ったら確実に母あたりが呼ばれそうだし、なんか適当に言ったほうが楽なんじゃ、いやでも、ここで嘘ついて後で専属執事様が怒られるのは僕のオタク心が許さないし…だからと言って本当のことを言うのは…ごちゃごちゃの脳をフル回転させ、なんて返答しようか悩んでいると、部屋の中に入っても大丈夫か聞かれ、僕は、このごちゃごちゃな思考を整理する頃ができないまま、ベットからスタスタとおり、冷たい床を素足のまま歩き専属執事様を部屋の中へ入れてしまった。
「ど…どうぞ…」
「失礼いたします」
フワッと香る花の匂い…あ、超僕が好きな感じの匂いだ、じゃなくてっ!!
えっとえっとえっとえっとえっとえっとえっと、僕は一体どうしたらいいって言うのだ!
「頭の痛みは大丈夫ですか」
「え、あ。はいっ!!大丈夫ですっ!!」
本当は別の意味で頭が痛いけど…それは自業自得だ!だからこの頭痛はノーカンってことにしようと思ったら専属執事様は僕の顔を見るなり、焦った表情になり、僕の腕をガシッとつかみつつも、優しくまるで結婚式場から花嫁を連れ出す第三者の男のように腕をひっぱり、僕はベットに座らさせられていた。
「あ…あの…?」
「申し訳ありません。病み上がりなのに歩かせてしまい…それにスリッパの用意すらできておらず…」
なんだこの生物は…まるで何かをやらかしてしまった小動物のような可愛さが…あ、無理。また失神する。何この可愛さ、本当に人間か?本当に僕より年上の人のか?そういえばこの専属執事様、僕より年上なのか!!なんだろう…解釈違いかどうかと聞かれればそうじゃないのだが、少し解釈違いな気がする…静まれ…静まれ…静まれ僕のオタ心…相手は僕の専属執事様だ。こんな小動物的な可愛さを持ち合わせているが、僕の専属執事様だ。年上だ。可愛いじゃない。かっこいいのはずだ。そうだもう一回目の前をみてみよう。
「吐き気とかはないですか?他にも何か症状は…」
無理っ!!俺のオタク心を的確に尊死させないで、もう僕…ギネス記録に乗れるんじゃなかと思うぐらいの速さでお墓に収納されていくんだけど、心の墓地がもう人数オーバーなんdなけど、ゾンビとして数人生き返りそうなぐらいドーパミンがドバドバで逆に頭痛いんですけど!?そんなキュルルンとした目で僕を見つめないでくれ、目が出てたら今確実に、ただの変質者の目になってたよ…よかった、前髪で目隠してて…
「大丈夫ですか?顔がさっきよりも赤くなってますけど…もしかして熱でもありますか?」
「え、あ。いや…ちょっとドーパミンで脳汁がドバドバなだけだから…」
「なるほど…もう少し休憩した方がよろしいですね」
あ、これは。完全に僕が頭おかしいやつ判定になってしまっている。僕の第一位印象絶対アホなことになってるんだろうな…そもそも挨拶しただけで失神した主人なんかこの先にいる気がしないし…というか存在しないでほしい。こんな黒歴史僕だけで十分だ。
「先ほどから返事が少ない気がしますが…本当に大丈夫ですか?」
「あぁ…うん…その…………」
「どうかされましたか?」
今まであんまり人と近い年代の人と話すことが少なかったせいで話すのが超絶苦手です。って言ったら…飽きられるのだろうか、あるいはさっきの小動物的な可愛さを破壊するぐらいの冷めた目で僕を見るのだろうか…どっちでも美味しい気がするが、今後の付き合いに影響する可能性が大で僕は嫌だぁ!!!もう、ここは正直に行こう。僕は思考を放棄する。
「その…こっちに帰ってくるまで同世代の人と話す事が少なかったから…その、喋るのが苦手で…だからさっきもぶっ倒れたし……コミュニケーション能力もクソだし……」
「…なるほど、そういう事でしたか」
そういうと専属執事様は、ベットに座っている僕の前に少し腰を落としてしゃがみ、ニコッとした笑顔で僕に話しかけてきた
「安心してください。少しずつ慣れていけばいいんです。何も初めから完璧にやれとは誰も言ってませんから、それに何か困ったら私を頼ってもらって結構ですので」
………僕の中で何かが変わる…そう!楽しい楽しい推しランキングの変動だぁ!!僕の推したちよこれからも今まで通りに恋し愛すが!それ以上に僕の中で再推しにランクインしてしまった人がいる…そう、それは僕の専属執事様だ!!身近な人を推すのはなんか僕のポリシーに反しそうだが…そんなもの構わん!!僕の再推しは専属執事様だ!!誰の異論は認めないし一切聴かない!!!
「あ、は、はい。」
「ふふっ。安心してもらえてよかったです。それじゃあまずは…」
王子様並みのにっこりスマイルをしたかと思えば、僕の肩をトンっと軽く押し、僕の体がふかふかのお布団に沈むと同時に、掛け布団をバサッと広げ、僕は10秒もかからないうちに寝る体制になってしまっていた。すげえ、語彙力ないけどとりあえず専属執事様すげえ
「長旅でお疲れでしょう。荷解きはこちらでしておくので海斗様はおやすみください」
「え、あ。でも」
「夕食の前までには起こしますので安心してお休みくださいませ」
明かりが消され、ふかふかのお布団に包まれさっきまでなかった睡魔がどんどんと押し寄せ、僕の体はどんどんと重くなっていく、コンティニューなんかしなくていいと思ったけど、僕は…僕は、この家の人間として嫌でもやっていかなければならない…どんなに嫌な勉強をさせられても、どんなに嫌なお稽古をさせられてもやっていかなければならない。
でも、なんとなくだけど…専属執事様がいる間は頑張ろうと思える。それは単なる推しだからという理由だけじゃなくて…こう、昔から馴染みがある友達のような感覚がどことなくするからっていう理由もどこかにある…もうこのまま眠ってしまおう。僕が起きた時…少しは前に進められるように、この春の季節だ。いくらでも僕は変われるだろう…
「おやすみなさい……専属…しつ…じ…様…」
「冬夜ですよ。海斗様」
「冬夜…さ…ん………」
うっすらと聞こえる、専属執事様……いや、冬夜さんの声…やっぱり、どことなく親近感を覚えるこの低いけど、どこか暖かい声…そういえば今日はまだ、まだあのサーバーに顔出してないな…起きたら…しろくまいるかな……僕の体は完全にふかふかのお布団に飲み込まれ、一足早い夢の世界へと旅立っていった。
「おやすみなさいませ。海斗様…」
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