第13話 大好きだよ、お兄ちゃん
今夜もアキナの配信が始まった。
視聴者数はどんどん伸びて五万人を超えた。さすが大人気VTuberだ。
俺は昨晩と同じように隣で使い魔になって配信を見守る。
今日はフリーのホラーゲームをプレイするようで、緊張感が漂う。けれど、コメント欄は平和そのもので、投げ銭も多く入っている。
やっぱり、アキナは凄いなぁ。
隣で見ているだけで迫力がある。
気づけば配信も無事に終わっていた。
「――はい、おしまいっと」
体を伸ばす綾花は、一息ついた。
時間があっと言う間に過ぎてしまった……。
「お疲れ様」
「ありがと、お兄ちゃん」
「さすがプロだな、配信中は生き生きしてるし、引き込まれる」
「そんなことないよ~。今日はホラーゲームで怖かったし」
「ああ、あのモンスターハウスな。バケモノが突然追いかけてくるからビックリするよなぁ」
「うん、だからね。今夜は一人で寝られないから一緒に寝ようね」
そう言って抱きついてくる綾花。
マジかっ! そりゃ、もちろん嬉しい。
けど、俺の身が持つかどうか……。
時間はもう深夜零時。
そろそろ寝ないと遅刻しちゃうな。
綾花の寝室へ向かった。昨日も一緒に寝たし……慣れるしかないな。
ベッドに横になると、綾花が隣に。
息が掛かるほど近い。
「綾花……近いぞ」
「あたたかくて気持ちい」
ニコニコ笑顔の綾花は上機嫌だ。
まあいいか、こんな笑顔でいてくるのなら俺はなにも言うまい。緊張感を出来る限り押さえつけ、俺は眠気に身を委ねていく。
……あぁ、瞼が重い。
「眠くなってきた」
「わたしもぉ~」
気づけば俺は眠りの世界へ。
* * *
新しい朝を迎えた。
あれから三日が経過しただろうか。
この一風変わった生活にも慣れ始め、綾花の存在も尊いものになっていた。彼女が、義理の妹がいなければ俺はもうダメかもしれない。
窓辺でそんなことを考えていると、綾花が制服姿で現れた。
「着替えてきたか、綾花」
「お待たせ、お兄ちゃん」
今日も制服がばっちり決まっている。
可愛い。俺にはもったいないくらいに可愛い。
「さて、飯も食ったし行きますか」
「今日もそれなりにがんばろ~」
「そうだな」
マンションを出て外へ。
……こんな日常がいつまでも続けばいい。綾花と同じ時間を過ごし、何事もなく平穏であれば――それでいい。
◆
一ヶ月後。
綾花は俺を屋上に呼び出した。
いつものように昼ご飯を食べるのかと思ったら。
「大好きだよ、お兄ちゃん」
そう告白して抱きついてきた。
むしろ、俺は出会った頃から綾花が好きだった。俺にとって綾花は女神だ。嫌いなわけがない。命の恩人であり、義理の妹だ。だから。
「俺もだよ、綾花。いつまでも一緒にしてくれ」
「うん、ずっと一緒だからね」
自然のままに、俺は綾花の唇を奪った。
◆ありがとうございました!
大変惜しくはあるのですが、ここまでとさせていただきます。この作品についてはリメイクも検討中です。
新作もやろうと思いますので、見かけたら応援くださると嬉しいです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ヤンデレ義妹が配信で養ってくれるそうです 桜井正宗 @hana6hana
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