第5話 義妹とお風呂へ

 俺はサイコロを振った。

 すると見事に【14】が出た。よっしゃ!


「ゴール!」

「わぁ……お兄ちゃん、すごっ」

「ふふぅん、どうだ」

「一発で引いちゃうとか、やる~!」


 目的地である大神殿『ギンヌンガガプ』へ到着。俺は大金を手に入れ、見事に金持ちになった。A級冒険者の称号も手に入れた。


 その後も俺は無双しまくって、綾花とコンピューターを出し抜いて一位をキープ。


 30億ガルと多くの物件・土地を入手して富豪貴族となった。


「こりゃ笑いが止まらんな」

「うぅ~、お兄ちゃん強すぎー! いつの間にか伯爵にまで上り詰めて、民から巻き上げて悪徳貴族になってなーい!?」

「貴族システムの基本だからな」


 一位になって貴族になると、平民にはない権力を持つことができる。ゲームバランス的にどうかと思うが油断していると最下位の奴隷から刺される――なんてこともあるから、油断ならない。


 結局俺は、金やカードを使い猛威を振るって資金を調達。


 最終的に王様になってしまった。



「三年経過して王様になってしまった」

「も~、お兄ちゃんに勝てないよぅ」

「けど、綾花は俺と協力して妃になったじゃん。勝ち組だ」

「まあね。コンピューターをいじめてストレスフリーで楽しかった」


 ついにエンディングを迎えた。

 俺も綾花もギスギスすることなく、円満に終われた。終盤でまさか求婚されると思わなかったけどなぁ。婚約システムからの人生逆転たまのこしもあるから、このゲーム……侮れない。


「面白かった。またやろう」

「うん、いいよ。……あ、もうこんな時間かぁ。お兄ちゃん、お風呂行こっか」

「ああ、そうだな……って、ん!?」


 すごく自然に返事をしてしまったが、今、綾花はなんと?

 記憶を巻き戻してみる俺。


『お兄ちゃん、お風呂行こっか』


 ……うん!?


「ほらほら、行くよ」


 俺の手を引っ張る綾花。

 って、まて~~~いッ!


「ちょ、ダメだろ!」

「なんで?」

「なんでって……そりゃ、若い男女がお風呂とか……」

「大丈夫だから」


 なにが大丈夫なんだ!?

 慌てていると綾花は俺の手を引っ張った。この馬鹿力ー!


 結局、バスルームまで来てしまった。


 いいのかなぁ……。

 油断していると綾花は服を脱ぎ始めた。



「げっ! 綾花、馬鹿!」

「お兄ちゃんのえっち~」

「言わんこっちゃない!」

「って……アレ」

「なんてね、水着を着てるから安心いて」

「いつの間に!?」

「さっきトイレ行ったついでにね」


 なるほど、エンディングに入ってからトイレに行っていたから……その時か。用意周到だなぁ。けど、確かに水着なら問題ないわけか。考えたな。



「分かった。それならいいよ」

「良かった! お兄ちゃんの体を隅々まで洗ってあげるからねっ」

「なんだか、やらしいな」

「えへへ~」



 フリーサイズの水着を手渡された。なるほど、俺も水着に着替えろってことか。これなら問題なくお風呂に入れる。

 綾花には先に行ってもらい、俺は水着に着替えた。


 同棲初日から女の子と一緒にお風呂に入るなんて……ドキドキだ。けど、嬉しくもあった。憧れのVTuberアキナと過ごせるだなんて夢のようだ。



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