第4話 義妹と二人きりのゲーム
【21:03】
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夢のような時間だった。
目の前でアキナを見られるだなんて思ってもみなかった。ライブ後の
魂が抜けた俺は、ただただ脱力していた。
「あれ。お兄ちゃんってば緊張してた?」
「そりゃなー。顔出しがないとは言え、この距離感だからね。ドキドキしっぱなしだった」
ここまで緊張するとは……。危うく心臓破裂するところだったぞ。
「ふぅ……」
「残り時間はアニメとかゲームしてまったりしよっか」
「分かった。じゃあ、いったん休憩してから」
「おっけ~」
綾花は、スマホでポチポチしていた。どうやら、エゴサしているみたいだな。そういえば、フォロワーに反応してあげたりなど、ファンサービスも良いんだよな。毎日、こんな風にやっているんだ、すげぇや。
部屋を移動してリビングへ。
部屋を暗くしてプロジェクターを起動する綾花。こんな巨大スクリーンでゲームできるとか!
「おぉ、快適~!」
「でしょー。これで遊ぼ」
「あ~、それ面白いよな」
綾花の取り出したゲームは『ダンジョン&マスターズ』というボードゲーム系。サイコロで異世界を巡り、資金を貯めてお城や教会、ギルドを買って資産を増やすゲームだ。
ナイト、プリースト、ブラックスミス、アルケミスト、アサシン、アーチャーなどのキャラクターをひとつ選び、ゴールを目指す。
青マスでお金が増え、赤マスでお金が減る。黄マスでカードが貰えるなど、マスに様々な要素も存在する。
最下位には『貧乏魔王』が取り着き、超理不尽に借金を背負わされるんだよな~。
「わたしはプリースト」
「じゃ、
最初は帝都にある『はじまりの街』からスタートだ。目的地は隣の大陸にある大神殿『ギンヌンガガプ』だ。順番はプレイヤー①俺、プレイヤー②綾花、CP③悪役令嬢、CP④聖騎士……と。
まずは、俺が一番。
サイコロを振る。
目的地の『ギンヌンガガプ』を目指してマスを進める。
【青マスに止まった! +550万ガルを手に入れた!】
ガルは異世界の共通貨幣だ。
季節やエリアによって貰える額が違う。
次は綾花。
サイコロを振って、いきなり【10】を出した。尚、この『ダンジョン&マスターズ』はサイコロが十二面サイコロなので、最大【12】を出すことが可能だ。異世界マップが無駄に広いし、仕方ない仕様なのだろう。
「やった~! ごめんね、一気に12マス進むね」
「やるなぁ、綾花」
このゲームの良いところは、テンポ良くサクサク進むところだ。
その後、コンピューターもマスを進めていった。
さて、ここからだ。
二ターン目からは『馬車カード』がしばらく使えるようになる。この馬車カードは、サイコロの数が二個になる。なので、最大【24】を出せるようになるのだ。これはデカイぞ。
俺は馬車カードを使用。
さっそくサイコロを投げた。結果【15】となった。なかなかいいぞ。
早くも大神殿『ギンヌンガガプ』が見えてきた。この辺りになると赤マスも多くなる。気を付けないと借金まみれだ。俺はギリギリで黄マスへ。
【黄マスに止まった! 追放カードを手に入れた!】
追放カードは強いぞ。
近くにいる者をエリアから追放できる嫌がらせカードだ。
「お兄ちゃん、それずるーい! わ、わたしには使わないでよ」
「さて、それはどうかな」
「もぉ!」
次は綾花のターンだ。
見守っていると、もちろん馬車カードを使用。サイコロは【13】を出した。なかなか進めるな。
追いついてくる綾花は、赤マスへ突っ込んだ。
【赤マスに止まった! -1億5000万ガル減ってしまった!】
【プレイヤー②は、借金を背負ってしまった!】
「うわ、綾花!」
「ギャー! こんなにマイナスになるなんて、ツイてないやー…」
涙目の綾花は、がくんと項垂れた。このゲーム、結構容赦ないからなぁ。けど、目的地に一番乗りできれば億単位の祝い金が貰える。逆転するには、とにかく先にゴールすることだ。
その後、コンピューターも移動を続けるが、これといった展開はない。
さて、ならば俺のターン。
あと【14マス】でゴールできるから、もちろん馬車カードを使う。運がよければ一発ゴールもありえる。
「いくぜ!」
「お兄ちゃん、がんばって!」
綾花から応援してもらえた。いいところを見せてやる……!
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