プロローグ2
〔主人公視点〕
いつもより何倍も時間の流れが遅かったその日を無事に終えた次の日。琴音が送ってくれたフルダイブ装置と取説そして「Oll Life Online」通称OLOのカセットが届いた。
装置の方は大人が余裕で入るほどの大きさのカプセル型で、いくつものコードを差し込むところとゲームカセットを入れる大きな穴がある。
取説は小説1冊分ほどの厚さがあり、中身はちっちゃな読みにくい文字と申し訳程度のイラストで構成されており、20世紀の人間が作ったかのような不親切さとなっている(!)
私は内心で悪態つきながら取説の目次を開き重要だろう部分だけを読み出していった。
まとめると、
1.コード類を全て差し込み電源をつけて待機
2.判別が完了したら警告レベル(リアルの体にどの程度の刺激があったら警告を出すのかというレベル)の設定を行う
3.本人確認のため本体のDNA判別装置に自身の体液(唾など)を入れる。
4.完了したらカプセル内に入りリアルの身体情報を読み取り、完了(スペーススーツなどを着ていない限りそのままの服装でいいようだ)
といった流れのようだ。早速やっていこう。
まずコード類を梱包から取り出してつけていく。絡まらないように何回かゴムでまとめて、最後にコンセントに差し込んで電源をつける。
電源が付いたら警告レベルを3(喉がすごいかわいたり、お腹がすごい空いたりしたら警告が出るレベルのもの)に設定する。
DNA判別装置を取りだし、自身の唾を入れて、10分ほど待つ。完了したら取り出して洗う。(そのままでもいいらしいが、気分の問題だ)
あとはカプセルに入り身体情報を読み取るだけである。私は少し緊張しながら蓋を開け中に入る。中は上等な棺桶のような感じで、長時間入っていても体が痛くならないようにジェルマットが大量に入っていた。
蓋を閉めてロックを掛けると仮想ディスプレイが現れる
《身体スキャンを行いますか?Y/N》
YES
《身体スキャンを行います。2分ほど動かずにお待ちください》
私の体に青白い光が投射され、体形を読み取っていく。
《…完了。スキャン結果を表示しますか?Y/N》
NO
《スキャン結果を機器に保存中…完了。再スキャンは1ヶ月に3回行われ、簡易スキャンは機器使用時に必ず行われます》
《お疲れ様でした。退出が可能です》
それを目にしたらロックを解除してカプセルから出る。
「ぅぅんっ……はぁ」
若干凝り固まった体をほぐしたら、OLOを入れて完了だ。
そのあと私は汎用端末を取り出し、OLOについて調べる。CMで見たようなことと、サービス開始が明日の12時ということ(なんとも嬉しいことだ!)以外はあまり知らないのだ。
OLOはフルダイブ装置を作った日本企業が初めて出したVRゲームであり、世界で最初のフルダイブ装置対応のゲームらしい。
発表はフルダイブ装置の公表と同じ半年前で、テスターの募集は1年以上前に行われていたが徹底的な情報規制があったようだ。テスターの報酬には1人につき3台のフルダイブ装置とOLOのカセットが配られたらしいので、琴音はテスターだったのだろう。ゲーム好きだからこういうのには鋭いのだ。(テスターの人数は未だ公開されていない)
そのような概要を調べた後、戦闘システムやテスター達の感想など色々調べて端末を閉じた。
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