五の三
気が付くと、クラブは既に1周を回り終え、2周目に入っていた。
俺は、このままでは追いつけそうもないので技を使う事にした。
「ウォータートルネード!」
俺は、ボートの船尾の舵の辺りに手を突っ込むと、そう叫んだ。
舵の後ろに強力な水流ができ、猛スピードでクラブのボートを追い始めた。
しかし、モーターボートは速くなかなか追いつけない。
俺は、次の手を打つ事にした。
「グランドトルネード!」
ボートの横に出した手を水に突っ込んだまま、前に向けてそう叫んだ。
大きな波が手の前方から現れ、やがてその波がコースを一周し、大きな渦となってクラブと闘を巻き込んでいった。
しかし、渦の力がつよすぎた。クラブはモーターボートだったため、大丈夫だったが、手漕ぎボートの闘は、コースの壁にぶつかりそうになった。
「あっ、危ない!」
然が、思わず叫んだ時、俺はとっさに次のように叫んだ。
闘「リバース!」
渦は、途端に逆方向に回転し始め、壁にぶつかりそうだった闘の船は壁から引き離された。
しかし、その直後から、始めにクラブの船が、次に闘の船が外壁ではなく、真ん中に作ってあった壁を目がけて突っ込んで行った。
闘「くっそー、力が強すぎるのか?仕方ない。力は弱いが調整が利く、アレを使うか?!」
そうこうしている間に、クラブは、先程の闘の技のせいで内壁に軽くぶつけたもののすでに3周目に入ろうとしていた。
闘は、まだ2周と1/4を過ぎたばかりだった。
闘「ウォーターストリーム!」
さっきの技でボートの後ろに水流を作りつつ、遠心力で外壁にぶつかりそうになるのを今度の技で調整して少し常に中心に力が働くように加減した。
絶妙なバランスが功を奏して、一気にクラブのボートに追いついた。
クラブ「ば、馬鹿な!2周近い差があったハズ!!」
闘「悪いが、先に行かせてもらうぜ!!」
そう言って闘は、あっさりとクラブを抜き去り、ゴールラインを突破した。
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