第2話 配信者「鏡AZ」
薄々感づいていた人もいるかもしれないが、僕の「祈り」とは身も蓋もない言い方をすれば、このVirtual配信者「
それとあと一つ。これは物凄く誇らしいことで、僕の彼女への崇拝をより一層強めた理由となるものだが、僕はなんと彼女直々に、配信のモデレーターに選ばれたのである!モデレーターとは、配信者の護衛役である。主な仕事として、コメントに流れる荒らしを配信から弾き出したりする。大手の方だと何十人も抱えたりするものだが、本当に信頼できる人しか選ばないという彼女のポリシーから、配信では僕を含めて二人しかいない。正直、任されていることの荷が重いが、その大変さよりも彼女に選ばれた、という喜びの方が大きい。最古参だからもしや、との思いはあったが、実際にこうして彼女の慈愛に触れるとかなりクるものがある。まさに、「最高峰から僕みたいな最低辺全てと繋がる」そのコピーに恥じぬ感動。もう一人の方もきっと同じ気持ちだろう。
「おはようございます。いつも配信ありがとうございます。貴方の配信が僕の生きる糧です。」赤いスパチャを送る。
「いえいえ!いつもお世話になってるのはこちらの方です~」そんなご丁寧に、と少し照れた様子だ。
『照れ声たすかる』
『ぽれも挨拶してほしい』コメントの同志諸君も実に楽しそうな様子である。
「おおさんも、ぺりさんも、さっき挨拶したばっかじゃないですか もう、おはようございます!」
『え、いいな』
『俺も挨拶』同様のスパが色とりどりに流れる。
「ええっー こんな挨拶でみなさん大袈裟な〜」
彼女はコメント欄の挨拶要請と赤スパの乱舞にひとしきり驚いたのち、ポリポリと頬をかき、少し投げやり気味で
「しょうがないですね。おはようございます!OOさん」と配信はコメント欄全員の名前を呼ぶ挨拶祭りとなった。こりゃしばらく続きそうだ。
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