始まりをいくつ数えた頃に

もざどみれーる

始まりをいくつ数えた頃に

アアアアア

ボクには 今日も夜が来ない

この野太い意識はミイラのはだ

何時何時いついつまでも待つのだが

アア また意味もなく

ただ 聞かされるだけなのだ

調子っ外れの狐女きつねめの歌

弦のこぼれたギターに乗せて


 全身麻痺の太陽を背に

  一枚のコインが宙を舞う

   全ては奪うため 蔑むために

  かつて香油を注がれ そして

 十字架上に絶命した あの男の世の脈動を


砂穴に頭を突っ込む刻妖精トキノヨウセイ

   二十一世紀の始まりはどこだ

わめいている

   やり直せ

     Do it again

      重来

       Recommencer

        Von vorn anfangen

       ξανά από την αρχή

      다시 시도 ……

いくつもの呼びかけに

遠く遠く ずっと遠くに

いくつもの始まりの卵

かえるや否や 刻人間トキノヒトに首根っこを掴まれて

刻白穴ホワイトホールに ヒューッ と投げ込まれている

 (うしなわれたハイウェイに

  透明なバニラクリームの甘い声!)


 嗚呼 愚か者め

 一つとて 始まりを捕まえることなど

 彼奴きゃつ如きにでき得るものか

煌々こうこうと照りつける太陽の下

どっぷりと道に迷った福音史家

確かにボクに そう言い遺したらしい


ボクには よくワカラナイのだ


だって

ボクには 夜が来ないから


アアアアア

あの妖精が その醜い羽をバタバタさせて

性懲りもなく 頭は今も 砂穴の中……


始まりをとらえることは できるのか

いつになれば ボクはゆっくり眠れるのか


始まりをいくつ数えた頃に

ボクの夜は やって来るのか







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始まりをいくつ数えた頃に もざどみれーる @moz_admirer

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