第5羽 ありがとう! うさちゅるを食べるね??
店長さんが気付いてないのをいいことに、こむぎちゃんは商品をつまみ食いしてる。ダメ! 止めなきゃ!!
「ダメぇぇぇっっっ!!!」
私の声にこむぎちゃんがびっくりしてる。けど、躾はちゃんとしなくちゃ!!
「ちゅるちゅるちゅ~、ちゅるちゅるちゅ~、ちゅるちゅるちゅっちゅっちゅ~~~っ♪」
私がこむぎちゃんを叱っているのを横目に、店長さんはくるくる回転しながら不思議な呪文を唱えてる。店長さん、テンション高すぎない!?
「止まらない、止まらない、一度食べたらぁ~♪ 止まらない、止まらない♪」
呪文を唱える店長さんは左手に何かを握ってる。回転してるからよく分からないけど、うさ何とかって書いてあるなぁ?
「止まらない、止まらない♪」
店長さん、お願いだから止まって! 私まで目が回っちゃうから!!
「止まらない、止まらない♪」
店長さんの不思議な呪文に乗せられたのか、こむぎちゃんも自分の尻尾を追いかけ回すように回転し始めた。お願い、二人とも止まって!!
「こむぎちゃん、これはみんな大好き
店長の回転がいきなり止まった。そんな店長がこむぎちゃんに差し出したのは『うさちゅる』というそうめんのように細長くなった何か。不思議な見た目だけど、南国フルーツみたいな甘い香りがする。
「何それ美味しいのぉ!!?」
うさちゅるをこむぎちゃんは期待の眼差しで見つめている。きっと、こむぎちゃんにとってそれは魅力的な食べ物なのかもしれない。
「これは当店の自信作! こむぎちゃん、是非堪能してね!!」
店長の一言には自信があふれている。いや、その握り拳はいらないと思うんだけど?
「ありがとう! うさちゅるを食べるね??」
その一言を聞いたこむぎちゃんは、一心不乱にうさちゅるを奪った。こむぎちゃん、あまりに必死で目が血走ってるけど大丈夫!!?
「うっ......ぅうおぉいしぃぃっっっ!!!!!」
こむぎちゃん、うさちゅるがとっても気に入ったみたい。こむぎちゃんのもぐもぐしてるお口、とっても可愛い!!
「こむぎちゃん、気に入ってくれたみたいね? 嬉しいっ!!」
こむぎちゃんの食べっぷりに店長さんも何だか嬉しそう。ウサギさんって、みんなに幸せを分けてくれてるみたいで不思議だよね。
「店長さん、うさちゅる下さい!!」
二人の様子を見て私はうさちゅるを買うことにした。ちょっと高そうだったけど、きっとお母さんは許してくれると思う。だって、こむぎちゃんは我が家の天使だから。
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